赤い彷徨 part II

★★★★☆★☆★★☆
こんにちは、アジア王者です。↑お星さまが増えました。

【本】「いたこニーチェ」(適菜収・著)

2015-06-14 21:58:58 | エンタメ・書籍所感
コミカルなタイトルのとおり(?)、ごく普通の若手サラリーマンである「吉田武昭」の前に、19世紀ドイツの哲学者ニーチェが高校時代の同級生・三木の身体を借りて降臨し、説教を始めるという荒唐無稽なお話。現代に甦った(?)ニーチェが、キリスト教とその支配から生まれた近代思想を徹底的に批判・否定して近現代思想に染まった吉田を「覚醒」させていくというストーリーです。自分が今まで敬遠してきた哲学の入門にとお世話になっている方からお借りして読んでみましたが、とかく難解な哲学を面白おかしく理解できるという点ではまさにうってつけの作品と言えます。続編的なものとして「脳内ニーチェ」ってのもあるようです。

「神の国は存在しない」、「真の世界は存在しない」、「普遍的真理など存在しない」、「最後の審判はやってこない」、「理想によって現実を測るな」、「言葉と概念を疑え」、「対立と犠牲を恐れるな」、「人間の《生》を汚すな」…、といった教訓ともども、キリスト教とともに、資本主義、民主主義や新自由主義といった近代思想に対する、ニーチェによる徹底的な批判を浴びて、よい「頭の体操」になった。著者の適菜収さんは哲学の学位などは持たない「著述家」であり、一世を風靡した「日本をダメにしたB層の研究」の著者、かつ大阪都構想批判の急先鋒だったいうのは、恥ずかしながら読後に知ったことです。