football smile

the days turn into months and years

マネー・ボール

2012-03-21 | book

マイケル・ルイス
2 MAR 2006
RHブックス+
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「2000年から2002年までを平均すると、オークランド・アスレチックスは、約50万ドルで1勝できた計算になる。100万ドル未満で1勝したチームは、ほかにはミネソタ・ツインズ(67万5000ドル)しかない。逆に、効率の悪い例として、たとえばボルティモア・オリオールズやテキサス・レンジャーズは、勝ち星ひとつ増やすのに300万ドル近く費やしている。アスレチックスの6倍以上だ。」

という本を読みました。メジャーリーグ、オークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーンを題材に書かれたノンフィクションは、アカデミー賞にもノミネートされた映画の原作です。統計学に基づくチームの再建劇というのは、非常に興味をそそられる題材です。貧乏チームが金持ちチームに勝つ。ジャイアントキリングを必然的に起こす方法論は、なるほどこういうからくりであるのかと感心しました。そこに描かれているのは、結果を求めるための手段です。

では結果とは何か?それはお金をかけずに勝利を積み上げるという、いわゆる効率化の極みと言えるものです。高額年俸の有名選手を他チームへ売り飛ばし、低額年俸の無名選手に目をつける。そこで登場するのが、今までメジャーリーグで軽視されてきた統計学です。既成概念を崩壊することによって結果を導き出すというのは、なるほどあらゆる分野で応用が利く考え方です。この本が最良のビジネス書と言われる所以もそのあたりにあります。ただ、どこか違和感を覚えるのはなぜでしょう。その手法があまりにドライすぎるからでしょうか? 

確かに従来の手法を否定する意図は理解できます。そうでもしなければ劇的な改善は望めないのも事実だと思います。ただその否定される中にも肯定されるべき何かが含まれているような気もします。勝てないチームを応援する気にはなれませんが、勝つだけのチームもまた応援する気にはなれない。多分それは統計学からは導き出せないものです。生え抜きのベテラン選手を尊重すること。チームの顔となる主力選手を育てること。そこにチームに対する愛が生まれるわけです。ファンはそういうチームを応援したいと思います。

人を大切にしない組織に本当の未来はあるのか?それが違和感の根源であるような気がします。人が組織を構成する以上、人の感情こそ尊重されるべきものでしょう。そこに組織を動かす難しさを感じました。どのような結果を求めるのか?方向性を間違えると、取り返しのつかないことになります。あれ?結果を手に入れたけど、望んでいたのはこんな状況だったっけ?みたいな。

映画は見逃してしまいましたが、ブルーレイとDVDがリリースされたようです。たまにはブルーレイとかで観るのも良いかもね。


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