きまぐれ発言

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カンボジャ国民大虐殺の、初公判

2010-07-29 11:50:56 | Weblog
カンボジャ国民大虐殺の、初公判     (010.07.29.)

カンボジャのポルポト政権による国民大虐殺を裁く特別法廷公判が26日開かれた。

1975年にカンボジャ国内で、ポル・ポト派が政権を握った時、極端な共産主義政策を展開し、政治犯や知識人を粛清し、都市住民を強制移住や強制労働させ、多くの住民を餓死させたのである。

彼らの所業は、貨幣制度や宗教、家族制度までも否定し、全土で、密告による処刑が行われた。政権は79年に崩壊したが、国内での内戦がその後も続き最高権力者であったポル・ポト元首相が98年に死亡した事で沈静化に向かった。

この大虐殺によって当時のカンボジャ国民の4分の1に当たる200万人近い死亡者が出たと推測されている。
この様な狂気に近い虐殺が、何が目的で、何を意図して行われたか、またどう言う意思決定で行われたかが、今もって全く明らにされていないのである。

国連においても人道上の見地から、カンボジャ国内法廷として、2004年に特別法廷の設置が決まり、戦争犯罪などで元ポル・ポト派幹部を裁くものとして、法廷設置に日本も予算の半額を支援している。

今回判決が言い渡された被告は、プノンペンにあった政治犯収容所の所長で、カン・ケイ・イウ被告(67)で、収容所では、女性や子供も含む1万5千人の一般国民がいわれのない罪で連行されており、拷問で死亡したり、処刑場に運ばれて殺され、生き残ったのは数人と言う事である。

公判で所長は虐殺の詳細を供述し、犠牲者への謝罪を口にしたが、虐殺の全容については、政権意思決定に関与する立場にいなかった事で、禁固35年が言い渡された。
所長の供述その他、裁判に協力する姿勢が考慮されての判決であったが、今後に控えている、最高幹部級、4人の公判が急がれるところである。

大虐殺の本質を解明する元幹部らはいずれも70~80歳と高齢であるためにどこまで解明できるかが時間との戦いである。
(えびなたろう)