ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

ホビット映画終盤のサントラのこと

2013年02月18日 | 指輪物語&トールキン
色々と作業が進まず、書きたいことが全然書けていない今日この頃ですが・・・
今も指輪サイトのサントラ場面予想の答え合わせがまだ途中という状態なんですが、今回のホビットのサントラでちょっと気になっていることがあって、そのうちどこかで書きたいと思ってました。
そうしたら、はなれ山通信さんでちょうど私が気になってた話をして下さってました!こちらが前編こちらが後編です。
映画終盤のトーリンがアゾグに向かって行く場面でナズグルのテーマが流れるけれど、あれは時間がなくて後付けであの曲になったのではないか、という話です。(メインはアゾグの扱いの変遷についての推理ですが、これがまた面白いです・・・!)
実は私もあのサントラについては気になっていて、ちょうどいいタイミングなのでちょっとブログに書いておこうかなと思いました。

ホビットのサントラは、LotRと同じモチーフを使っているだけでなく、LotRと同じサントラを敢えて使っている場面が結構あります。
冒頭の袋小路屋敷の場面などは、それが良い効果になっていたりします。ビルボがパイプ草を吸う場面がFotRでガンダルフと一緒にパイプ草を吸っている場面と同じだったり。
しかし、それが終盤になると、「なぜここでこのサントラ?」と首を傾げるような場面が多くなります。終盤というか、ほとんどOut of Frying Pan以降の場面ですが・・・

まず「えっ」と思ったのが、先にも挙げたトーリンがアゾグに向かって行く場面。いきなりナズグルのテーマで「えっ?」という感じでした。
トーリンが何らかの暗い思念からアゾグに向かっているからか、なんて思ったりもしましたが、(実際トーリンがドワーフの指輪を持っていてその影響じゃないか、なんて意見もあるそうです)どうも解せない・・・
一番解せないと思ったのは、いかにもFotRで登場したままのアレンジだったことですね。新たに録音はしているようですが、ちょっとアレンジにひねりがなさすぎなのではないかと・・・袋小路屋敷の場面ではFotRと同じ音楽が出てきて「そう来たか」と思えたのに、ここはちょっと違和感を感じてしまったんですね・・・

もっと違和感だったのは、鷲たちが登場してワーグに襲いかかるあたりの音楽が、TTTのエントのアイゼンガルド攻撃の場面の音楽なんですね・・・(ここは新たに録音したものかまでは確認できてません)
直前にエントの攻撃の場面でも流れた「自然のテーマ」が出てきているので、その流れでかなという気もしますが・・・(自然のテーマ自体は蛾と鷲たちが出てくるのでいいんですが。余談ですがまた蛾が出てくると思わなくて映画館で噴きそうになってしまった私(汗))いくらなんでもそのままなのがどうにも違和感で。

さらに、鷲たちがトーリンを見張り岩(見張り岩あんなに高いと思ってませんでした(汗))まで運んで、トーリンが気がつくまでは、同じくTTTの、ファラミアがフロドたちをオスギリアスまで連れて行く場面から木の鬚がサルマンに破壊された森を発見するまでの場面で流れていたサントラなんですね。ここも新たに録音したものかまでは確認できてませんが、かなりTTTと同じです・・・
ここに至っては、どういう意図で使われているのか皆目見当がつきません・・・

そして、トーリンがビルボを抱きしめる場面では、RotKの戴冠式の場面の音楽が。まあめでたしめでたしの場面ではありますが、ちょっと大袈裟すぎませんかね・・・たかがトーリンがビルボを認めたってだけの場面ですよ。まあ1作目のハイライトではあるんですけど。

で、ラストに皆ではなれ山を臨む場面では、ホビットサントラオリジナルのドワーフのテーマとトーリンのテーマが流れるんですが、よくよく聴いていると、サントラCDでいうとAxe or Sword、袋小路屋敷でトーリンが「エレボールを取り戻すぞ!」と気勢を上げる場面とほぼ全く同じようです。(ここも全く同じかどうかは未確認ですが)

というわけで、終盤のサントラを聴いていると、どうも緻密に作られている途中までのサントラとの違いが気になってしまって、もやもやしていたわけです。

ついでに、中盤ですが、ガンダルフとガラドリエルの場面のサントラもちょっと気になってます。
ガラドリエルに「なぜホビットなのです?」と聴かれてガンダルフが答える場面、FotRの「一行の離散」の感動的なサントラが流れるんですが、ここもちょっと大袈裟すぎないかなあと・・・
CDを聴いていると、単に静かなクラリネットのホビット庄のテーマが使われていたようなんですが、なんで変えちゃったのかなあ。盛り上がりが欲しかったから? ちょっと解せない変更です。
もう一つ、ビルボがゴラムに憐れみを感じる場面、CDだとスメアゴルのテーマだけですが、映画ではトロルの洞窟を出たところでガンダルフとビルボが会話する場面の音楽が追加されています。
ここもどうも前に出てきたそのままの音楽が使われている気がしますが、ここはむしろこの変更が大正解だったと思うので、まあいいかなと。
(お気づきの方が多いと思いますが、この曲、FotRでモリアでガンダルフがフロドにビルボの慈悲について話す場面で流れていたのと同じですね。だからまさにビルボが慈悲を示した場面で使うのは正解だなと)

ちょっと話が逸れましたが、終盤のサントラに話を戻します。
終盤の音楽、CDを聴いてみても、実際の映画とはサントラがかなり差し替えられているのがわかります。
三部作になるのが発表されたのが7月30日で(はなれ山通信さんより)、サントラの録音が始まったのが8月20日。
ただし、CDを聴く限りでは、ちゃんと三部作用の音楽は作られていたことがわかります。まあ、もしかしたら二部作のラスト用だったりしたかもしれませんが・・・
しかし、フタを開けてみれば、Out of Frying Pan後半から全く違う音楽の展開に。
編集が押せ押せになって、映像に合わせて新しく音楽を作るのが間に合わなかったんじゃないか、と思ってしまいますね・・・
サントラの録音自体は11月19日までやっていたそうなので(ずっと8月から引き続いてやってたかどうかわかりませんが)、新しい音楽を作る時間はありそうなものですが、編集が間に合わなくて映像が来なければ音楽も間に合わないですよね・・・

今改めてサントラCDを聴いていますが、Out of Frying PanからGood Omenに至るまでのサントラ、素晴らしいんですよね。映画で実際に使われたサントラと比べると、その格差にちょっとがっかりしてしまうというか・・・
やはり時間がなくて急場しのぎなサントラになってしまったんじゃないかなというのは否めませんね・・・
TTTの時も一箇所だけFotRの音楽を流用していたそうですが、(ヘルム峡谷に向かう時にワーグに襲われる場面の一部)それは後から編集して音楽が足りなかったから、ということのようです。
今回のホビットの終盤のサントラについては、少なくともナズグルのテーマは録音しなおされているようですし、本当に全く音楽が間に合わなかった、というわけでもない気がします。
私も先に書きましたが、ナズグルのテーマにしろエントの攻撃にしろ、ある程度の意味づけはできるんですよね。
そして、冒頭の袋小路屋敷の場面では、敢えてFotRと同じ音楽を使っているし。
時間がないので、そのあたりに乗っかって? LotRと同じ音楽を使うことにしたのかな、なんて気もしています。
いずれにしても、アカデミー賞とか軒並み音楽がノミネートされなかった理由がわかる気がしました・・・
真相はいずれDoug Adamsさんが書くらしいThe Music of the Hobbit Filmsとかで明らかになるのかな?
その前にブログで何か書いてくれそうな気もしますが。誰か質問とかしてないかなあ・・・(英語わかれば質問してみるんですけどね・・・)
コメント (2)
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