民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

室井信次にみる上司観

2006-10-28 23:27:31 | その他
 先日、容疑者室井信次(これで正しいかな)なる映画を、テレビで最後まで見てしまった。踊る大捜査線から派生したものだといい、作り手は同じだから、設定がやたらと大げさで劇画調であるが、であるが故に個々の人物のキャラがしっかり立っている。
 さて、上司としての室井のキャラである。踊るは、現場と管理部門との対立そして現場の優位と無知な管理職という筋が物語の底流としてずっと流れている。その対立をつなぐ者として、つまり現場を知る管理職として室井は位置づけられている。これを、ひょうきんなキャラをもたせれば煮詰まらないが、謹厳実直な室井というキャラでは行き詰まってしまうだろう。主人公のキャラとダブッテしまうから仕方ないことか。室井はキャリア組であるが、東大でも慶応でもなく東北大である。北であることが本流からはずれていることを暗示している。そして、キャリア組なのに上層部の言いなりになって、出世のエスカレーターには乗らない。そして無口で余計なことは言わない。時にかなりきついことをいう。
 これが理想の上司像かはわからんが、上司らしい上司として広く受け入れられているだろう。自分と引き比べてどうだろう。まず、学歴が追いつかない、おしゃべりである、きついことは言えない。これじゃ逆、逆へときてる。そして、上層部とは対立もしなければへつらいもしない、この辺りだけ少し室井的。しかし、現場を本当に把握しているかといわれれば、リアルタイムには自信がない。室井みたいな上司に、みんな拍手喝采するのかな。