写真のLPレコードも以前にもふれたことがる1970年代に香港に行くとよく立ち寄った小さなクラシック・レコード専門店で求めた懐かしい1枚である。1969年の「ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール」で優勝し一躍世界から注目を浴びたブラジル出身の名女流ピアニスト、クリスティーナ・オルティス(Cristina Ortiz)がまだ20代の頃に「英EMI」にレコーディングしたショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番&第2番」で筆者も当時レコード店の店主に薦められて購入した。録音は1973,4年頃と思われるが彼女の爽やかなピアノが聴きものである。管弦楽はイギリスの「ボーンマス交響楽団」で指揮は当時このオーケストラの首席指揮者だったパーヴォ・ベルグルンド(Paavo Berglund)である。ベルグルンドは70年代に「日本フィル」に客演し左手で棒を振る指揮者でファンも多く1978年の「香港アート・フェスティバル」にはこのオケを率いて参加している。当時筆者もこのオケを聴きに当時香港まで足を運んだのでこのLPもおそらくその時に購入したものと思われる。(写真/英EMIASD3081)
ところでショスタコーヴィチの「第1番」のピアノ協奏曲はピアノと共に独奏トランペットも活躍するため「ピアノとトランペット、弦楽合奏のための協奏曲」とも呼ばれている。作曲年代はショスタコーヴィチがまだ27歳の1933年である。またこの協奏曲にはベートーヴェンなど他の作曲家のモチーフをパロディー化して引用するなど興味深い。因みにこのレコードのソロ・トランペットは当時この楽団の首席トランペット奏者、ロドニー・シニア(Rodney Senior)が吹いている。