徒然なるまま”僕の趣味と遊ぶ”

タイガース、水彩画、鉄道などの、僕の気ままな”独り言”

映画 「 蜩(ひぐらし)の記 」

2014年10月10日 20時28分36秒 | 映画・社会

原作は、葉室 麟著の第146回直木賞の受賞作のベストセラー時代小説です。

前々回見た 「 るろうに剣心 」 は、コミックが、そして前回は 「 柘榴坂の仇討 」 は、直木賞選考委員の浅田次郎の時代劇小説が、 そして、今回の 「 蜩の記 」 は、浅田次郎氏をして、「これまでにない完成度」 と言わしめた作品です。
時代劇として、それぞれ違いますが、根本は、やはり「武士道」精神なのでしょう。

時代劇の一つの楽しみは、日本の原風景が、四季を通じて映し出されることです。
今回も、遠野の四季の風景が鮮やかに映し出されていました。

      

小説には書いていませんが、映画では、「柚子(ゆず)」が、原作者の思いを表していました。
「桃栗3年、柿8年で実がなる」ですが、「柚子は、9年で花を咲かせる」ということです。
”実”ではなく”花”を・・・・・

事件後、10年後の夏に、切腹することを命じられた戸田秋谷(役所広司)の妻、戸田織江(原田美枝子)が、その柚子を庭に植えました。
そして、その柚子の花を咲かせることが出来るのでしょうか・・・・

さて、その事件とは・・・・
真相は、映画が進むと徐々に分かってきます。

事件を起こした罪として,10年後の夏に切腹を命じられ、その間に、藩の歴史である「家譜」を完成することでした。

  

映画は、あと3年で切腹という時から始まります。
檀野庄三郎(岡田准一)は、家譜編纂の作業から藩の秘め事を知ることになる秋谷が逃亡しないように監視せよと、藩命を受けます。

幽閉中の秋谷の見張り役として、織江や娘の薫(堀北真希)、息子の郁太郎(吉田晴登)と生活を共にし始めます。

そこで人と人との絆や愛が生まれ、それぞれの生き方を描いています。
夫婦愛、師弟愛、家族愛、そして初恋があり、友情があり、あらゆる愛のカタチが語られます。



この映画には、ハッとする名セリフが出てきます。

切腹までの限られた時間を懸命に生きる秋谷のことば・・・・・

「1日、1日を懸命に生きる身でござれば、その日暮らしの意味合いを込め”蜩の記”と名づけました」     庄三郎に日記を付けていることを聞かれて・・・・

「歴史とは、都合のよきことも、悪しきことも、子々孫々に伝えられてこそ、世の指針となりうる」

「義を見てせざるは、勇なきなり」 
    正しいと知りながら実行しないのは、臆病者という孔子の言葉が、劇中度々出てきます。

「決して諦めてはならない。 人が生きている限り、灰の下のどこかに、埋火が隠されているはず・・・。  大切なのは、吹き続けること。」

「この10年、死ぬことを、自分のものとしたい。 そう思って生きて参りました」