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奈良路

2010年09月12日 | 仏教・仏像

こんなクソ暑い季節に奈良散策をしたのは初めて!
何時もは紅葉も終ろうか・・って頃に行ってたので、夏草萌ゆる奈良路も、また新鮮な風景だった。

モリモリと朝ごはんを食べてホテルを出て、向かった先は唐招提寺。

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↑近鉄線西ノ京駅構内。
薬師寺の寺標に合わせて屋根が三角に変型しているのが奈良らしい。

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↑西ノ京駅から唐招提寺への道。

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↑唐招提寺金堂。
嗚呼・・此処に立つのは何年振りだろう。
平成の大改修工事を終えた金堂は、心なしか小ザッパリと見えた。

金堂内の三尊、毘盧舎那如来坐像、薬師如来立像、千手観世音菩薩立像は何れも素晴らしい。
堂内を拝すると、み仏達が実に開放的に(悪い言い方すりゃ、雑に)安置され、天平テイストムンムン。
この大らかな感じは奈良の寺院でしか味わえないもの。
自分、薬師如来が好きでしてね。金堂改修の間は奈良博にお出ましで、薬師さま会いたさに2度ばかり奈良博に行ったっけ。
当然のことながら、奈良博でお会いした薬師さまよりも、こうして金堂でお会いした方がシックリ来ますな。
「薬師さま、お会いしたかった!お会いしたかった!お会い出来て良かった!良かった!」
と、感激の心持ちで、しばらくの間薬師さまの御前で立ち尽くしていた。

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↑正面右斜め方向からの金堂。
屋根の反りが美しいですな。まさに天平の甍。

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↑金堂裏手には、ご本尊弥勒如来がおはす講堂があり、その手前には鼓楼がある。
鼓楼は舎利殿とも呼ばれ、鑑真和上が請来した三千粒の仏舎利が奉安されていたそう。
また、有名なうちわまき会式では、此処からうちわが撒かれる。
一度行ってみたいんだよねぇ・・うちわまき。

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↑校倉兄弟(笑

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↑蓮池
一蓮托生・・ってか。

唐招提寺境内は、数多くの寺院の中でも一際清浄な空間だった。
きっと、鑑真和上が必死で伝えんとした戒律が守られているためだと思う。
余談だけど(つーか、余談を集めたのがこのブログだが)講堂堂内の拭き掃除をしていた坊さんが、大層な美僧であった!
思わずカメ、クラッ!
あ、イケナイ、イケナイ、戒律、戒律・・っと(汗

それから、新宝蔵で天平のみ仏を拝観し、お守りなどを買い求め、再び薬師さまにお会いしてから、後ろ髪を引かれる思いで唐招提寺を後にした。

次に向かったのは秋篠寺。
西ノ京駅から西大寺駅まで近鉄線で行き、そこからバスで10分くらいのところに秋篠寺はある。

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↑西大寺駅前から押熊行きのバスに乗って、秋篠寺前で降りるのね~

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↑東門

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↑東門から少し歩くと、立派な苔庭がある。
実は、雨不足の天気が続くと、自然とこの苔庭が頭に浮かんで「秋篠寺の苔は大丈夫だろうか」と心配してしまう自分。

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↑本堂
同じ天平建築でも、先の唐招提寺金堂とは違って女性的な雰囲気。

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↑伎芸天立像
秋篠寺ご本尊の薬師如来坐像の左側にスッとお立ちになっているのが、この伎芸天。
美しい・・何度お目にしても美しさに感動する。
秋篠宮家誕生で一躍有名になった秋篠寺だが、それ以前からこの伎芸天を愛する仏像マニアは数多く存在した。

伎芸天は、仏教の天部のひとつで、大自在天の髪際から生まれた天女で、どうも吉祥と芸能で仏法を盛り立てたらしい。
伎芸天信仰は古くは各地にあったらしいが、現存する伎芸天は、日本中でこのみ仏だけ。
寸分の隙もない美しさの伎芸天、しかし、哀しくも災禍に遭っており、その際に胴体以下を破損、頭部だけが残った。
現在の伎芸天は、頭部は天平、体部は鎌倉期の修復によるもの。
でも、統一感を損なわず、完璧に一体化してるよねぇ。

唐招提寺金堂の薬師さまに続き、またまた金縛りになってしまった。
そうして、また後ろ髪を引かれる思いで秋篠寺を後にし、東大寺へと向かった。

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↑近鉄奈良駅から東大寺に行くのに興福寺を横切った。
今回は、興福寺の拝観はなし。
「阿修羅、萌え~」みたいなビギナー仏マニアじゃないんで~

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↑南円堂

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↑東大寺大仏殿
うひゃ~!何度見ても大きさにビックリ!
しかも、木造建築と来たもんだ!

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↑国宝の八角灯篭
この音声(おんじょう)菩薩は、10月8日より東博で開催される「東大寺大仏~天平の至宝~展」にお出ましになる。

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↑二月堂、手前は三月堂
三月堂のみ仏は、修復に入っているとのことで、ごくごく一部のみ仏しか拝観出来なかった(涙

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↑四月堂
此処の千手観世音菩薩立像がイッチャン好き!
唐招提寺・薬師如来、秋篠寺・伎芸天、神護寺・薬師如来、東寺講堂の仏像群、渡岸寺・十一面観音・・・の好きなみ仏の中にあって僅差で勝るのが、この千手観音さま。
そして、その日三度目の金縛りに見舞われ、しばらくの間、千手観音さまと対峙していた。

大半の観光客は、東大寺には南大門と大仏殿だけで
「あ~、観た!観た!お腹いっぱい!」
と満足して帰ってしまい、二月堂、三月堂、四月堂エリアを拝観する人は少ない。
同じ東大寺境内だと言うのに、大仏殿の喧騒が嘘のように静まり返っている。
中でも四月堂は通り過ぎる人の方が多く、自分のように長い時間を熱心に拝観していると、堂守さんが色々とお話をして下さる。
「アンタにだけ特別あげるわ」
と、絵葉書やお守りを頂戴したこともあるし、
「明日、ワシは休みなんやけど、どや、一緒にドライブ行かはんか?色々と案内してあげるで」
とナンパされたこともある(笑
そして、この四月堂西の間から観る二月堂は最高の角度だそうで、雑誌や新聞社のカメラマンはそこから撮るらしい。

一本の線香が燃え尽きるまで、そこに居て、またまた後ろ髪を引かれる思いで四月堂を後にした。

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↑次に向かったのが元興寺

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↑向こう側に見えるが極楽坊の屋根
何と、日本で最初の瓦で葺かれた建物で、色が違っている瓦がそれ。
飛鳥時代の瓦が現役で雨露をしのいでいるのだ。凄い!

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↑境内には夥しき数の墓石があり、墓石の小道になっている。

元興寺には魅力を感じるみ仏が居ない。
神護寺薬師如来に似た薬師さまがおはすが、奈良博に委託され此処では拝することは出来ない。
それでは何故、仏像目当てで古寺巡礼する自分が、奈良に来る度に元興寺を訪れるか。
それは、元興寺には不思議な気持ちにさせてくれる何かがあるから。自分と波長が合う何かがあるから。
子供の頃、学校から帰って友達と遊んで、日が暮れてサヨナラして、それでもまだ遊び足りなくて今度は弟と遊んで、いい加減日が落ちて薄暗くなった頃に母親が呼びに来たものだ、
「もう寒いからお家に入りな」
って。
思い切り遊んで、迎えに来てくれる親が居る・・・その甘やかな思い出が胸いっぱいに広がり、あの頃の自分に戻って行くのだ。
「もう寒いからお家に入りな」
「ごはんが出来たよ」
これ等の母親の言葉は、ごく平凡なのだけど、「子供を愛して守ります」って気持ちの、何よりの表れだよね。
元興寺の力で子供にされた自分は、全身鳥肌立てて、ただただ涙が溢れ、途方もなく立ち尽くす。
此処に来ると、どうしてこんな気持ちになるのだろう。
他では決して湧かない特別な気持ち。
ひょっとして、この墓石の誰かと強い血縁関係にあるのだろうか。


そんなこんなで、2010年奈良の旅は終わった。
とろけるように暑い奈良だったけど、各ご寺院でみ仏パワーを浴びたお陰で元気に歩き回れたことに感謝。
合掌


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いいな~私も奈良大好き!秋篠寺の伎芸天の前で金... (kuromi)
2010-09-12 19:25:59
いいな~私も奈良大好き!秋篠寺の伎芸天の前で金縛りにあう一人です。東大寺は戒壇院の四天王が好き!1時間くらい眺めてたかな~。二月堂もいいですね。私は奈良の風景も好きで、白壁の続く裏道や無人の販売所なんかを見ると鳥肌が立つ事もしばしば。カメさんの旅レポ読んでたら、無償に奈良に行きたくなりました。
返信する
kuromiちん (カメ)
2010-09-13 09:11:05
kuromiちん

なーに言ってるかなー
来月も飛ぶ人がー(笑

うん、奈良は良いですね。
あまり知られていないかも知れないけど、平城京ってのは国際都市で、アジア圏の色々な人種が住んでいたそうです。
なので、天平文化はとても大陸的。
こんな大らかな文化財を有するのは奈良県だけでしょう。
京都・奈良とひと括りにされがちですが、実は似て異なるものだと思うのです。

知れば知るほど、奈良って独特。
ハマりますわ~♪
返信する
Unknown (ナムナム)
2010-09-13 13:16:24
私、実は、奈良は「老後の楽しみ」にとってあるんですぅ~、って・・?(笑

なかなか行けません。
元気なウチに調べたいことがあって、それは真言宗中心。研究対象になるようなものは、信心だけでは見られません。お経ひとつとってみても「ヘタクソ」とか思っちゃうし。
その点、奈良は別なものなので、純粋に楽しめると思うんです。
ですから、今はリセットであり、老後は楽しみ、だと思ってます。

唐招提寺には、改修中に2度行きました。
改修中ってのも、レアなものでしょうから。

東大寺・四月堂の千手観世音菩薩立像・・私も感動しました。違う目的で行って「カメさんのような方はきっとこういうトコも見るんだろうなぁ」とか思って見て、不意打ちを食らったようになってしまいました。
余りに間近に見る、余りの迫力に圧倒されました。思わず絵はがき買っちゃいました。
返信する
ナムナムさん (カメ)
2010-09-13 22:21:31
ナムナムさん

おおおおおーーーーっ!!!!!
イキナリ感激!!!!!

東大寺四月堂千手観音を語れる人が、こんなに近くに居たなんて!

初めてですよ~
「四月堂千手観音が好き!」
と言ったところで、だ~れも反応してくれませんでした。
NHK学園仏教美術講座のお仲間も、講師陣も、仏像サイトで有名な「日仏会」の掲示板でも、みんな無言か、
「変わった仏さまが好きですね」
と呆れられるかでした。

この仏さまを知る資料が中々見つからなくて苦労しました。
一番詳しく記されているのは「東大寺要録」で、これを機にとうとう要録にまで手を出してしまいました。

ね、ね、凄いでしょ?
ド迫力でしょ?
お顔の彫りが浅いのが、ちょっと残念だけど、お身体全体から発するエネルギーが半端じゃないですよね。
つくづく、あの仏さまには「気」をもらいに行ってる、と思います。

ナムナムさん、
何時の日か一緒に参りましょう、東大寺四月堂。
老後の楽しみ、オッケ。
その年になったら、一緒に行ったところで何も起こらないでしょうし・・・例えホテルでスッポンポンになっても(笑・笑・笑
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Unknown (ナムナム)
2010-09-14 23:22:22
観音様というと、スラッとして優しい雰囲気・面立ち、というのが一般的ですが、ここのは違いますもんね。

>例えホテルでスッポンポンになっても

いやいや、私の頭の中のスケベは、いつまで経っても十代ですし、カメさんは、いつまでも若さを保っておいででしょうし、ヤバイッスよ、やっぱ。

ところで、今出てる「太陽」が東大寺特集ですね。
返信する
ナムナムさん (カメ)
2010-09-15 13:37:02
ナムナムさん

言葉にするなら
ウネウネ・ギラギラ
42本のお手が全て同じ太さで、体躯は堂々としており、ホント存在感アリアリの観音さまですね。
観世音菩薩と言うよりは天部のみ仏に近い何かを感じます。
「太陽」に、この千手観音は出ていますか?
ちなみに、自分が初めてこのお像を観て、即座にノックアウトされたのは「芸術新潮」掲載の写真でした。


・・幾ら何でも80代になれば枯れるでしょ(笑
でも、その頃まで精力的に拝観する体力が残ってるか、が問題か・・(タメイキ

人間、エロでギラギラしているうちが華かのぅ・・・
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