アベちゃん

先週末のレッズＴＶ・ＧＧＲを見ていたら、Ｃ級ライセンスの講習を受ける阿部敏之がインタビューに答えていた。懐かしいね。浦和を退団した後は、仙台、新潟と移籍を繰り返し、一度は古巣の鹿島に復帰したものの、そのまま現役を引退した。現在は地元さいたま市に戻って指導者を目指しているらしい。

２０００年、当時Ｊ２に落ちた浦和へやって来たこのレフティは、主にボランチとしてゲームをコントロールしていた。ＦＫも得意だった。彼の活躍のおかげで、チームは１年でＪ１へ復帰することができた。というのはちょっと言い過ぎかもしれないけど、とても好きな選手であったことは確かである。その頃から永井の背番号をつけてスタジアムへ通っていたが、本気で阿部の背番号に変えようか迷ったくらいだ。彼の左足から放たれたボールは、ここ！というところにピタリと運ばれた。その突出したパスセンスは、見ている人々を魅了した。

しかし、パスだけでゲームを支配できる時代はすでに終わろうとしていた。結局のところ、運動量とスピードが致命傷となって、彼はチームに必要とされなくなってしまった。今にして思えば、このオフト監督の判断は正しかったと言わざるを得ない。現在の日本代表監督もさかんに叫んでいる。考えながら走る！確かにそんなサッカーに彼のプレースタイルはフィットしないだろう。どんなに魅力的な選手でも、時代に求められなければ居場所はなくなる。それは何もサッカーに限ったことではないけれど、そういう風潮はいかがなものかと考えてしまう。

先日、ようやく浦和への移籍が正式発表された阿部勇樹は、現代サッカーの申し子といえる選手である。移籍金は日本人の国内移籍最高額と噂されている。期待は膨らむばかりだ。しかし、同時に時代の移り変わりの速さを感じてしまうのは、自分が歳をとったせいだろうか？さて今度のアベちゃんは、一体どんな活躍を見せてくれるのだろう。