天気が良かったので、午前中は近所の団地の公園でボールを蹴る。日曜日はできるだけ明るいうちに体を動かしたい。そして午後は気分一新、武蔵野線と伊勢崎線を乗継いで越谷へ向かう。桐山和広建築設計事務所がお引っ越しということで、事務所開きを兼ねたオープンハウスにお邪魔する。
ご実家のヘーベルハウスのお隣に木造2階建を増築するという、何だか今まで見せていただいた住宅とは随分と趣きが異なる計画である。でもそれは、とてもリアリティを感じるものだった。1階を事務所、2階をお隣と連結してご両親の住まいへと改修している。こういうのは確かに規制が多くて大変だよなあと思う。それでも、あくまでスマートに具現化しているところは、今までの住宅以上に参考にすべきところがあった。既存建物との関わりを考えるというのは、自分が普段やっている仕事と近いものがある。そういう意味でも共感が持てたのかも知れない。それにしても、その外観と内観のギャップは、笑ってしまうくらいに爽快である。古い住宅にくっついた小さな箱には、様々なアイデアとセンスが詰め込まれている。
今日もまた知合いが沢山来ていた。ちょうど自分が入社した時に一緒に仕事をしていた人なんかもいたので、いろいろと懐かしい話をした。そして思った。桐山さんも含めて、この人たちが会社にいた頃は、今よりもっと楽しかったのではないかと。それは単なるノスタルジアかもしれないけれど、改めて「会社のことより自分のことを考えろ」と言われたことを思い出した。
仕事が忙しいとか会議があるとか何だとか、そんなことは関係なしに、見たいものは見に行った方が良いに決まっている。というわけで、水曜日の午後会社を抜け出して、同僚が設計監理を担当した保健所と子ども総合センターの複合施設の見学へ行って来た。
最上階に存在感のある機械室が乗っているので、立面のヴォリュームはかなりのものである。駅から歩いて行くとそれがよく見える。おおっ、すごい壁だなあと思った。ただそれは低層部とのバランスのおかげで、近くへ行くときちんとデザインに見えてくる。大きな箱の真ん中に中庭があるので、それを囲んだ諸室も明るくて気分が良い。アルミサッシの存在感がちょっと気になったけど。それにしても、最近のコンクリート打放しってきれいすぎるよね。この間見た建物もそうだったけど、壁紙みたいにピッカピカだった。
押出成形セメント板とかシルバーのアルミサッシとか、自分も好きでよく使う材料だけど、ちょっとした使い方の違いでずいぶん印象が変わるものなのね。それがデザインの面白いところ。
Echo & The Bunnymen
8 MAY 1984
KODE 8
http://www.bunnymen.com/
まだ回す。なぜなら、レコードは回すためにあるのだから。そして、今夜は月を見ながら回すことにしよう。聴けば聴くほど味わい深い音である。近年再発されているCDは、リマスターで音が良い。ボーナストラックだって驚くほど沢山収録されていて、それはそれで得した気分になる。がしかし、そいうものとは違った価値観も確かに存在する。毎晩そういうことを考えたりする。
ストリングスを導入することで、その世界観が広がったエコバニの4thアルバム。そう、広いなあという印象が強い。それもデジタルではなくアナログの広がり。内ジャケットにオーケストラのモノクロ写真が載っていて、それが何だか妙にバンドの雰囲気とマッチしている。B面の最初(CDだと6曲目)に「The Killing Moon」という傑作が収録されている。この曲を聴くと、アルバムのコンセプトがよくわかる。月を見ながら聴いたりしたら泣けちゃうよ。
それにしても、エコバニのジャケットは素晴らしい。大自然の中にメンバーがたたずむ構図が美しい。こういうのもやはり、小さなCDより大きなLPの方が良いよね。
The Jesus And Mary Chain
BYN 20
SEP 1989
http://www.thejesusandmarychain.org/
そして、今夜もターンテーブルを回す。何だか変な習慣が身に付いてしまった。心のどこかが病んでいるのかね。軽い現実逃避。
確かに、1stアルバム「PSYCHO CANDY」を初めて聴いた時には驚いた。何だフィードバック・ノイズって。これじゃあ、曲がよくわからないじゃないか。しかし、その何だか分からない感じがとてもかっこ良かった。そして、今では歴史的名盤と言われるようになった。そういうものかねえ、と思う。それに比べて、この3rdアルバムは実に聴きやすい。わりとストレートなギター・ロックが並んでいる。あまりに素直すぎてちょっと戸惑ってしまうけど、ジザメリを知らない人は、このあたりから聴き始めるのが良いかもしれない。
実は自分にとってのベストは5thアルバムなんだけど、さすがにそれはCD所有なので、また今度にしますわ。
The Cure
Fixh 11
13 AUG 1985
http://www.thecure.com/
はいはい、またまた深夜のレコード鑑賞です。こうしてアルバム・ジャケットが並んで行くと、音楽の趣味がかなり明確に見えてきます。そうです。英国の陰鬱な感じが好きなのです。
そしてザ・キュアーですが、この頃のバンドには、ローレンス・トルハーストがいて、ポール・トンプソンがいて、サイモン・ギャラップもいるという、歴代最強メンバーが揃っているのではないかと思います。名曲「Inbetween Days」や「Close To Me」が入っているし、大好きな「A Night Like This」も入ってるし、間違いなく素晴らしいアルバムです。実は、最初に買ったザ・キュアーのレコードがこれなので、思い入れもかなり強いわけです。ただ、ここからのポップ路線を全て受け入れる度量は、残念ながら持っていません。どうなのかなあ?という気持ちを心のどこかに抱きながら、「Disintegration」のリリースを待つことになるわけです。
まあ、何だかんだ言っても「Close To Me」のPVは一見の価値ありです。
New Order
FACT 75
2 MAY 1983
http://www.neworderonline.com/
さらに調子に乗ってレコードを回す。これこそCDで聴くべきアルバムだろうが!と言われそうだが、実はCDを持っていないので、今でもレコードで聴くしかないのだ。当然ながら、iPodに入れることもできない。デジタルをアナログで聴くこの感じもまた良しとしよう。ニュー・オーダーのレコード・ジャケットって、デザインが相当凝ってるんだよね。これは裏面に穴が開いてたりする。そして、表面にはタイトルもバンド名も一切クレジットされていない(写真はCDのもの)。その代わりに右上に暗号が。ウウム。
一般的な解釈として、このセカンド・アルバムで音楽的にジョイ・ディヴィジョンと離別したとされている。まあ、確かにそういう見方はできる。シンセの導入でずいぶん空気が変わった。しかし、それを商業主義とか言われちゃうのもどうかと思う。バンドの抱えた事情を理解していたら、そんなことはとても言えないんじゃないかと。こうするのが最良の手段だったのかはともかく、こうするより仕方がなかったという気がしてならない。
自分にとってニュー・オーダーは、エレクトロ・ダンス・ポップ(笑)以外の何ものでもない。この後どんどん加速して行くデジタル・ビートは、いろいろな事情を抜きにして、素直にかっこいいと思う。そういう人にとって「586」はたまらんのだ。超名曲。
The Smiths
28 SEP 1987
ROUGH 106
http://www.itsmorrisseysworld.com/
http://johnny-marr.com/
打合せ先から会社へ戻らず直接帰宅。おかげでいつもより早く帰宅できたので、またまたレコードを聴くことにする。というわけで、今日はこれ。
この4枚目のオリジナル・アルバムをリリースしてバンドは解散する。何だか意味深でモヤモヤした空気に満ちている。まあ、それが良いのだけど。オープニングの「A Rush And A Push And The Land Is Ours」のイントロのピアノを聴いた瞬間、これはすごくやばいアルバムなのかもしれないぞ!と思った記憶がある。その予感は見事に的中。解散から今日に至るまで、歴史がそのすごさを証明することとなった。それにしても、ジョニー・マーは本当に良い曲を作るなあ。月曜日の夜にしみじみと聴き入ってしまった。
Ian Mcculloch
10 NOV 1989
22P2-3074
http://www.bunnymen.com/
サッカーのない週末が続いている。そういう時は音楽を聴こう。というわけで、とうとうレコードまで引っぱり出してしまった。久しぶりにターンテーブル(DJ用とかではないけど一応Technics)を動かしてみたけど、これがなかなかどうして、すばらしく良い感じの音を出す。AB面(わかるかな?)合わせても40分くらいというのも良い。ジャケットからレコード取り出す一連の動作は、時代錯誤も甚だしい限りで笑ってしまう。まあ、これを日常的にこなすことは、もはや自分でも不可能だよなあと思う。
バニーズのイアン・マッカロクが初めて出したソロ・アルバムは、さすがにCDも廃盤になってしまったようだ。とても深い悲しみの中から生まれた楽曲は、今聴いても心に染み渡る。バニーズは切れ味がその魅力であったけど、こういうやさしさを切に唄うイアンもまたかっこいい。天気の良い日曜日に相応しい1枚である。ちなみに、このジャケット・デザインが大好きで、常時レコード置場に飾ってあります。
Ocean Colour Scene
8 APR 1996
MCD60008
http://www.oceancolourscene.com/
ポール・ウェラーを聴いて、長く続けることについて考える時、やはりこのバンドにも触れないわけにはいかない。昨年(だったと思うけど)久しぶりにアルバムをリリースしたオーシャン・カラー・シーンも、実に息の長いバンドである。やってることがさほど変わっていない(もちろん良い意味で)というのもすごい。シンプルなロック。これまたずいぶん古いCDを引っぱり出して聴いてみた。アナログ・レコードをモチーフに使ったデザインが味わい深い。とても良いデザインだなあと思う。
データをダウンロードしただけだと、新旧の楽曲が並列で並んでしまう。それが良い点でもあり悪い点でもある。まあ便利なことは間違いないけれど、15年前のCDのホコリをはらってトレイに乗せるような感慨深さを噛み締めることはできない。だから?と言われてしまえばそれまでだけど、時代の重みはどんどん軽くなって行くような気がする。
Paul Weller
21 APR 2010
UICI1088
http://www.paulweller.com/
もうずいぶん長いこと今の仕事を続けている。というか、この仕事しかしたことがないんだけど。まあ、好きで選んだ職業なわけだし、それなりに自分に合っているのかなあと思う。同じことを続けていると、当然ながら嫌なこともたくさんある。もしかしたら、良いことの方が少ないんじゃないかと思ったりもする。しかし、それでも続けている。そうして続けてきたからこそ見えてくるものもあるんじゃないかと、最近は考えるようになった。そういう風に考えると、あと10年続けたら一体何が見えてくるのか?という興味も湧いてくる。
確かに、長いこと音楽を続けていないと、こういうアルバムはできないよなあと思う。しかも、ここに来てかっこいいロックだもんなあ。はじけてるなあ。「7&3 IS THE STRIKERS NAME」みたいな曲はもちろんだけど「AIM HIGH」みたいな曲もサラッとやっちゃうところがすごい。できれば、もう少しダークな部分も出してほしかったというのが、個人的な希望である。まあ、前作の「22 DREAMS」よりはずっと好きだけどね。
そうか、あと10年続けたら今のポール・ウェラーと同じ歳になるのか。こんなにかっこよくいられたら最高だ。