つれづれの記

日々の生活での印象

大相撲 その3  これからの土俵

2010年04月18日 17時36分40秒 | 日記
4月18日(日) 大相撲 その3  これからの土俵


 大相撲について、本ブログでこれまで、以下のように、2回に亘って、
10/03/01 大相撲 その1 横綱の品格
10/04/10 大相撲 その2 最近の話題と競技の特長
所感を述べてきたが、今回は、その3として、今後への期待を記して、まとめとしたい。

○大相撲は、歌舞伎や能と並ぶ、伝統文化である、という意見もあるほど、日本の精神的風土に大きく関わっている、と言える。その例をあげれば、相撲用語から一般語化した、有用な言葉が多いことに気づく。
    同じ土俵  土俵際  四つに組む 
    寄り切り いなす うっちゃり 勇み足 押しが強い 白星 黒星
    水入り(水入らず) 仕切り直し 行司役 三役
    八百長 露払い
    横綱相撲
などである。
 日本には、伝統的な武芸や文化があり、それらは、○○道と、「道」という言葉が使われることが多い。
   武芸では  (道具) 剣道 弓道
           (素手) 柔道 合気道 相撲道
   文化では        書道 茶道 香道  などである。
 道の意味するところは、奥が深いと思われるが、技や作法だけでなく、その背景となる心を、精神面を強調する点であろう。相撲道という言葉だが、先のブログでも触れたように、心・技・体のバランスを重んじ、心では、勝負にこだわる前に、ルールを尊重する姿勢や、相手を大事にする心構えが重要となろう。礼に始まり礼に終わる、とも言われる。
 でも、道を、特別なものとして強調するのではなく、一般的な、マナーや、スポーツマンシップと同義語と考えていいのでは、と考える。どの競技やスポーツにも、マナーや、スポーツマンシップがあり、それらは、世界中、皆同じであろう。先ずルールを守り、相手に感謝し尊重する姿勢であり、相撲だけが特別ではないのだ。マナーとしては、選手の競技上のマナーは当然だが、選手の日常生活でのマナーがあり、更に、選手を指導する指導者のマナーもある。勿論、ファンとしてのマナーもある。

 わが国には、国歌、国旗、国花などがある。何時から言われるようになったかは知らないが、大相撲を、国技と呼んでいて、場所が開かれる中心、両国国技館の呼称は、まさにそうだ。国際大会ではないのに、千秋楽には、国歌が歌われる。国技などというと、右翼的な臭いも無いわけではなく、国技と呼ぶのが妥当か否かは、此処では問わない。いずれにしても、大相撲は、日本の風土に根ざし、文化的伝統をもつ、日本を代表するスポーツの一つ、と、素直に、思っていい。
 日本の大相撲は、アメリカの、野球のような位置づけだが、さらに、韓国やカナダでは、テコンドーや、アイスホッケーを、それぞれ、国の、National Sportsとして、正式に決めている、という。

○先の朝青龍事件は、相撲界全体の悪い体質が、氷山の一角として表面化したものか、たまたま彼一人が問題だったのか、と思い返す時、氷山の一角というより、彼が、大きく飛び出していた、と見える。今回、把瑠都関が、大関になったから言うわけではないが、彼のような力士が育っている、ということ自体が、相撲界の空気は、まだ健全である事を、証明しているように思う。
 でも、朝青龍関が居なくなったから、何の心配もない、ということにはならない。逆に、その穴を埋めるためにも、今後の大相撲人気を盛り上げる方策として、相撲の裾野を、国内的・国際的に広げる努力が重要だ。野球やサッカーでは、高校や大学レベルでの、目標となる大会があり、更に、プロへの道が開けているように、相撲でも、学生相撲との連携強化や、地方巡業の改善などがポイントとなろう。学生相撲出身では、以前は、輪島関や久島海関などが、現役では、琴光喜関等が、大相撲でも活躍した。新弟子として若手を採用することも重要であるが、通常の体格ではやりにくいスポーツ、という壁はあろうか。

 野球やサッカーは、チーム同士が勝負する、団体戦だが、大相撲は、あくまでも、個人戦が基本だ。このため、ファンも、個々の力士を応援する事となる。もう少し、団体戦的な要素を、取り入れることが出来ないだろうか。たとえば、部屋別対抗戦や、一門対抗戦、東西対抗戦、日本人対外国人対抗戦、などが考えられるのだがーー。
 国際化では、柔道が成功事例となろう。大相撲を、国際的に広げるには大変なハードルがあると思われるが、世界各地の相撲愛好者を集め、プロ・アマを分けない、世界選手権大会を、開催しても面白いのでは。ゆくゆくは、オリンピックの種目にもなれるだろうか。
 業界の構成は、各相撲部屋(この2月で52部屋)からなっており、部屋ごとに親方がいて、力士を、育成・鍛えるシステムがある。住んでいる足立区内に、玉の井部屋があり、たまに、北千住の駅前などで、浴衣姿の若い力士衆を見かけたりする。現玉の井親方である元大関栃東を、応援したものだ。残念ながら、横綱にはなれなかったがーーー。
 部屋の上には、一門があり、一門単位に理事を選んで、日本相撲協会が運営されているようだ。

 以下は、思いつきに過ぎないが、幾つかの提言等を述べてみたい。
 ・年寄り名について
  往年の名力士を、年寄り名で言われても、ピンと来ず、現役名に直して納得するケース が多い。年寄株の売買も、なんとなくすっきりしないし、年寄り名は、いっその事、止め てしまって、現役時の四股名で通したらどうか。年寄り名は部屋名にもなっており、、歴 史と伝統があるようだが、喩えは悪いが、あの世へ行って付けて貰う戒名が馴染めず、俗 名が分かりやすいのと似ている。歌舞伎や落語界での襲名と同じだろうか。
 ・協会の運営法について
  閉鎖的に見える、日本相撲協会の運営を、出来るだけガラス張りにする。このため、  理事会に外部の有識者やフアン代表を入れる、理事会の議事を公開する、などが有効だろ う。又、横綱審議会の権限を強化することも必要だ。
  一方、成績の評価や番付編成(給金)のルールや、取組みの決め方などを、より明確に し、予め公表しておくことも、有効であろう
 ・横綱、大関の扱い
  朝青龍事件の反省を踏まえ、横綱、大関については、部屋の親方だけでなく、協会とし ても、指導・監督する体制を作る。協会側は、横綱は横綱経験のある理事、大関は大関以 上の経験のある理事を、指導・監督者として指名し、親方との連帯責任とする。 
 ・ルールの改善等 
  立会いの改善については、常々言われて来た。だが、呼吸を合せるというが、実際の立 会いでは、往々にして、微妙な時間差がある場合が見受けられる。相手の出方を窺い、呼 吸を合わせるやり方より、軍配を少し大きくし、透明にして、両力士の間に入れて、行司 がサッと上に上げる、のが分かりやすいのだが、どうだろうか。スキーや競馬のスタート で、ゲートが開くのに似ている。
  土俵際の微妙な勝負の判定に付いては、現在の審判制は良く出来ている。行司の他に、 4人の審判が見ていて、物言いが出来、ビデオを参考に協議し判定するのはいいし、協議 結果を、場内放送で伝えるのも良い。
  行司は、華やかな衣装と声で、雰囲気を盛り上げる、重要な競技の演出係でもある。

○先の、朝青龍騒動だけでなく、最近の某親方の裁判沙汰は、悲しいニュースだし、先だっての、薬物疑惑問題もある。又、八百長という言葉は、八百長相撲から来たといわれるように、週刊誌では、八百長疑惑が取り沙汰されることもある。でも、相撲界が、これらを乗り越えて、元気を取り戻して欲しいし、ファンを楽しませて欲しいのだ。特に、以下の二つが、希望の星である。

①先だっての、理事選挙に、貴乃花親方が、伝統ある慣例を破って立候補した時は、多分、ダメだろうと思った。が、予想に反して当選となり、自分としては、ほっと安心した次第。若し、落選していたら、相撲協会の今後の方向には、希望が持てない、と思っていたからだ。
 投票に当たって、一門などからの、がんじがらめの縛りが無かったのか、非公表ながら、氏に投票する親方が何人か居たということは、生意気な言い方を許してもらえば、今後の希望の光を見た思いである。新理事の、今後の活躍に期待したい。
②もう一つは、冒頭述べた、把瑠都関の躍進である。彼に引っ張られて、他の、外国人、日本人の力士も、奮起するかもしれない。大相撲が、東西に横綱を擁し、日本文化の良さを残しながら、人気を盛り上げ、より国際化する契機に、なってくれればと思う。
 5月9日から始まる、大相撲五月場所(両国)を、テレビで観戦するのを、楽しみに待つこととしよう。BSテレビ放送も駆使して、番付下位からの殆どの取組みを伝えている、NHKの御苦労を多としたい。
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