アリシア・デ・ラローチャ(Alicia de Larrocha/1923~2009)はバルセロナ出身でスペインを代表する女流ピアニストであった。彼女はアルベニスやファリャなどの「お国もの」は勿論、ドイツ古典派の作品からロマン派の作品も大変得意としたがブラームスのピアノ協奏曲のCDは珍しい。昨日に続き紹介する写真の「独Weitblick盤」のブラームス「ピアノ協奏曲第2番」はおそらく彼女の唯一の録音ではないかと思う。(独Weitblick-SSS0097-2)
この録音はCDの記録によれば1981年6月7日、8日の両日に「ベルリン・フィルハーモニー」で行われたオイゲン・ヨッフム指揮/ベルリン放送交響楽団(現、ベルリン・ドイツ交響楽団)とのコンサート・ライヴである。ヨフッムの「ブラームス/ピアノ協奏曲」の録音ですぐ思い浮かぶのがギレリスとのベルリン・フィルによる1972年の名盤(ドイツ・グラモフォン/スタジオ録音)である。両盤を聴き比べてみるとギレリスとのスタジオ録音は全体的にテンポをやや遅めにとりブラームスらしい渋みと重厚さが出た演奏に対してラローチャとのライヴ録音はどちらか言えば彼女の軽快なピアノ・タッチが重厚さというよりは甘美なロマンティシズムを感じるところも魅力である。