ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

〈元祖細胞〉になって耳を澄ましてみたいと。

2018-03-30 06:17:18 | 日記
図書館へ貸し出しの予約をして置いた本が三冊、「準備ができました」とのメールがありました。
今借りている本の返済期限は まだ一週間ほど残っていますが、「予約」が付いている本ですので、
できれば本日中に返済して、新しい本を受け取ってきたいと思います。

図書館の本の貸し出し期限は2週間。
小説等ではなく、少し、しっかり読まねばならない書籍ですと、私にとっては、2週間に3冊を
読み終えるためには、睡眠時間を減らす以外にありません。

まずは、とにかく、借りてくることに。
返済する本を、図書館へ行くバスの中で眺めました。
美しい装丁です。
      
       
        『 遺言 』 対談と往復書簡   志村ふくみ 石牟礼道子 筑摩書房 刊

染色家(人間国宝)で随筆家の志村ふくみ氏は、確か5年ほど前、郡山市美術館での講演会で 
お話を伺い、織物も見せて頂きました。
染め上げられた作品は、ため息が出るほど美しく、また、この様な方を「美しい人」と呼ぶのだ、と
惚れ惚れと眺めたことを覚えています。

石牟礼道子氏、今年の2月、90歳で亡くなられました。
著書『苦界浄土』を読んだ時に受けたインパクトは、今でも忘れられません。

著書『遺言』の中に記されている書簡の一部を載せさせていただきます。

   【石牟礼道子より志村ふくみ、洋子へ   九月十七日】
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    三年前、転倒して大腿骨を骨折したときのことでございますが、痛みも手術の時間も
    全く記憶がなく、体は千尋の谷に落ちながら魂はふわふわと離れてゆくのを感じて
    おりました。
    気がついたときは、原初の森の樹の枝にとまっていて、海から吹いてくる風に森の梢の
    木の葉たちが一斉にそよいでいる音を聞きました。
    梢の葉っぱの形は木によってそれぞれ違い、樹々の根元の草のそよぎは微妙に異なって
    おりましたが、海風が森を演奏している音を確かに聞きました。
    わたくしはこの時、元祖細胞のようなものになっていて、悠久の生命の歴史に
    立ち合うには、言葉ではなく、海が森を演奏する音に耳を澄ますしかないと
    感じたことでございました。
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
     二〇十二年九月十七日       
      志村ふくみ様
        洋子さま  
                                石牟礼道子 

石牟礼道子氏の「海」に対する想いは、私などからは想像だに出来ないほど深く、
畏れ、あこがれ、に充ち満ちている様な気が致します。

〈海が森を演奏する音〉・・・・・・心象であっても聴きたいと、
〈元祖細胞〉になって耳を澄ましてみたいと、

図書館の帰りに池のある公園に寄りました。
柳の枝が細かい緑の芽をいっぱいつけて、風も無いのに優麗になびいていました。
樹の幹に耳を寄せました。
樹液の登る音なのか、地面からの響きなものか・・・・・・かすかな音が、
じーっと じーと 聴いていた私でした。

隣の桜の蕾も膨らんで。
                             〈ゴマメのばーば〉



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