民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

竹取物語

2006-10-16 17:07:55 | 教育
 竹取とは不思議な話である。異類婚姻譚と難題婿が合体した話なのだろうか。最古の物語にしては、皮肉っぽい話である。中学生が古典を学ぶまっぱつにあるのがこの話である。教科書は、くらもちの皇子をクローズアップさせた部分を取り上げているが、蓬莱の玉の枝といつわり、職人に作らせた枝を姫や翁に見せる皇子をどう思うか。中学生の受け止めが様々で本当に面白い。
○くらもちの皇子は、かぐや姫に「蓬莱の玉の枝」をとってくるようにいわれたけども、初めからその気がなく、行くふりと帰ってくるふりだけをしていて、私はそういう人はいやだなあと思いました。それだったらまだ、本当に探しに行き、ダメだったほうが全然いいと私は思います。(君は何としてもかぐや姫と結婚したいという男の思いがまだわからないのだ。きっとこれから、何人もの男性が君を思ってなくだろう)
○初めのうちはバレなくていいかもしれないけど、必ず嘘はバレるものだから、初めっから「なかった」と正直にいえばいい。(君は正直ないい人です。でもそれで結婚してくれますか)
○本当に結婚したいなら、あんなズルイことはしないで、「探したけどありませんでした」と、正直にいえば、かぐや姫は正直者と感じて、ちょっとは仲良くしたんじゃないかと思う。かぐや姫は、どうせ自分は月に帰ってしまうから、結婚してラブラブになったら別れがとてもつらくて、くらもちの皇子(他の皇子たちも)がかわいそうという、姫のやさしさだと思う。(そうじゃないよ、そう思えるあなたがやさしい女の子なのです。将来あなたと結婚する男性は幸せです)
 と、多くの生徒がかぐや姫の肩をもち、皇子の嘘をなじる中で、次のようなあっぱれな男子生徒もいる。
○正直いって(皇子が)悪いことをしたとは思わない。もともとかぐや姫が難題を押し付けてきたわけだから、別にその人その人が知恵や富で難題を押しのければいいと思う。だから結局は、男たちはつめが甘かったと思う。もっと頭を使えばよかったと僕は思った。(そうだ。ありもしない物を要求する姫こそひどい人だ。難題にもほどがあるぞ。)
 君たちはまっとうな中学生だ。今もこんな中学生がいることを、世間の人々に知ってもらいたいよ。