徒然なるまま”僕の趣味と遊ぶ”

タイガース、水彩画、鉄道などの、僕の気ままな”独り言”

映画「天地明察」・・・日本初の暦つくりに取り組んだ男の話。

2012年09月24日 12時29分50秒 | 野球・タイガース

アカデミー賞「おくりびと」受賞監督 滝田洋二郎監督が、受賞後初の作品「天地明察」を見てきました。

江戸時代には、多くの先駆者が生まれています。
平賀源内、杉田玄白、司馬江漢、華岡青洲、関孝和など良く知られていますが、ここの主人公安井算哲(岡田准一)も、江戸時代の天文学者としての先駆者としては、知る人ぞ知る人で、一般的には余り知られていません。

しかし、安井算哲は、天文学者以前に、将軍に囲碁を教える名家の息子として生まれました。
囲碁打ちでありながら、星を見るのが好きで、天文学や数学、暦学に没頭します。

  

数学と言えば、当時は和算が主流で、ある問題を提出し、解けた人は、答えを書いて、それが正しければ「明察」と書き加えるようなやり方でした。
算術に自信のあるものは、当時は、神社の絵馬などにその問題を提示していたようで、古い神社には今でもその絵馬が残っているそうです。

これを算額と言われるもので、数学者だけではなく、一般の人もこの問題に取り組んだそうです。

この映画でも、神社の絵馬に、関孝和(市川猿之助)の設問が掲げられ、それを算哲が解き、反対に算哲が設問し、関が答えるというところから物語は始まれます。

その神社の境内で算術家村瀬塾の塾長(佐藤隆太)の妹えん(宮崎あおい)と出会います。
えんは、その後も算哲を支えて行きます。

     
      2人の目の前のには、算盤(さんばん)と呼ばれる盤が置いてあります。      
     その上には、数を表す算木を用いて、代数方程式を解くそうです。           

      当時はこの算盤とそろばんが、計算に欠かせないものだそうです。             


将軍家綱の後見人である会津藩主・保科正之(松本幸四郎)が、算哲を見込み、新しい暦を作る計画のリーダーに抜てきします。

暦は、唐の時代のまま使っており、その間に修正をしていないため、実際とずれているのを修正しようとする計画ですが、この暦を扱っているのが朝廷の公家たちで、自分の利権の関わることで、朝廷を敵に回してしまいます。

暦の見直しには、途方もない時間と労力がかかり、朝廷を納得させる裏付けが必要で、そのために奔走します。
それを傍から助けるのが、暦の作成には、幕府の重臣・建部昌明(笹野高史)や伊藤重孝(岸部一徳)らと1年以上日本中を回り、その後もえんやその兄の村瀬たち、和算家の関孝数、囲碁界の革命児本因坊(横山裕)、天下の副将軍水戸光圀(中井貴一)・・・・

800年前に出来た唐の暦を、江戸時代に、日本初の暦作りをした実在の人物の物語です。

この江戸時代という封建的で鎖国の時代にも、世界と肩を並べる人物が多く出ているのには、日本人も今さらながら大したものと思わざるを得ません。
まして、地球が丸いと言うことすら知らなかった時代に、それを受け入れて、それこそ天文学的数字を計算するのには驚きです。

”天地”を”明察”した星を追い続けた男の話でした。