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小笠原諸島・母島ジャイアン ブログ  -GIAN'S HAPPY BLOG-小笠原諸島・母島で自然農&便利屋

小笠原諸島・母島で持続可能な暮らしを目指しています。

その中や暮らしで学んだことを紹介したいと思います♪

母島でカワセミ発見!!

2015年12月03日 | 小笠原 野生動物
■早起きは三文の徳♡
いるのは聞いていましたが、
ようやく母島で美しいカワセミの撮影に成功しました♪
(と言っても暗い朝方でコンデジではこんな程度が限界です)

ほんと色もデザインも完成されていますっ!
多くの写真家が惚れ込むのも分かります。

はるか遠く本土から渡ってきたこの綺麗な鳥は
ちゃっちゃと川で魚を獲って朝ごはんにしておりました☆

水中にダイビング!というよりは嘴だけでササッと捕獲する感じでした。

母島は人と野生動物の距離がとても近いように感じます。
コンデジでここまで撮れること自体スゴイと言われるのは、
そうした背景もあるかも知れません。

島で育った方もカワセミが島に来ていることを知っている人は少なく、
目撃の話をすると驚く人が多かったです。

せっかくこんな美しい鳥が来ているのだから、
多くの島の人に見てもらえればと思います♪

■上空ではウミウらしき鳥も飛んでいました。

父島でも目撃情報があります☆
地球って鳥にとっては狭いものなのでしょうかねぇ(笑)?


メグロに学ぶ、生き残る秘訣!?

2015年05月15日 | 小笠原 野生動物
■母島にはメグロという鳥がいます。
この鳥は母島ではスズメの様にそこいらに沢山いて、ごく身近な鳥ですが、
世界でも母島列島にしか生息していない貴重な鳥です♪

現在は特別天然記念物・絶滅危惧種にも指定されています。
標識を付けて個体識別をする調査も行われていて、
色々わかってきたことがあるそうですが、
その中でも驚きのエピソードがありました☆

寿命は3~5年と言われていますが、
なんと野生下で11年も生きた個体がいたそうです!
その生き延びる秘訣というのがとても面白かったです。
(参考資料:森の野鳥を楽しむ101のヒント/日本林業技術協会)

メグロは縄張り意識が極めて強いそうで、
縄張りに侵入してきた他個体を攻撃するそうです。
若鳥は縄張りの隙間を必死で確保し、
縄張りを持てなかった個体は生きる場所を失ってしまうそうです。

そんな春先の繁殖期の早朝、自分の縄張りを主張するために一斉にさえずる中で、
1羽だけさえずらない個体がいたそうです。

それがあの11年生きたメグロだったそうです。

この個体は毎年縄張りの場所を少しずつずらし、
他の個体が自分の縄張りに侵入すると、遠慮して領地をずらすそうです。

自己主張せずに何事も穏便に済ませるのが、
このメグロの長寿の秘訣だったそうです。
すごい!

その後この長寿のメグロは見つかっていないそうですが、
なんとも人間の世界でもハッとさせられる話だなと思いました。


■他にもメグロはさすがにここまで生き残っただけあって、
色々と特徴的なところがあります。

巣はメジロの様に枝先の危うい位置ではなく、
強風でも安定している枝の根元の方に巣を作るそうです。

餌は果実を食べるのが有名ですが、
実際はよく虫を食べているそうです。
しかも鳥では珍しく、アリも食べるとのこと。

そして飛べるのに、意外と森が切れた先など
あまり遠くには飛びたがらないらしく、
母島の属島に残っているメグロと母島本島のメグロは
DNAを調べてみると随分と長い年月の間行き来がないことも分かって来ています。

日本のすでに絶滅してしまった鳥の中で
小笠原固有種が意外と多く占めています。
・オガサワラカラスバト
・オガサワラガビチョウ
・オガサワラマシコ
・ハシブトゴイ........

そんな中でもこうして人間が住んで環境が変わる中でも、
柔軟に対応して今も生き残っているメグロ。
私たちにもきっと学べることが沢山あるような気がします。

そしてバードウォッチャーがわざわざ母島まで見に来るのも分かる気がします♪


■そんな鳥たちがさえずる早朝にこだまする子供達の声(笑)。
朝の6時から我が家の娘たちが元気に
「ジャンケンポン!グリコ!チョコレート!パイナップル!」
をしています。

早朝からなんてご迷惑な!と思いつつも、
なんだか微笑ましくて遠くから見守ってしまいました♪
もしご迷惑をかけていたら、ごめんなさいm(__)m

■また今朝は娘との早朝ランニングの最中にオーストンウミツバメが不時着していました。
足元を全く見ていなかった僕は、娘が見つけるまでサッパリ気付きませんでした(笑)。

この小型の海鳥は普段はず~っと海上で過ごしているのですが、
繁殖は地上に穴を掘って巣を作ります。
準絶滅危惧種にも指定されています。

この鳥は冬に小笠原諸島等で繁殖しているので、
巣立ち直後の若い個体が夜間に集落の灯りに寄せられて不時着します。
そのままでも朝になれば飛んで行くのですが、
陸上ではとても動きが遅く、
そのままにしておくと交通事故やネコの捕食など、人為的な理由で命を落とす場合があります。

なので、鳥獣保護員として人的な理由による野生動物の事故を少しでも減らすために、
こうして保護し、放鳥しているのです。
この春、母島では4羽の海鳥を保護、放鳥しています。

砂浜にそっと置いて、自力で飛び立つのを待ちます。
この子はとても臆病で羽に異常があるわけでもないのですが、なかなか飛び立ちません。

水に入ったり、上がったりを繰り返すこと30分、
最終的には沖の彼方に飛び去って行きました。

「元気に生きてね~!」
娘のエールが響きます(今年の運動会の応援団長です♪)!

こんな些細な日常に、幸せを感じます。
子供達と過ごせる限りある時間を大切にしたいなと思うひと時でした☆

オガサワラカワラヒワ♂♀が畑にやってきた!

2015年04月24日 | 小笠原 野生動物

■先日は畑にオガサワラカワラヒワがオスとメスのペアで現れました。

スズメ大の小鳥で、小笠原諸島のみに分布する固有亜種です。

以前は小笠原諸島全域に生息していたようですが、

最近は母島列島と南硫黄島にわずかに生き残っているようです。

(時々父島列島でも目撃の情報があるようです)

色が鮮やかなこちらがオスです。

畑のバジルの種を食べに来ていました♪

口の周りにいっぱい食べかすが付いています(笑)。

 

少し地味な色がメスです。

写真では綺麗ですが、

メスも口の周りに食べかすがいっぱいでした(笑)。

まったく、ペアで仲良くお行儀が悪いんだから~(*^_^*)

 

今畑にある大根の種も食べます。

2年前に大根の種を全滅に近いほど食べられて大変だったことがあります。

しかし、現在は少し早目に種を採ることで対応で来ていて、

カワラヒワと仲が悪くならないように頑張っています♪

 

■このオガサワラカワラヒワ、近年の研究で内地のカワラヒワよりもグアムの方のカワラヒワの方が遺伝的に近いことが分かって来ているそうです。

そのうち亜種ではなく別種になるかもしれませんね♪

 

どちらにせよ、とても数が少なくて、

天然記念物のアカガシラカラスバトやオガサワラオオコウモリより個体数は少なくて、

絶滅がとても心配されています。

環境省のレッドリストにも記載されていて、

種の保存法に基づく国内希少野生動植物種にも指定されています。

現状としてはハトやコウモリに比べて保全の対応がされていないので、

これからの急務な課題と言えます。

動画も撮れました♪↓


 最初に写っている鮮やかなのがオスで、後から出てくる色が地味なのがメスです。

 

この小さな鳥が絶滅を免れて僅かに生き残っているのは奇跡といっても過言ではないと思います。

生き残っている巣があると思われる母島列島の属島や南硫黄島はクマネズミが侵入していません。(母島属島はドブネズミばかりと言われています)

木に登って卵やヒナを食べてしまう種類のネズミが侵入していないエリアが奇跡的に残り、

結果カワラヒワも生き残って来たのではないかと言われています。

 

いずれにせよ、人間という一番の外来種が侵入することで、

自然は大きく変わることは事実のようです。

それはいいか悪いかの問題ではなく、そういう側面が確実に存在はするので、

私たちは「自然に生かされている」という気持ちを忘れることなく、

いつも謙虚なな気持ちで暮らしていければと思います。 

 

このまま人類が大消費社会を続ければ、人間世界が滅亡するのは時間の問題だと思います。

この奇跡的にも生き残っている海洋島の小さな鳥から、

私たちは多くのメッセージを頂いている気がしてなりません。

 

■さて畑では新しい息吹が芽を出しています。

モロヘイヤです♪

暑い島の夏の我が家の貴重な葉物です☆

ここ5年くらいずっと自家採種で成功しています。

母島の気候にもよく合っているようで、有難い限りです。

 

こちらはふくゆたか大豆です。

ジャガイモの後作として植えてあります。

空気中の窒素を根に固定し、土壌を肥沃に変えてくれます。

最近は雨が全然降らないのでびっしり敷き草をしいています。

いつも我が家の味噌に大豆を!と思っているのですが、

枝豆が美味し過ぎてなかなか残ってくれないというのが悩みのひとつです(笑)。

 

こちらは食用ハイビスカスのローゼルです。

ゆっくり着実に大きくなっています。

10月の収穫に向けて今年も150本以上栽培しています。

自家採種もずっと続いていて、年々母島に合ってきていると感じています。

今年もお楽しみに♪

 

 


アホウドリ先生、母島に現る♪(長谷川博さん)

2015年03月11日 | 小笠原 野生動物
■先日、一時は絶滅したと思われていた超大型の海鳥アホウドリ。(1949年に絶滅と発表)
その鳥が絶滅発表から2年後、奇跡的に伊豆・鳥島に生き残っていることが分かりました。

そしてその後、ずっと40年間もアホウドリの復活へ活動されている長谷川先生が母島へやってきました!
母島に到着してその晩に講演会が開催されました!

入港日の慌ただしい中、母島では33名の島民の方が集まってくれました(人口の約1割弱)。

会場には実物大の模型(デコイ)と、


羽を広げた大きさの立派なタペストリーが!!

この大きさにはお客さんも驚きの声を隠せません。
体重は4~5kg。
翼開長は約230cm!
北半球の鳥としては最大級の大きさです!

長谷川先生は
60年も生きる長寿でもあり、
生涯パートナーを変えないことから、
喜ばしいことの象徴として捉え、

アホウドリの名前を返上し、「沖の太夫(オキノタユウ)」にしていきたいと熱弁していました。

↑講演会場に貼られた見事な一筆です☆

海上では見事なまでな飛翔能力で飛んでいますが、
地上に降り立つと助走しないと飛び立てず、
歩きも遅いことから「あほうどり」「ばかどり」などと呼ばれてしまっています。

40年もこの鳥に携わり、
美しさ、素晴らしさに触れて、
この侮辱的な名前を返上したい先生のアツい気持ちが伝わってきました。

長谷川先生は39年前、返還して間もない小笠原に来ていたそうです。
その時は人が戻って数年の母島にも来ていて、当時の母島の様子を少し教えてもらう事が出来ました(*^。^*)


■僕は講演会のお手伝いと翌日の小中学校の授業に関わることができました。

母島小中学校では中学校で1時間、

小学校で1時間、
貴重な先生の話を子供達と教員の皆さんがが熱心に聞いていました。

素晴らしいアホウドリの生体も勉強になりますが、
調査で1か月無人島で調査する先生の暮らしも気になるようでした(笑)。

鳥島での営巣地への往復、
食事、お風呂、トイレなど気になることはいっぱいです(笑)。
長谷川先生の鳥島滞在期については後日本になるそうなので、乞うご期待です♪

先生のお話は、10年・30年という体験を通じた時間軸がバンバンと出てきて、
過ごしてきた時代の長さ、
活動してきたことの凄さ、
こうして結果が見えてきたことの素晴らしさが随所に表れてきていました。

アホウドリとザトウクジラは小笠原とベーリング海を繋ぐ生き物で、
どちらも小笠原と縁がある不思議さを感じます。

ゼロからたったひとりで立ち上げ、
その後多くの人と機関が関わり、
ここまで成し遂げてきた素晴らしさは、
表現する言葉が見つからないほどです!

楽しそうに夢を話す長谷川先生は66歳には見えないほど若々しかったです♪
あと3年は鳥島に通い続けるそうです。

授業の後にはなんと珍鳥ヤツガシラを発見しました!!

鳥に人生をかけた先生と同行していると、
本当に珍しい鳥とも遭遇できるものだと感動してしまいました(*^。^*)


■アホウドリの歴史は悲劇の歴史と言っても過言ではないと思います。
遭難したジョン万次郎が鳥島に漂着し、アホウドリを食べて生き残っていた時代は世界に数万羽いたと言われています。
かつては小笠原の姉島、聟島でも確認されています。

しかし1886年に羽毛採取が開始されてからは怒涛の様に乱獲されて数が激減しました。
地上で足の遅いアホウドリは容易に捕獲されて、羽毛をむしられてしまうのです。

父島の二見港に屍が累々と積み上げられている写真があります。
当時は1羽で1000円ほどの価値があったそうです。
数十万羽捕獲されたという事は億単位の資源として搾取されたことになります。

現在も父島にはアホウドリの羽毛布団が残っているそうです。
当時は高価な物として扱われたのではないでしょうか。

しかし、その50年後には小笠原聟島や鳥島でも数十羽が確認される程度までになり、
1949年にはオースチン博士が「アホウドリ絶滅」を発表します。

しかし、その2年後伊豆鳥島の燕崎で数10羽のアホウドリの営巣が確認され、
遅れて1960年には天然記念物に指定されます(2年後に特別天然記念物に変更)。

再発見後は鳥島の気象観測所の職員がアホウドリの調査と保護活動をしていきます。
しかし、1965年鳥島の火山活動が活発化したことから観測所は閉鎖、保護活動も休止となります。

それから長谷川先生が1976年に調査を再開するまでに
成鳥・ヒナ合わせて69羽にまで増えていました。(地球上にこれだけの数というのが驚きです!)

その頃はまだ中国で繁殖が見つからず、風前の灯となっていたトキがいました。
トキは保護センターもできていましたが、
アホウドリは保護活動すらされておらず、
今自分がやるしかない!と思ったそうです。


その後、長年に渡って調査と保護活動が行われていきました。
繁殖地、燕崎では地滑りが発生し、繁殖率が激減する年もあったそうです。
それを防止するためにススキを植栽し、次第に安定した繁殖地になってきました。

1993年からはそれと同時に地形の安定した場所での繁殖地形成の試みも始まり、
デコイと音声誘因装置でなんと10年もかかって新しい繁殖地にアホウドリたちが営巣してくれるようになったそうです。

この忍耐と努力と言ったら言葉では表せないほどです!

新コロニーが安定してからは順調に数を増やし、
今では約5000羽と言われています。

絶滅宣言から、
10羽程度の再発見、
そして40年で個体群の復活!!

アホウドリは1度巣立つと驚異的な生存率を誇るそうです。
昔は乱獲以外にも海の廃油にまみれて死ぬケースも多かったりしたそうですが、
現在は海に廃油が浮いていることも減り、
一番の死亡原因は底はえ縄漁場の混獲だそうです。

それも船の後方から鳥よけの「おどし」を引いたり、
重りの重さを重くしてすぐに仕掛けが沈むようにすることで、
かなりの事故は防げるそうです。


■そして火山活動が懸念される鳥島に依存するアホウドリの繁殖地を新たに作ろうと2008年から
小笠原の聟島でアホウドリの営巣地を作る試みが始まりました。

これは巣立った島に戻ってくる修正を利用して、
鳥島のヒナをヘリで聟島に輸送し、
無事巣立ちまで人がお世話をする活動です。
2012年まで続けられました。
5年間で69羽のアホウドリが聟島を巣立ちました。

現在は若鳥がチラホラ戻ってくる状況で、数年後は繁殖が確認されそうな状態です。
数年前に尖閣諸島産と思われる個体と聟島の若鳥がつがいとなり、産卵をしましたが
残念なことに無精卵で孵化には至りませんでした。

しかし、2014年5月には聟島のお隣の媒島(なこうどじま)でクロアシアホウドリのコロニー(集団営巣地)に混じって
なんと1羽だけアホウドリのヒナが確認され、無事に巣立ちました。

ちなみに尖閣諸島の個体と鳥島の個体は遺伝的に違いが大きいそうです。
それは長い年月を経ても交流がないことを意味します。
しかし、近年尖閣諸島の個体が鳥島で繁殖をすることがあるそうですが、
鳥島の個体が尖閣諸島に降りることはあまりないそうです。

現在は鳥島のほかに尖閣諸島の北小島、南小島のほかに小笠原の聟島列島、ハワイのミッドウェーでも繁殖が確認されています。

羽ばたかず、海風で大海原を渡るアホウドリは
無風地帯があるという赤道付近を超えれず、
南半球で見られることはあまりないそうです。
(ときどき例外的に南半球最大の渡りアホウドリが北半球で確認されたこともあるそうです)

いずれにせよ、正しいか正しくないかは分かりませんが、
人為的な理由で絶滅寸前まで追いやられたアホウドリは、
長谷川さんをはじめとする多くの皆さんの活動のお陰でここまで復活してきたことが
よく分かりました♪


■最後には港の船客待合所に展示している媒島(なこうどじま)で発見したアホウドリのヒナのパネルの前で記念撮影させて頂きました。

長谷川先生、オキノタユウの貴重な話をどうもありがとうございました!

※ブログ掲載については長谷川博先生に許可を得ています。

島の貴重なハトの存在

2014年08月29日 | 小笠原 野生動物
■現在、小笠原諸島には天然記念物に指定されているハトがいます。
それがアカガシラカラスバト(通称:あかぽっぽ)です。

このハトは小笠原諸島にしか生息しておらず、個体数は200羽程度と言われています。
本土のカラスバトと違い、頭が赤いのが特徴です。
首の周りの美しい光沢は見とれてしまうほどです。

主な鳴き声は「ウ~ ウ~」と鳴きます。
主な食べ物は種子で島固有のアコウザンショウ、コブガシ、他にはガジュマルやシマ桑、小さなカタツムリやミミズも食します。

島では外敵がノスリだけだったので、ほとんど地上で過ごし、巣は地上や樹上に作ります。
島の野ネコ対策が進み、段々個体数が増えてきたことから、今までネコにやられていたことが見えてきました。
5年ほど前までは見た人が少なく、山にしかいない幻のハトでした。
それが現在は集落や畑に多数出没しています。
これはネコ対策が進んだこともありますが、この数年大型の台風の上陸もなく、餌木が充実しているせいもあるかもしれません。



現在は標識調査が進んでおり、硫黄島などの火山列島、聟島列島、父島列島、母島列島間の海を越えての行き来が確認されています。
過去には海上の漁船に降り立ったこともあり、意外な行動力があることが分かって来ています。



■小笠原は一度も大陸と陸続きになったことがない海洋島です。
その結果、独自の生態系を進化させて来ました。
しかし、その中で人が島に定住し、絶滅してきた生き物がいるものまた事実です。

鳥類については、オガサワラカラスバト、オガサワラガビチョウ、オガサワラマシコの3種、
絶滅亜種はハシブトゴイ、マミジロクイナ、ムコジマメグロの3種で、
合計6種の絶滅種、亜種が確認されています。

これまで日本で絶滅した鳥類の種、亜種が14種とされているので、なんと絶滅種、亜種の約4割が小笠原諸島の種となります。

僕はこの中でも生き残っている固有の鳥、
アカガシラカラスバト、メグロ、オガサワラノスリ、オガサワラカワラヒワや鳥ではないけどオガサワラオオコウモリに
島で生き残る知恵みたいなものを学べればと思います。

絶滅してしまった生き物の食性は分からない部分が多いですが、
今生き残っている生き物は環境変化に対する適応性が高い気がします。
固有のもの以外にも移入のものもよく食べるからです。


■先日は森の中で娘との鳴き真似をしていたら本当に鳴き返してきて、姿も出現なんてことがありました!!

ビックリです!
鳥好きな次女も大喜び♪


別名ウシバトと言われたように「ウ~、ウ~」と鳴きます♪

今回の写真は長女とふたりでフィールドの仕事の時のものです☆

次女とはよく行きますが、長女と二人はとても珍しい。
いっぱい色んな話ができて、素直に綺麗な景色に感動していて、とてもいい時間が過ごせました!

昼前に会議の予定があったので、休憩なしのハイペースな山歩きでしたが難なく付いてくる体力にも成長をひしひしと感じました♪



子供達に島の生き物とどう関わっていくかをいつも考えます。
新たに住んできた人、
新たに移入した動植物、
世界でも小笠原にしか生息していない生き物たち。

島の生態系においてこれは必要、不必要と人間が決めて動いている島の外来種対策。
なんてヒトのエゴなんだろうと思うこともあれば、
それは今対応しないと、永遠にこの世から消えてしまう弱い自然だと思うときもあります。
子供に一言では説明できないほど、様々なニュアンスを含んでいます。

子供時代には当たり前で分からないことが、
きっと島を離れたときに分かる事が多いと思います。

その時にどう感じ、どう動いていけるのか。
それに向けてどう接していけるのか。

その答えを島に生き残ってきた生き物たちから学んでいければと思います。

母島南京浜にゴンドウクジラが座礁!!

2013年04月29日 | 小笠原 野生動物
■GWに入った27日の午後、島の知人に
「母島の南京浜にマッコウクジラが打ち上がっているよ」
と言われ、子供の頃から鯨類好きの僕は早速子供たちと現場に駆けつけました。

小笠原に住んで10年。
すぐに行けない海岸や属島にザトウクジラやアカボウクジラ、イルカやマッコウクジラが座礁(ストランディング)した話は聞いていましたが、自分がこの目で見れるのは小笠原では初です!
ドキドキワクワク♪

そんな気持ちで南京浜に駆けつけると…

大きな黒い塊が打ち上がっていました。
少し匂いますが、まだそんなに腐敗してはおらず、割と死んで時間が経過して無いように思えます。

素人ながらに計測してみると、
全長は約3.5m。


肛門付近におっぱいが2つ左右に分かれて付いているのでメスでしょうか?
体にはダルマザメの食痕と思われる個所が無数にありました。


顔はずんぐりしていて、口内からは出血も少しあります。


下あごには何本か歯があり、抜けた様子もあります。


背びれはイルカよりやや前に付いていて、かぎ状に曲がっています。
尾びれは中央に切れ目があります。

■言われたマッコウクジラでないことは確かです。
口の位置からみて、ゴンドウクジラ系なのでしょう。

西表島に住んでいた時にオキゴンドウクジラの座礁を見ていたので、オキゴンドウでないことは即座に分かりました。

打ち上がって間もないのか、腐敗はまだそんなに進んでいません。
子供達も気味が悪いけど、臭過ぎはしないので近づけるようです。

触って、直にクジラの皮膚を感じる子もいました(笑)。



母島のダイビングサービスクラブ・ノアさんによると、「ハナゴンドウクジラ」じゃないかとのこと。

でも僕はもちろん素人目ですが、特徴を見ると「コビレゴンドウクジラ」な気もしています(笑)。
頭部中央の窪みがない(分かりにくい?)こと、
背びれの位置、カギ状の形、尾びれの形状から推測しました。
気になる上顎の歯の有無については、めくってまでは確認してないのですが、無いように見えました。
やっぱりハナゴンゴウな気もします…。

正解は忙しいGWが終わったら、島のOWA(小笠原ホエールウォッチング教会)が知らせてくれるはず!です。
3週間後にはDNA判定の結果もでるそうです。
さあ、どっちが当たりでしょう(笑)!?


後日、また報告しますね。
→後日、鑑定の結果、コビレゴンドウであるということがわかりました!

■クジラの座礁という珍しい事に出逢えて、色々なことを考えることができました。
多分このゴンドウクジラは死ぬか大変弱ってから南京浜に打ち上がったのだと思います。

海ではどのような暮らしをしていたのでしょうか。
子供を生んでいたのでしょうか?
様々な想像を掻き立てられます♪

人為的な事故と遭遇した野生動物の死骸ではなく、野生の中での死骸に触れると、フラットな厳かな心で関わることができました。
我が家は夫婦で鯨類が大好きなので、とても嬉しかったし、子供たちにとっても自分の住む島のすぐそばに生きるクジラたちの存在感を肌で感じれたのではないかと思います。

そういう意味でも、貴重でいい体験となりました。
僕はこの貴重な体験をより多くの島の子どもに関わって欲しかったです。

■ちなみにもう南京浜では確認できません。
GW直前ということもあり、その後、早速島の関係者が処理し、別の場所に埋葬されました。
数年後に骨格標本として回収されるようです。

GW準備の忙しい中、本当にお疲れ様でした。
貴重な経験をありがとうございました!

追記
→その後は2017年3月の掘り起こし大作戦!!に続く