民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

侵略の定義

2013-05-13 17:24:13 | 歴史

ヨーロッパのように、多くの国が国境を接している場合、国境線は何度も力関係の中で変更され、他国の軍隊によって占領されることも珍しくなかったでしょう。そして、それぞれの事案を侵略かどうかと定義するのは難しいことでしょう。確かに侵略の定義は確かに難しい。しかし、勝手に他国に軍隊を送り込み、現地人に多大な損害を与え多くの人命を奪ったことが侵略ではないといい、それは受け取る側によって見方は変わるのだといったら、相手側は我慢ならんと怒り出すのは当たり前ではないでしょうか。いや、この国の首相は、あれは当時の植民地争奪競争の1つとしてあったことで、日本だけが断罪されるべき事柄ではない。事実、アメリカだって中国東北区を植民地にしようとしてねらっていたではないか、といいたいのでしょう。皆がやっていたから許される、アメリカだってそんなことはわかっているはずだから、日本の主張に表立って反対はできないはずだとでも踏んだのでしょうか。だとすれば、東京裁判の結果を認めないということになります。そんなことは、今後もアメリカが認めるわけがありません。同盟関係を強調して大統領との特別な関係を結びたいと願っている首相をはじめとする自民党の皆さんの、アメリカの史観を否定しながら親密な関係を結びたいというアンビバレントな身勝手さにはあきれるばかりです。日本は自衛戦争をしただけでアメリカのいうような侵略ではないというなら、占領軍に対しておめおめと尻尾をふり、飴をねだっていったのはどういうことなのでしょうか。負けることでこの国は生きるのだと死んでいった人々に対して、靖国ごときに参拝することで、許されるものでしょうか。侵略を侵略だと認めることから始めなければ、それこそむざむざ死んだ幾多の人々に申し訳がたたないではありませんか。