経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

タクシー料金と代理人報酬

2007-10-10 | 新聞・雑誌記事を読む
 本日の日経の大機・小機のコラムに、「タクシー値上げへの疑問」という記事が掲載されています。先日、都内のタクシーが値上げになるというニュースが報じられていました。燃料価格の上昇や安全性確保のためにも運転手の待遇改善が必要、というのが大義名分らしいのですが、価格とは需要と供給で決まるものであり、コストを基に価格を決めるというのは社会主義計画経済のやり方である、供給に対して需要が不足しているデフレ業種において値上げをすれば、客足が遠のいて状況はさらに悪化するだけ(クリスマスの翌朝にケーキを値上げするようなもの)、とバッサリ斬っています。「銀座のコーヒーが高いのは出店コストのせいではなく、1000円でも飲む人がいるからだ。値段は市場が決める。」とは、まさに仰るとおりです。
 需給バランスの悪化によるデフレという意味では弁理士業も他人事ではありませんが、これに対して「そんなに安くては質の高い仕事はできない。ちゃんとした明細書を書こうと思えば○十万円はどうしても必要だ。」ということがよく言われます。一見すると正論のようにも思えるのですが、よく考えてみればこれもコストを基に価格の正当性を主張する社会主義計画経済的なアプローチです。「銀座のコーヒーは1000円でも飲む人がいるから1000円である」という理屈に照らして考えると、「ここで出願することに○十万円の価値があるから代理人報酬は○十万円である。」と納得が得られるような仕事の仕方を目指すということが、市場経済下における正しいアプローチということになりそうです。