ケイの読書日記

個人が書く書評

桐野夏生 「捩れた天国」「黒い犬」 新潮社

2021-08-21 13:09:09 | 桐野夏生
 母親が日本人、父親はドイツ人のハーフ青年が主人公。2作品ともおなじ。 日本名は有里(ユウリ)という素晴らしい美青年。4歳下に、真理(シンリ)という弟がいる。二人とも周囲が驚くほどの美貌の持ち主で、周囲の女の子たちから騒がれていた。
 そういえば、木原敏江の名作マンガ「摩利と新吾」の摩利も日独のハーフだったなぁ、なんて事を思い出す。
 桐野夏生は、私より少し年上だろうけど、私も含めて、この年代の女は、美青年・美少年というとハーフになるんだ。もちろん美女・美少女も。そうそう、桐野夏生の代表作「グロテスク」にもハーフの美少女と美青年が出てきたっけ。

 だけど、今の時代、若い人達からすると、ヨーロッパ人とのハーフだから美しい、という感覚は昭和的なんじゃないかな。芸能人を見ても、西洋人とのハーフは老けるのが早いような気がする。それよりもフィリピンとか韓国、台湾とか他のアジア人との混血の方が、美しさや若さが長持ちするようなカンジです。
 全く、小説の内容とは関係ない事を延々と書いてしまった。

 「捩れた天国」は、主人公のユウリが日本の高校ベルリンの大学を卒業し、フリーのツアーガイドをやっている時の話。ツアー会社からの依頼で、ワケアリそうな日本人女性をベルリン観光に連れて行くが、彼女は観光名所に全く興味を示さず、道行く人の顔ばかり見ている。彼女の目的は?

 「黒い犬」では、29歳になったユウリが、母親が再婚するので何年かぶりに日本に帰ってきた時の話。ユウリが10歳の時、父母が離婚し、父は弟を連れてドイツに戻り、ドイツ人と再婚した。そのためユウリは、自分と母親は父から捨てられたと恨んでいたが、実は…。
 忘れていた父親の弟を思い出したことが発端となって、次から次へ記憶が引き出されていく。思い出さなくて良い事まで…。

 2作品ともミステリ仕立てで、桐野夏生らしい作品。
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