経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

商品の強さを支える財務戦略

2007-10-16 | 新聞・雑誌記事を読む
 本日の日経金融で解説されている「キャッシュ化速度比率」に関する記事が興味深いです。ゴールドマンサックス証券・電機担当アナリストの藤森裕司氏のリポートで分析されているそうですが(図の出所は同証券)、日本の電機メーカーの課題の一つとして、運転資本の管理が求められるのではないか、というご意見です。
 図では、縦軸にキャッシュ化速度(売上の回収期間と原材料等の支払期間の差、要するに売上をどれだけ早く現金化できているかというスピード)、横軸に投下資本利益率(要するに投下したお金に対してどれだけ儲かったか)をとったグラフに主要企業の数値をマッピングしてみたところ、任天堂、アップルなど独自性の高いヒット商品を生み出しているメーカーは右上側にあり、苦戦している電機メーカーは左下側に集中している、という顕著な結果が出ています。つまり、運転資本の管理がしっかりなされている(売上を早く回収し、支払を長期化し、在庫を圧縮する)企業ほど、潤沢なキャッシュが激しい競争を生き抜く源となっているとのことです。ヒット商品があるからキャッシュポジションもよくなるという言い方もできるので、どちらが卵か鶏かというところもありますが、運転資本と強い商品が密接に関連しているということは間違いなさそうです。
 ファイナンスそのものが目的化してしまうのではなく、ファイナンスが商品の強さを、ひいては企業の競争力を支えるという、本来あるべき姿の好例であると思います。