民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

芋煮会

2006-10-02 21:04:24 | 民俗学
 秋になると、東北地方の芋煮会の話題がたびたび報道される。岩手と宮城で味噌味だとか醤油味だとか、はたまた豚肉だとか牛肉だとか。所変わればで鍋の様子が異なり、どちらが本流だとかいって争いになったりする。芋煮会が習俗ではない地域の者としては、少し不思議な感じがするし、何より芋煮会の「芋」が里芋だということで了解されていることが、何とも変である。マスコミも特別里芋だといわないが、芋煮会ときいて、例えば鹿児島の人は、里芋と思うのだろうか。
 単に「イモ」といったときに、何を連想するか、つまり、里芋かジャガイモかサツマイモかは、多分地方によって異なると思う。これはまだ誰もまとめてないと思うから、誰か「イモ」の文化史を研究すればいい。イモから、その地域の文化が見えてくるはずだ。
 芋煮会は多分、外釜といって野外で調理して共同飲食する習俗に連なるものと思う。そのルーツについては諸説あるようだが、煮るのに時間のかかる里芋をどうして選んだのか不思議に思う。きっとこの件にはこだわりを持っている人がいるはずなので、教えていただきたい。