ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

ブロードウェイ版「太平洋序曲」

2005年01月14日 | ミュージカル・演劇

という訳で、宮本亜門が日本人初のブロードウェイ演出家として頑張った「太平洋序曲」を見て参りました。
この作品、新国立劇場の初演で惚れまして、リンカーンセンターでの公演まで行ったり、一昨年夏はロンドンのDOMMERWEAR HOUSEでの別のプロダクションの公演にも行ってしまったほどです。
今回は最初に2階席の前の方で、2回目は1階席の後ろの方で見ました。
最初に2階席で見た時は、正直がっかりしました。もしかしたら3回見ようかと思っていたのですが、2回でいいや、となってしまったくらい・・・(汗)
でも、2回目を1階席で見たら、はるかに良かったんです。舞台自体の出来がそんなに変わっていたとは思えないので、2階席で観るには向かない作品なんだなあ、と思いました。
これはリンカーンセンターで後ろの方の席で見た時にもちょっと思ったのですが・・・(前の方の席が取れていたのに後ろにされた(怒))ふすまの迫力とか、1階で、しかもなるべく近くで見ないと伝わって来ないんですよね。やっぱり小劇場用に作られた演出だなあと実感しました。(THEATER54はそんなに奥行きがないので、後ろの席でもOKでした)
実はチケットを予約した時点で、1階席はほとんど空いてなかったんですよね。たまたま2つだけ空いていて、奇跡的に1階席が取れたのでした。ラッキーでしたね。
しかし、劇場の構造が亜門版序曲には向いていない、と聞いていましたが、本当にそのとおりでした。2階席がほとんど1階席と同じくらいの広さで、上に覆いかぶさってるんですよね。
2階席からは花道がほとんど見えず、苦肉の策で舞台まで花道代わりのマット?が延びるようにして、2階席からも見えるように工夫はしていましたが、後ろの方からは見えたのかなあ・・・
でも、黒船からアメリカ人がやってくるところは、2階席にも通路に出てくるとかしてたりもしましたけど。
そして、1階席も後ろの方では天井の星条旗が全く見えませんでした。んー、あれが結構インパクトあるはずなんですけどねえ・・・(それでも1階席で観た方がいいけど(汗))

という訳で、1階席で観たら良かったのですが、それでも、やっぱり日本人キャストでやった時の方が良かったなあ、という感覚はありました。N.Y.タイムズの評で「(日本語から英語に)再翻訳されたことで何かが失われた」と言っていたのはさすがに的確な評だったなあ、と関心してしまいました。
ほとんどが正座もしたことがなかったというアジア系アメリカ人のキャストたち、殺陣も所作もかなり頑張っていて、ほとんど違和感がないくらいにできていたのは素晴らしかったのですが(でも万次郎の殺陣は今ひとつだったかも・・・。香山役のマイケル・K・リーの方がスジが良くて、香山が勝つのでは・・・と思ってしまいました(笑))、あれは日本人がやるための演出だったのかなあと。
いや、それなりにやっぱり良かったと思うのですが、日本のプロダクションでやっていたあの輝きはなかったなあと思ってしまうのでした。キャストはほとんどが日本より上手かったにもかかわらず(汗)
ロンドンで見た太平洋序曲は、様々な人種のキャストが混在していて、白人系や黒人系のキャストが日本人を演じていたりしたのですが、いっそ潔く「誤解されたジャポニズム」をやりきっていて、本来はこういう作品なのかもなー、と思わせるものがありました。結構良かったんですよね。
所作や殺陣なら、もともと役者じゃなかった本田修司さんだってちゃんとやったことなんかなかったはずですが、やっぱり時代劇なんかを見て育っている日本人とは何かが違うのかもしれないなーと思ったりして・・・
ギャグも、日本人のギャグだなーと思ったりして。それにしても治田さんオリジナルのギャグが結構そのまま使われていたのにはびっくりでした。治田さんてすごいなあ。
ギャグで一番受けてたのは、香山が小舟で出てくるところでしょうか(笑)あれは日本でも受けますけどね。
あと、「菊の花茶」で登場人物が紹介される時、小姓が「His companion」と紹介されると大ウケだったのが新鮮でした(笑)。そうか、英語だと即そういうお相手、という意味合いになるんですねえ。

演出はそんなに変わってなかったです。細かいところが変更になってたりはしましたけど。
たまてが自決する場面は元の位置に戻ってました。
あ、アメリカ人が上陸する場面、日本では笛は本当にオケの人が吹きながらやってたし、スネアも打楽器の人が叩いてたのですが、今回は役者さんがやってたみたいです。笛は吹くまねだけだったし、スネアはかなり下手でした(笑)
衣装はコシノジュンコ氏になって、ちょっと違和感でした。結構普通の和服っぽい感じになってて・・・
NEXTで、上着を脱いだら皆ラメ入りタンクトップだったのを見た時はかなりひきました(汗)
あ、でも神官の烏帽子がふにゃふにゃっと曲がっていたのはかわいかったです(笑)

それにしても、やっぱりブロードウェイキャスト、誰も彼もが皆すごく歌が上手かったですねえ。
香山役のマイケル・K・リーもものすごく上手くて、「ポーラーハット」がとてもよかったです。
香山と万次郎を若いキャストにするのは、亜門版の要なんでしょうね。それにしても、小柄な香山、背が高い万次郎という組み合わせ、最初からそういうイメージだったのか、日本版のキャストを意識しているのか、はたまた偶然なのか(笑)
いや実はマイケル・K・リー結構かわいいなあ、いいなあ、と思うようになってしまいました(笑)公式サイトはこちらです。「ミス・サイゴン」でトゥイとか「ジーザス・クライスト・スーパースター」でシモンとかやってるんですね。
やはりアジア系のキャストの皆さんなので、経歴を見るとだいたい「ミス・サイゴン」に出てますねえ。
あ、阿部役の方が初演の万次郎をやってたそうです。将軍の母と老人をやった方は、初演でも将軍の母だったそうです。
そして、ロンドンで語り手をやっていた人が商人他の役で出てました! なんだかちょっと嬉しかったです。
女性陣は、たまて以外はあんまり美人な方がいなくて(汗)その代わり全員コメディエンヌって感じで面白かったです。「ウェルカム・トゥ・神奈川」では、女の子たちも田舎娘って感じで、男性のインパクトが日本ほどなかったような・・・(汗)
将軍の妻の人がかなり面白かったですね(笑)
「プリーズハロー」は、ロンドンで見た方がストレートに面白かったけど(汗)フランス司令官はダンスキャプテンの人で、踊りまくって笑いを取っていました。他の司令官も皆踊ってたりして、かわいかったです(笑)

そんな訳でブロードウェイキャストはやはり上手かったのですが、それでも日本のキャストの方が良かったなあと思うところもありました。
B.D.ウォンの語り手は、上手かったのですが、国本武春さんの存在感ってすごいんだなあと改めて思いました。
そして、たまてが今ひとつだったかなあ・・・(汗)綺麗な方でしたが。日本で東宝系のアンサンブルなんかで出ていた方のようですが。
春芳さんがたまてなのって、年齢が行き過ぎてない?(汗)と思ってた部分もありましたが、あの存在感はやはり経験がなければできなかったんだなあと思いました。冒頭の謡?の部分もそうだし、身振りだけでたまての心情を表すのも・・・
あと、「帰り待つ鳥」の歌が、とても上手かったんですが、演奏がちょっと早かったのか今ひとつグッと来ませんでした。たまてのせいもあるかもしれませんが(大汗)
日本では、広田勇司さんが感極まったように声を震わせて歌うのを聴くと、もう涙が出て仕方なかったのですが。
それから、「木の上に誰か」では、少年役の人もかわいかったのですが(この人は「菊の花茶」での小姓役がとてもかわいかったです(笑))、斉藤桐人さんのように、はしごが倒れるんじゃないかってくらいまでの勢いでは駆け上がってくれませんでした。少年っぽさでは斉藤桐人さんの勝ちかなーと。歌も負けてませんでしたよ!
床下の侍も、岡田誠さんの方が一生懸命な感じが出ていて良かったかなあ・・・。そうそう、岡田さんと同じ役をやっていた人が、なんだか似てたんですよ岡田さんに。体型とか(笑)わざと選んだのかなあ?

観客の反応ですが、スタンディングオベーションは一部のみ、という感じでしたね。ブロードウェイでスタンディングじゃないのは初めてだったのでびっくりでした。(有名なのしか見てないからかもしれませんが(汗))
ギャグのウケ方も日本と同じくらいの感じ。やっぱりリンカーンセンターはちょっと特殊な環境だっだんだなあと思いました。期間限定だったし、ソンドハイムマニアが集まってたのでは。一般的にはそんなにものすごくウケる作品ではないと思います。やはり。
亜門氏の力不足ではなく、そもそも微妙な作品なんだと思うんですよね(汗)それをあそこまで見られる舞台に仕上げた宮本亜門はやっぱりすごいと思いました。改めて。

という訳で、ブロードウェイ版もなかなか良かったとは思いますが、やっぱりあれは日本のあのプロダクションで見るのが一番良かったなあ、とも思いました。また日本で再演して欲しいなあ・・・行方不明気味な本田修司さんも見たいし(笑)
コメント (2)
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LOSTとプリンセスダイアリー2とボーンスプレマシー

2005年01月14日 | 指輪物語&トールキン

N.Y.の写真まだ残ってました。F.A.O.SCHWALTZで売ってたLotRチェスセットです。小さくて駒がよく見えませんが、白の勢力はポーンがサムばっかりじゃなくて良かったです(笑)

さて、N.Y.旅行の嬉しいオマケは、水曜の夜にドミニク・モナハン出演のドラマLOSTが観られることでした。本当は夜にはミュージカルに行く予定だったのですが、間違って昼の公演を取ってしまい、結果として見られることに(笑)
ドミニク扮するチャーリーの出番は少なめだったそうですが、メインの話は違う人たちなのに、ちゃんとチャーリーの話もあって、ああメインの登場人物なんだなあと妙な感慨がありました(笑)
妹の勧めでデジカメで画面を撮ることにして、チャーリーの出番はずっとカメラを構えていたので、あんまり話には集中してなかったかも・・・(笑)
チャーリーは諸事情によりかなり落ち込んでいて、泣いたり悲しそうな顔ばかりだったのがちょっと残念だったかなあ。

この他、機内上映で思いがけずにLotRキャスト出演の映画を2本観ました。「ナショナル・トレジャー」とか「エターナルサンシャイン」とかちょっと期待していたのですが、予想外の2本を見てしまいました(笑)
余談ですが、エターナルサンシャインは、7月にアメリカ行った時に英語のみで上映してたんですよね。英語なので行きは観なかったのですが、帰りにみようかと思っていたら、帰りは月が変わっていて見られなかったんですよね。
まずは「プリンセスダイアリー2」(放題は「プリティ・プリンセス」なんですね)
全然知らなかったんですが、クレジットを見てジョン・リス=ディヴィスが出てると知って、あんまり面白くなかったけど(汗)頑張ってみました。(ディズニーは体質が合いません・・・(汗))
王位を甥に継がせようとする意地悪な子爵役で、結構出番はあったのですが、吹き替えじゃなかったらなあとちょっと残念でした。彼の独特の喋り方で観たらまたイメージが違ったかもしれないですね。

もう一本の意外な映画は「ボーンスプレマシー」。いや、カール・アーバンが出るのは知ってたのですが、すっかり忘れてました~(汗)
続編という時点で、絶対映画館には行かなかったと思うので、見られてラッキーでしたね。
カール・アーバンはボーンを狙う殺し屋役で、いきなり最初の方と、終盤に出てきます。
感情の起伏はほとんどない役ですが、いやーアクションがカッコ良かった(笑)カール・アーバンてカッコイイなあと思いましたよ(笑)
ロシア人役らしく、ロシア語喋ってたみたいなんですが、私にはあんまりロシア語には聞えなかったんですけど・・・(汗)機内上映のヘッドホンでよく音が聞えなかったせいもあるかもしれませんが(汗)
映画の内容は、前作見てないんですが(汗)「ボーンが記憶を失った元C.I.A.の工作員」という設定さえ知っていればだいたい理解はできる内容だったので良かったです。
今回機内上映であんまり良い映画がなかったので、これが一番良かったかなあ、結局・・・
夏にアメリカに行った時には意外に良い映画に当たって楽しかったんですけど。
「ヒダルゴ」とか「50 FIRST DATES」とか。

余談ですが、最近の国際線は映画を観るテレビがだいたい座席ごとに液晶の画面がついているものなのだと思っていたら、ノースウェストは未だに前の方のスクリーンと通路上部のモニターだったのでびっくりでした。
しかも、妹が行きに座った席は、離陸につれて座席が後ろに下がっていくというとんでもない席でした。こんなのアエロフロートだけかと思ってたのに(笑)
でも機内食はまあまあでした。アメリカ系の機内食は最近結構美味しいですよね。ヴァージン・アトランティックは不味かったなあ・・・映画とかエンタテイメント系は充実してたけど。
と思わず旅行カテゴリーの話になってしまいましたが(汗)これにて今回のN.Y.旅行の話はおしまいです。お付き合いいただいてありがとうこざいました。
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