本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

日露戦争とバルト三国

2004-11-08 15:20:21 | Weblog

 今、旦夕に迫っているのが水問題。
 12億以上の人々が安全な水を飲めずにいるという。毎年、発展途上国では、不衛生な水によるマラリア、下痢で一千万人も死亡している。これ、病気死亡の80%を占めるらしい。子供は8秒に一人の割合で亡くなっている計算という。

 日露戦争当時、日本兵は質の悪い水から下痢を多発させた。その下痢止めがラッパ印の「征露丸」。腸を整え、突撃ラッパの下、露西亜を征服しよう、てなわけ。その後「征露」丸は穏やかでないとなって「正露」丸となった。それなら、商標マークも進軍ラッパではなく「里芋の葉に露」なんぞがよいと思いますけどねぇ。

 日露戦争といえば、今年は開戦百年目でしたね。
 この戦争、日本は勝ったとはいえ、へとへとになって勝った(作家古川薫は「惨憺たる勝利」と言っていますな)。それでも、戦争エンジンが止まらず太平洋戦争まで突っ走った。日露戦争が「悪魔の勝利」といわれる所以ですな。

 でも、日本が日露戦争に敗れていればどうなったのだろう。つらつら思った。       
先ずは前置きから。
 エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国は、18世紀から帝政ロシアに併合されていた。一時はロシア革命の際に併合を解かれたが、再び第二次世界大戦後ソ連邦に併合された。
 やっと、ソ連末期の1991年、三国は相次いで独立し「社会主義共和国」の看板をおろした。ただし、バルト海の最も南にあるリトアニアの海岸部は、現在もロシアの飛び地(カリニングラード州)である。つまり、占領されたまんま。日本の北方領土と同じ。

 さて、日本が露戦に負ければ、北海道は割譲されよう。その地名はサハリン(樺太)南島あるいは南サハリン島でしようね。
 いやいや、日本全土が併合され、地図上では日本列島はクリル列島(千島列島)の南の列島群となっていたでしよう。
 その後、ソ連の支配下で「日本社会主義共和国」が誕生し、弾圧と粛清(処刑、流刑)に遭い、ソ連崩壊の1991年まで独立を待つことになったことでしよう。それでも、九州なんぞは「トルストイグラード州」とか「ドフトエフスキーグラード州」とかの地名でロシア領地として残されたと思う。つまり、ユーラシア大陸の西側にあるバルト三国と同じような運命を、極東の日本もたどっただろうと思ったわけ。
 もっとも、ロシアが勝っていれば、ロシア革命は成功せず、社会主義もソ連邦もない。今も、巨大な帝政ロシアが続いているかもしれない。
 パラドックスとはいえ、百年目をひそかに祝いたいものですわ。
              

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