ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

Unsung Heros-その2:映画のメリーとピピン

2005年05月04日 | 指輪物語&トールキン
まだキングコンプリートのDVD見てません(汗)SEEの特典映像先に観るべきかなあとか思いつつ、そっちも見てないのですが(汗)
で、原作もちょっと読んだのですが、たいして進んでないので(まだアンドゥイン下ってます(汗))、久々にUnsung Heros-のことを。こちらも全然読み進んでなくて、まだメリーの章の途中なのですが(汗)
原作のメリーについて書かれていた部分についてはあまり感じるところがなく、妙に「Hero=英雄性(?)」という枠にはめようとしているのが気に入らなかったのですが、映画について書かれているところの方が面白く読めるような気がしています。
まずは映画のメリーの「英雄性」を取り出すというか、映画のメリーが原作同様「物知りヒーロー(汗)」な部分を取り出して解説していましたが、映画のメリーのりこうぶり(瀬田訳風(笑))を繰り返し語られるのはとても嬉かったりする私(笑)
どうも、原作ではメリーの博識なところは意図的にそういうキャラクターに描いているというよりは、都合の良い解説者的な要素を感じてしまうのですが(映画もそういうところはありますけどもちろん)、映画のメリーは、ふざけたコミカルなキャラクターにしつつ、むしろ意図的にメリーのしっかりした部分を描いていると思えるのですよね。
そして、そういうメリーのキャラクターの変化はピピンとの関係が変わっていることによると、「Unsung Heros-」でも著者のLynette Porter氏も指摘していて、このあたりが面白かったです。
原作ではメリーとピピンの運命は平行して描かれていて、セオデンやデネソール、エオウィンやファラミアなどと共に見事な対比を見せており、このためにメリーとピピンは対等な友情関係として描かれている、とPorter氏は指摘しています。
更に、映画のメリーは、ピピンの面倒を見ることにむしろ依存しているというようなことも指摘していて、このあたりも私も感じていたことだったので、うんうん、と思いながら読んでいました。
SEEの追加シーンでピピンの方がメリーよりも背が高くなったことについても真面目に書いてあってちょっと笑えました(笑)いやでも、あの場面のメリーの「ピピンが自分より優位に立つのが気に入らない」というあたりは実は映画のメリーとピピンの関係を描く上で結構重要ですよね。単純にかわいくて好きというのもあるけど(笑)
しかしPorter氏は「メリーもエント水を飲んで背が高くなった」と解釈しているようですが、映画ではあれはどうなんでしょうねえ? 単に「元にもどった」だけとも思えますが。
そんなメリーにとってのピピンとの別れについては、ドミニク・モナハンのコメントも引いて、「半身を引き裂かれるようなものだった」とも書いています。そう、あの場面はむしろメリーの方が淋しそうなのが印象的ですよね・・・
そして、ペレンノール野でのピピンとの再会で、ピピンがメリーの「面倒を見る」立場に逆転したことと共に、メリーもまたピピンに頼れるようになった、ということが書いてあったのには、ああそうか、とちょっと目からウロコでした。
「やっと見つけてくれたね」「僕を置いて行くの?」というメリーの台詞には、それまでになかったようないじらしさを感じます。
とまあこのあたりまで読みました。エオウィンとのことは多分次の章に書いてありそうです。
こうして読んでいて、どうも私はやはり映画のメリーが好きなのかな、と思いました。もちろん原作のメリーも好きなんですが、映画のメリーがきっかけだったことは間違いないですし。
映画のメリーとピピンについては、ピピンに重点が置かれているのはあるとしても、オリジナルの解釈で随分と面白いキャラクターにしたなあ、とも思います。
でも原作でも多少はそういうところはあるようなのですが。「ユリイカ」増刊号に出ていたマリオン・ジマー・ブラッドレー氏はそのあたりも指摘していたのですけどね。
とにかくこの章は面白く読めたのですが、考えてみたら、この章のピピンとの関係に関しては「英雄性」についてはほとんど書かれていないんですよね。確かに「英雄性」とは無関係なことですもんね・・・
タイトルにある「Hero」と関係ないことを書いている部分が面白かったりするところに、この本の主題の設定に疑問を感じてしまったりもするのでした。なんか無理に「Hero」にこじつけてないか?と・・・
どうも、こういう本を出版するにあたって、何か「売り」が必要で、無理に「無名のヒーロー」という主題を設定してこじつけて書いたのでは、と邪推してしまうのですが・・・(汗)
そして、どうもこの著者のPorter氏はむしろ映画から着想を得てこういう本を書こうとしたのではないかなあとか・・・
このあたりのことは序章とか読めば書いてあるのかもしれないけど(汗)どうも文章の内容よりもそういう余計な背景が気になってしまったりするのでした・・・(汗)
コメント
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