きまぐれ発言

日々変化する世の中をみて、私はこう思う。

「アンリ・デュナン」と「ナイチンゲール」

2010-08-15 14:51:51 | Weblog
「アンリ・デュナン」と「ナイチンゲール」        (010.08.15.)

昨日のBlogで赤十字の創始者の「アンリ・デュナン」を紹介したが、赤十字の歴史の中では「ナイチンゲール」の名前は有名で、赤十字の創始者は「ナイチンゲール」だと思っている人が多い。

「デュナン」が赤十字を創設した当時「ナイチンゲール」はデュナンの考えに反対を示していたのである。その違いと言うのは、デュナンは、「敵味方を問わずに救援する」事を目指していたが、ナイチンゲールは「味方の兵士を助けるべきだ」と言う考えで、1854年のクリミヤ戦争時の活躍はデュナンも高く評価をしていたが、その考え方には多少の違いがあった。
しかし、両者の確執もナイチンゲールが赤十字の趣旨に共鳴し、その後は両者とも熱心な活動家として、伝えられている。

人道的救援活動というものは、負傷した兵士や、窮状に陥っている状態では、もはや、敵・味方の区別なく「人類愛」の精神が、行動の発露になっているもので、日本でも、敵に塩を送ったと言う、武田信玄の話や、日露戦争では外国人捕虜の扱いが、丁重であった事は、国際社会からも高い評価を得ている。

しかし、今日の新聞ではアメリカのオバマ大統領が、ニューヨークの同時多発テロ跡地の近くにイスラム教のモスク建設に反発する声にたいし、「宗教の自由にたいする米国の誓約に揺るぎがあってはならない」と述べ、建設支持の姿勢を示している。そして、一方ではテロの犠牲にあった遺族の苦しみにモスク建設への反発には理解を示すが、その上で、米国ではイスラム教徒にも宗教を実践する権利がある」とし、テロ跡地付近でのモスク建設に理解を示し一般のイスラム教徒を敵視しないよう求めている。  
しかし、CNNの米国民世論調査では、68%が建設に反対をしている。

アメリカには、テロを憎む気持ちが強いのか、違法を行なう戦闘員には国際人道法は適用する必要がないと言う考え方が強いようだ。イラクのアブグレイブ刑務所や、キューバのグアンタナモ基地での捕虜虐待事件についても、赤十字が「虐待は行き過ぎだ」と言う主張に対し、「赤十字はテロリストの味方をする裏切り者だ」と言う反発を示している。

ブッシュ大統領時代には、「米国に対し、敵か味方かを迫り反対する側は、中立も含めて敵とみなす」と言う姿勢を示していたそして、「赤十字は中立ではない。アムネスティなど左派NGOと同じだ」。と言ってきた、これに対し赤十字(ICRC)は「テロとの戦いであっても、法を免れる事は出来ない」と反論してきた。

ジュネーブの赤十字本部内でもアメリカを非難する声が広まっており、特に今後の中東情勢の行方がアメリカによる一方的な「テロ支援国」と言う決め付けが、問題をこじらしているだけに、今後の行方が注目されるところである。
(えびなたろう)