小笠原諸島・母島ジャイアン ブログ  -GIAN'S HAPPY BLOG-小笠原諸島・母島で自然農&便利屋

小笠原諸島・母島で持続可能な暮らしを目指しています。

その中や暮らしで学んだことを紹介したいと思います♪

母島でメアジが20年ぶりに大量死!!

2022年08月26日 | 小笠原 野生動物
■8月24日朝、我が目を疑うほどの光景が母島漁港に拡がっていました。
メアジが大量に死んでいて、
もの凄い数のメアジが浮いたり、打ちあがっていたりしています。

島に住んで約20年、話に聞いたことはありましたが、
まさかその光景が目の前に広がっているとは!!

もう腐敗も始まっており、あたりは異様な腐敗臭が漂っておりました。

漁師さん達と話をして、
・これはかなり久々
・昨日の夕方はまったくなかったことは確か
・今朝から沢山浮かんできた
・メアジは夜に群れで一気に沖に行くと思う
・ボラやササヨは普通に元気に泳いでる
とのことでした。

過去の記事を調べてみると、
1999年8月、2001年10月にも同じ母島沖港で発生した記録があります。
季刊誌iBOにも掲載されています。
これまでも小規模のメアジの死亡はあったものの、
このように数千匹を超える規模の大量死は20年ぶりになります。


■僕は研究者でもないし、島出身でもないので、
漁師さんの話を聞いたり、過去の記事を見たりして考察してみました。
あくまでド素人の推測です。

今回の大量死の原因は酸欠が主原因ではないかなと思います。
数千匹のメアジの群れが明け方に沖から一気に狭い母島の漁港に入ってくる。
元々狭くて、水質の悪い沖港の漁港。
さらにはその前日に護岸工事で大きな岩を幾つも海に入れたり工事しているので、
通常でさえ水質が悪いのに、さらに水質が悪い状況の場所に、
メアジたちが一気に入ってきて、酸欠を起こして大量死してしまう。

先週は沖港の水温が26℃台だったのに、
22日頃から一気に30℃台に跳ね上がっているのも原因のひとつかも知れません。

酸欠に特に弱いメアジだけが死んでいるところを見ると、
毒物や汚染、鰓(エラ)が詰まって呼吸できない、の可能性は低そうです。
そうであれば他の魚も沢山死んでいるはずです。

根本的な原因は沖港の水質が常に悪い状況だとも思う。

今回はこんなところではないでしょうか。


■さて、直近の問題はこの大量の死骸をどうするかです。

いつも海にはお世話になっています。
他人事にする気はないので、片付ける気満々だったのですが、今日は入出港日、
そして翌日はお盆休み明けの貨物船共勝丸に大量の荷物を載せる準備の仕事が控えています。

当日の朝はまだ数千匹に及ぶほどは見えず、
僕などがカヤックやSUPで海面のを集めて、漁船に渡して、
漁師さんが沖に持って行って捨てるなんて話もしていました。

みんな何とかしないと困るよねと話しています。
この日は昼に2時間だけ隙間があって、作業できると考えていたのですが、
見ているうちにどんどん魚が浮いてくるので、
漁師さんと「2時間じゃ終わんないね。ちょっと様子を見るか」という事になりました。

と同時に東京都や漁協も各方面動いていて、
この未曾有の事態にどう対処するか検討していました。


■午前中は漁港内がほとんどだったメアジの死体も、
昼頃から大岸壁前、石次郎前、前浜も浮かびだしてきました。

この時点で事態がどこまで広がるかは誰にもわからないのです。
その不安はとても大きいし辛いものです。

こりゃ大変な事になったなと思うも、この日は入港日。
そんな海の中にははじま丸が入港してきます。

船に乗っていた皆さんもこの光景にギョっとしたことでしょう。

となると僕も夜までずっと宅急便や郵便、他荷物の配達や仕分け作業に追われるので、
何もできなくなってしまいました。

夕方せっせと配達していたら、
漁師さんが、「ジャイアン、明日土建屋が片付けてくれる運びになったよ!色々ありがとう!」と声をかけてくれました。

わあ!なんて有難い!
腐敗して間違いなく大変な作業であることには変わりありませんが、このままにはしておけないと思っていたので、
その予算と手配を東京都がしてくれて、
それを請け負ってくれる会社があって、
実際に作業してくれる人たちがいる。

本当に有難いと思いました。

■2日目、僕が見廻った印象では前日よりも数が減った気がしました。
潮汐で海に戻ったのもあると思います。

昨日浮いていたのも打ちあがっていたのもそうですが、
死んだ直後というよりは、もう少し腐敗が進んでいるように見えます。
痛むのが速いアジにしても、少し進み過ぎてる印象があります。

見ている最中にも浮いて来て、その様を見る限りでは、
死んである程度時間が経過してから、ガスなどが充満して浮いてきているのかも知れません。


いずれにせよ、昨日よりも絶対量が減った印象があり、少しホッとしました。
圧倒的に増えてくる可能性もあったからです。

朝から土建屋さんの人たちが打ちあがったメアジの死体を集めてくれていました。
僕も仕事の合間に声をかけると「ジャイアン、今夜これ食べるんだろ?」と
辛い作業なのに冗談を言ってくれます。いや、腐敗してて、絶対食えないけど(笑)!!

作業して隣の浜に行ってる間にもどんどん浮いてる魚が打ちあがってきて、
なかなか終わりが見えない作業…
結局、メアジ大量死の2日目の片付け作業初日は2500匹を超える死骸を集めてくれたそうです。

本当に感謝!!
僕もこの記事を書いている今日の15時半以降は片付けに行けそうなので、
終わってない分を作業しに行こうと思っています。
SUPもカヤックも必要があれば出すつもりです。
※追記 3日目の朝に数匹浮いているのを残して、無事に収束しました☆

せっかくいいお天気が続いている母島の夏。
どうかまた気持ちのいい沖港に戻ることを願っています☆

20年振りとはいえ、沖港の構造上の問題はぬぐえません。

灯台まで堤防を延ばして、海水の出入り口を狭くなってから、
沖港の水質は一気に悪化したと聞いています。

しかし間違いなくははじま丸の就航率は上がったことも事実。
SUPなどで荒れた海から戻ってくると、堤防の有難みは顕著に感じます。

最新の技術とかで堤防の下に水が出入りできる機構とか作って、
就航率を下げずとも、水質を良くする作りはできないのかな?と思っちゃいます。

前に島の建築、港湾の方ともこのテーマで何度も話すのですが、
やはり水質と就航率の両立は難しいようです。

今回の20年ぶりのメアジの大量死。
まだ片付けも含め終わっておらず、最中ですが、
この自然からのメッセージをどう受け取るかはヒト次第。

ピンチはチャンスと考えると、色々ヒントはありそうです(#^.^#)

過去には
2016年母島イタチザメ騒動などありました。
自然は色んなメッセージを伝えてくれます。