本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

著作権を考える8

2020-12-25 09:20:47 | Weblog
 前回ちょっと触れた「著作者人格権」は、繰り返しになるが、一身専属で譲渡も相続もではない権利である。このモラールライトという人格尊重の権利はヨーロッパの考えで、「ベルヌ条約」の条項だ。これに対し、アメリカは前に述べた経済重視のコピーライトである。

 アメリカはベルヌ条約に加盟していなかった。だからアメリカは著作権法でよいとしていた。万国著作権条約には人格権はないのだ。
 ちなみに日本はどちらの条約にも加盟していた。

 さて、人格権は「公表権」、「氏名表示兼」、「同一性保持権」の三つになる。
 人格権は相続もできないから著作者が亡くなっても侵害となるべき行為をしてはならないという条項がある。死者の名誉も保護するということだ。

 プログラム権法を当時の通産省が目論んだのは、ベルヌ条約対応の著作権法の人格権がネックだったからだ。プログラムには改変がつきものだから「同一性保持権」は困るわけだ。この点、アメリカの著作権法には同一性保持権の条項がなかった。
 今の著作権法はプログラムについて「同一性保持権」は適用除外にしている。

 ただ、通産省の懐柔策としてしぶしぶプログラムを適用除外にしたわけではないだろう。もともと建築物と教科書は適用除外としてあったからだ。
 建築物の例では住宅を増改築することがある。オリジナルの権利侵害と建築会社から文句を言われてはかなわんわけだ。
 教科書の例でいえば、教科書に転載される小説の旧字体や差別語を改める必要があるからである。

 こうしていくつか著作権法から拾ってみた。ほかにも「公衆送信権」、「著作隣接権」あるいは「無方式主義」、「保護期間」、「権利侵害の罰則」などがある。
 でも、著作権の話は打ち止めにする。