ケイの読書日記

個人が書く書評

クリスティ作「第3の女」を読んで

2005-05-06 15:13:53 | Weblog
 本を買うときには気がつかなかったが大昔これも読んだことがある。人間の記憶というのは面白いもので、大切な話の筋とかトリックはサッパリ覚えていないが、どうでもいいところ、たとえばオリバー夫人の部屋の新しい壁紙がさくらんぼがいっぱい、という所とか、オリバー夫人がデヴィットを尾行して廃屋のようなアトリエで迷子になる、といった所は、なぜかハッキリ覚えている。

 クリスティは結構日本びいきだったんじゃないか、と思われる箇所がある。1890年中産階級生まれのイギリス人であるクリスティにとって、外国人ましてや有色人種なんか、といった意識は表面には出さなくても根強くあるだろう。だいたい東洋といえば中国が代表的な国で、日本ってどこにあるの?というイギリス人がほとんどだと思う。しかしクリスティの小説の中には、ちょこちょこ日本が出てくる。この「第3の女」の中にも。
 もうろくしかけた退役軍人ロデリック卿の口を通して。「第1次大戦では日本は同盟国だったが次の戦争では真珠湾を攻撃しくさった!われわれは、いったいどっちの側にいるのか皆目わからん!」
 またアパートの管理人が事件の起こった部屋へポアロを招きいれ、部屋の内装を説明する時「日本画もございますですよ。芸術的でしょう?」と誇らしげに言う。日本を好意的に書いてくれ、ありがたいことだ。それともマーケットとしての日本を十分意識していたのだろうか?

 日本に好意的といえば、オルツィの「隅の老人の事件簿」の中にも日本のことを題材にしている短編がある。20世紀最初の頃の話だろうか?日英同盟を結んで第1次世界大戦に突入する前の時代の話だ。これを読んで私は本当に驚いた。極東の島国、日本がこんな所に出てくる!!!策略家だ、と書かれていたが原文では悪賢い、というふうになっているかも。

 映画画もされた『ブリジット・ジョーンズの日記』の中にも日本人評が出ていた。パーティの参加者の年配の女性が、友人の息子の離婚した奥さんが日本人で「とっても残酷な民族なんですって」と話している場面があったのだ。いったいWHY?どこで残酷ってイメージになったんだろう。
コメント
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