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ケイの読書日記

個人が書く書評

都筑道夫「溶けたナイフ」他5編

2010-05-09 11:23:11 | Weblog
 キリオン・スレイ・シリーズ2編、退職刑事シリーズ2編、なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ2編、実はこれら6編は、先回ブログにUPした「七十五羽の烏」と同じ本に収録されていたが、「七十五羽の烏」を読むのに精一杯で、これら6編はその後に読んだ。

 キリオン・スレイはアメリカからやって来た怠け者の前衛詩人。翻訳家の家に居候していて、翻訳家をワトスン役に事件に首をつっこむ。
 キリオンが外国人である事から生じるトラブルがご愛嬌。

 退職刑事シリーズは、退職刑事の父親が現職刑事の息子から、今手がけている事件の話を聞いて、その場で推理するという設定。
 このシリーズの「四十分間の女」が興味深い。

 浜松駅の構内で、ある朝若い女の轢死体が発見された。身元が分かるようなものは無し。ただ駅員のひとりが見覚えていた。
 その女は一週間続けて22時48分着の下りで浜松に下りて改札を出て行く。そして23時29分の上り終列車でどこかへ帰っていった。
 そして1週間目に死体で発見された。

 こういった地方紙の小さな記事を人から教えてもらった都筑道夫は、それに論理的な考察を加え、退職刑事に推理させる。(あまり出来のいい推理ではないが)
 うーん、そんな夜更けにこの若い女性は田舎町で40分間何をやっていたんだろう? 40分間で何が出来るだろう? 皆さん、どう推理します?
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都筑道夫「七十五羽の烏」

2010-05-04 21:21:52 | Weblog
 都筑道夫の作品は、ずいぶん前にソープ嬢(その当時はトルコ嬢と呼んでいたと思う)が探偵役の短篇小説を読んだことがあるだけ。

 倉知淳の「星降り山荘の殺人」を読んだ時に解説にこの「七十五羽の烏」が紹介されていて、是非読んでみたいと思っていたのだ。
 (「星降り山荘の殺人」はこの「七十五羽の烏」の書式をまねているんだね。もちろんトリックは全く違います。)


 働くという事に全く興味を示さない金持ちのボンボン・ものぐさ太郎と、一応そのボンボンが経営する心霊探偵事務所の唯一の社員・片岡が、呪われた一族からの依頼を受けるところから物語は始まる。

 最初は、掛け合い漫才のような会話が面白く、とても軽いタッチで話が進んでいく。しかし毎日のように殺人が起こり、3人も死んで、心霊探偵たちの面目丸つぶれ。家人から無視され始める。
 そうだよね。何人死んでもケロリとしている金田一のような探偵はオカシイよね。

 小説の中に、凝った家の造りや調度類がイラスト付きで細かく書かれていて、ははーん、ここいらがトリックに関係ありかと勝手に期待したが…。
 うーん、まあ、本格推理小説ですね。
コメント (6)
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