本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

マケルン島で見つけた日本

2009-08-12 09:41:08 | Weblog
 オランダ東インド会社が平戸に商館を開いてから4百年になるとか。言うまでもなく、オランダは鎖国令が布かれた後も朱印状を得て渡来を許された唯一の西欧国である。

 昔、アムステルダムからマルケン島に行った。なんでマルケン島かというと…わからない。たまたま半日コースの観光バスに乗ってみただけだ。
 そこは変哲もない漁村なのだが、住民はオランダ独特の民族衣装をまとっている。男は黒ずくめのダブダブの服とサボといわれる木靴、女はカラフルな衣装に純白のレースの帽子が特徴である。観光用ではなく日常生活そのもののスタイルらしい。それが観光の目玉なのだ。

 屋台で生ニシンを売っていた。塩焼きにするためではない。三枚におろしてあって、これにきざんだタマネギを薬味にしてツルリと食べるのだ。なかなかいける。ただ、喰ったのは私だけ。カナダ人やらインド人やらの観光客は食指を動かさなかった。ついでながら、ここの名物にはウナギの燻製もある。丸々一匹が固い棒状と化しているのはなんともグロテスクだ。

 話が逸れた。
 ガイド嬢の案内で、漁師の家を見学した。この家のおばさんが民族衣装や家の構造について説明するというわけ。それはともかく、ここに古い小型のタンスがあった。観音開きの扉に写真がはめ込まれていて、やや黄変色したいたが、写っていたのは着物姿の若い日本女性である。幕末か明治初めの頃の人か。
 この家の者がオランダ商船の船乗りとして長崎に行き、持ち帰ったものだろう。オランダと日本の交易を思い起こさせたものでした。今から35年前の旅のことでした。