経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

「ゼロからわかる 知的財産のしくみ」発売のお知らせ

2015-08-07 | お知らせ
 「<入門の入門>知的財産のしくみ」の後継版となる「ゼロからわかる 知的財産のしくみ」が、間もなく発売されます。帯のキャッチコピーのとおり、「知的財産を速習したいビジネスパーソンのための決定版 一読すれば、知的財産のアウトラインと勘所をつかめる!」というコンセプトで書き下ろした、ビジネスパーソン向けの知的財産の入門書です。
 以下、本書の「はじめに」の一部を紹介させていただきます。

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 筆者が初めて知的財産の入門書を上梓したのは、今から8年前になります。その巻頭に次のように書きました。

 (前略)インターネットの世界では、誰もが自由に参加することが可能な、双方型の利用形態である「Web2.0」への流れが加速しています。
 これを知財の世界になぞらえるならば、これまでは企業の知的財産部門や弁護士、弁理士などの外部の専門家に任せきりであった知財業務の領域に、多くのビジネスパーソンや研究者が双方向で参加する、「知財2.0」とでもいうべき状況への転換が求められているところではないでしょうか。(中略)
 本書が、知的財産のしくみを理解することに役立ち、知財の世界とビジネスや研究開発の現場を結びつける橋渡しとして、「知財2.0」のステージに進む一助となれば幸いです。(後略)

 あれから8年を経て、状況はどのように変わったでしょうか。
 企業の知財部門で・・・
 このように、知的財産に直接関わる側の意識や人材の層が変化する一方、ビジネスの現場ではどうでしょうか。
 特許の出願件数は2割近く減少・・・「知財の双方向化」は、なかなか進展していないのが現状です。
 その間の日本経済を振り返ってみると、リーマンショック、東日本大震災と2つの大きな試練に直面しました。生き残りのための構造改革に追われ、知的財産を活かして新規事業を立ち上げるという、前向きな投資に意識が向きにくい経営環境が続いたことは否めません。
 しかし、日本経済は明らかに変化してきました。上場企業はROE重視の姿勢を鮮明にして、成長のための投資に資金を振り向ける動きを見せています。地方再生の担い手として、中小企業の活性化に向けた様々な施策が打ち出されるようになりました。新しい事業、成長の種となる知的財産を意識する場面が増えるのは必然であり、知的財産を意識する場面が増えるようでないと、経済成長も覚束ないものになってしまうでしょう。
 専門家に任せておくだけでない「知財の双方向化」は、まさにこれからが本番です。

 本書は・・・ビジネスパーソンが、知的財産の「専門家としての知識」ではなく、「専門家と話すための知識」を身につけることを意識して書き下ろしました。一読すれば、知的財産とはどういうものか、そのアウトラインと勘所をつかむことができるように、簡潔さとわかりやすさを重視したため、十分に説明できなかった箇所も残っています。
 知的財産の活かし方について・・・知的財産管理技能検定3級を目標にしてみるのもよいでしょう。

 最後になりましたが、本書のコンセプトを理解して出版にご尽力をいただいた、一般社団法人金融財政事情研究会の田島正一郎様に改めて御礼申し上げます。「知財の双方向化」の担い手となることを期待する金融機関との関係が深い同会から、本書を上梓できることを大変嬉しく思います。

2015年7月 土生 哲也



KINZAIバリュー叢書 ゼロからわかる知的財産のしくみ
土生 哲也
きんざい


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