気が重い訪問でした。
その家の彼女は、数年前まで私が働いていたパート先での同僚でした。
ご主人様が亡くなったと聞かされたときは本当に驚きました。
スポーツマンで病気知らずと知っていたし、なにせまだ若い、55歳でしたから。
バラ好きのお2人の住まいは、満開のバラが屋根を覆うほどに伸びきりっており、
見事に咲き誇っていました。
「今まで私は主人が全てでした。これから1人で生きていく自信がない」と
涙ながらに言う彼女にかける言葉も見つからず、共に涙するだけでした。
どんな言葉も今の彼女には、通り過ぎるだけでしょう。
「急性白血病」と診断されて1年余り、入院して僅か1ヵ月の急逝でした。
満開のバラを背景に喜色満面で立っている姿の遺影は
今にも語りかけてきそうでした。
時間と共に笑顔が戻ってくるでしょうが、何とか踏ん張って乗り越えて