経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

「売るための知財戦略」の螺旋的発展

2012-10-08 | 企業経営と知的財産
 前回のエントリで、中小企業の知財活動を考える際のポイントとして、
(1) 知財の外部への働き以上に、内部に生じる効果を重視すべき
(2) 「知財をどう守るか」以上に、「売り上げをどう増やすか」を強く意識すべき
ということを書きました。
 では、(2)について、具体的に何をすべきかというところですが、以前から、特にビジネスモデル特許ブームの頃にも「カタログに『特許出願中』と表示しましょう」ということはよく行われてきました。それと一体、どこが違うのか。むしろそういうやり方は、誇大広告で胡散臭く見えてしまうケースもあり、抑制的であるべきではないか、といった意見が出てくるかもしれません。

 しかしながら、同じようにカタログに「特許出願中」と表示するとしても、ビジネスモデル特許ブームの頃によく行われていたようなPRと、(1)と(2)に基づいた方法は、大きく異なるものです。
 つまり、内部的なプロセスを重視した後者の方法では、先行技術との対比などの特許出願のプロセスを通じて、自社が開発した技術の特徴、他との違いを客観的に理解することによって、自らの開発した製品は「ここが他社にはない、当社にしかできない特別なもの」であるとの自信を深めることになる。そして、それを営業担当にも伝えることによって、自らが売っている製品に「他社にはない、特別な製品である」とのプライドを持ち、顧客に対して自信をもって推奨できるようになる。営業担当がそうやって開発の成果を積極的に外部にPRしている姿を知って、開発担当は「もっとよいものを作らなければ」とモチベーションを高めることになる。こうした流れを作っていくこと、つまり、単に表面的に「特許ですよ」とPRすることではなく、よりよい製品を作って顧客に使ってもらおうという会社の内部のエネルギーを高めていくこと、そこに「売るための知財戦略」の本質があるわけです。

 こうやって考えてみると、かなり昔のエントリで紹介した、「使える弁証法」に書かれていた「螺旋的発展」という考え方を思い出します。一見すると同じところにいるようであっても、実は螺旋状に発展して一段高いところに登ってきている。そうであって欲しいというか、そうであってもらわなければ困りますが。

使える 弁証法
クリエーター情報なし
東洋経済新報社



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