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Brexit その後

2019年01月16日 17時26分29秒 | 日記

2019年1月16日(水) Brexit その後 

 

◇ 年末から新年にかけて、世界のビッグニュースが飛び交っているが、その中の一つが、イギリスのEU離脱をめぐる、ごたごたである。

イギリスのEU離脱について、一昨年、世界的な関心の高まりで、マスコミでも大きく取り上げられ、本ブログでも、以下のように、何度か、かなり詳しく取り上げている。 

     Brexit  1 (2016/7/2)

           2 (2016/7/9)

           3 (2016/7/17)

           4 (2016/10/10) 

その後は、交渉の進展を見守るということで、国際的にはあまり話題にならなかったが、回答期限が迫ってきた昨年後半以降、問題が表面化してきたようだ。

 この1月、イギリスを訪問した安部総理が、11日、メイ首相と会談し、合意なき離脱を避けるべく要請した。次に訪れたオランダとともに、君主国であることは、日本の君主である天皇の交代と関連があるかもしれない。

 

◇ 昨年後半に、イギリス政府(メイ首相)とEUとの間で、離脱の合意案が何とか纏められたのだが、この合意案(条約案)は、イギリス議会の承認が必要なため、議会に上程された。

 でも、合意案に対して、与党の保守党内からも反対意見が出るなど、採決を行えば否決されるのは必至の情勢のため、政府は、緊急措置として、議会での採決時期を1月に遅らせ、それまでの期間、メイ政権は、EU側と交渉して譲歩を引き出す努力を行う一方、議会内では、必至の説得工作をおこなってきた。

 

              イギリス議会で演説するメイ首相(ネット画像より)

  でも状況は変わらぬ中、いよいよ土壇場となり、昨日1月15日の採決で、

     賛成202票、反対432票

の大差で、合意案が否決された。

 交渉開始から2年以内ということで、3月29日が離脱通告の期限となっており、「合意なき離脱」という、最悪の事態が現実味を帯びてきている。

  ◇ EUには、現在、イギリスを含め、28の主権国家が加盟しており、EU域内では、ヒト、モノ、カネ、サービスの移動の自由が保証されていて、共通通貨である、ユーロ(€)が使われている。

    

   よく見えないのだが、イギリス議会内での重要な反対理由は、以下の2点という。

       ①「モノの自由貿易圏創設」

         ②「アイルランド国境管理問題」

(以下は、EU離脱まで残り半年…イギリスはこうして「袋小路」に迷い込んだ ,イギリス EU離脱.htm など参照)

 *離脱後のモノの貿易では、イギリス側は、EUと共通のルール(製品の規格、基準など)を採用し、自由貿易地域(モノの自由貿易圏)をつくるという案を示しているが、EU側は、これに反対しているようだ。 このままで、イギリスがEUから離脱すると、モノの移動に関しては、無関税から、外国並みに関税がかかることとなる。

 昨年夏、日本とEU間で、経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)が締結され、この2月1日から発効予定だが、イギリスも日本と同じようになるということだろうか。

 *最も厄介なのは人の移動に関する問題という。イギリス側としては、人の移動については基本的に規制し、モノの移動については加入時のまま自由、というのが理想なのだが、EU側は、このような、いいとこどりは許さない、というものだ。

この移動の関係で、陸続きになっている、イギリス領北アイルランドとアイルランド間の物理的な国境管理(税関、検問所)が、大きな問題のようだ。

  1922年、イギリスに併合されていたアイルランドが、イギリスから独立し自治領となるが(アイルランドが完全に独立国となったのは、1931年)、この時、アイルランド島北部が、北アイルランド自治領として、イギリスに残ったが、この地域で、宗教問題もからんで、第二次世界大戦後も、紛争が繰り返されてきた。

              (ネット画像より)

 

 その後、イギリスとアイルランドが揃ってECに加盟しているのだが、今回のイギリスのEU離脱騒動で、この国境管理が問題となっているのだ。

 デリケートな国境問題が、離脱問題を、イーハン難しくしていると言えよう。アイルランドとしては、絶対条件として、イギリス離脱後に、国境管理がおろそかになるのは避けたいところで、人の移動に対して厳しい条件をつけている。

   

◇ 以上のような状況の中にあって、イギリスとEUとの間の板挟みで、メイ首相や政権  は苦慮している訳だ。

 イギリス議会での方向がどうなるかは分からないが、何らかの合意ができて、軟着陸する可能性もあるだろうか。

 合意案が最終的に否決され、期限切れとなった場合は、合意なき離脱が現実となる。その後については、国民投票の再実施、メイ政権の退場と政権交代、総選挙の実施、などのシナリオが考えられるが、イギリスが安定するまでの期間、政治や経済の世界で、世界的な混乱を引き起こすだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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