![]() | だれでもない庭 ― エンデが遺した物語集 ―ミヒャエル エンデ岩波書店このアイテムの詳細を見る |
☆本書は「エンデが遺した物語集」というサブタイトルがついている。
☆断片や未完やメモ書きのものが収集されている。
☆いわばエンデの世界のトルソーである。
☆それゆえ、エンデの初めの着想が見え隠れし、
☆エンデが求めていた終着駅がかなたに見える。
☆読書の秋。存在の根源に降りて行くのもよいかな。
☆本書の断片から引用しよう。
朝食や夕食のテーブルで本について話がかわされたり、いやそれだけでなく、討論があれば、子どもたちは耳をそばだてることだろう。子どもたちは話にくわわりたいし、何も言わなくても自分から本を読むことだろう。(「子どもと読書」から)
☆そんな時間はなかなかないかもしれない。月に何度か子どもたちと本を読む。本当に耳をそばだてる。その様子は美しい。そしてああでもないこうでもないと好き勝手なことを言いながらも、また本の世界に没入していく。
☆あるとき、そんな子どもから、おじさん、小学校やめたよと、ケロッと言われた。その子はある私立小学校に通っていた。公立の小学校にいくのである。私って暗いんだって。そんなことないよと声を出しては言わなかったけれど、目でそう語ってみた。すると、話したら静かにと言われ、何も言わないで本を読んでいると、暗いと言われる、どうすりゃいいのと低学年の生徒があっさり語る。
☆なんでこんなことになったのだろう。その子の担任は、責任感と使命感に燃えている教師でもある。コミュニケーションのズレを解消しようというコミュニケーションが小さき子どもたちとも必要なのだろう。大人も子どもも互いに、そう互いにリスペクトできるとよいのに・・・。
それがそこにあることが、それだけでよいことだから(「内なる世界が荒れはてないために」から)