思想地図〈vol.2〉特集・ジェネレーション (NHKブックス別巻)日本放送出版協会このアイテムの詳細を見る |
☆若き社会学者や思想家たちが語る新しい知のベクトル。濱野智史氏も参加しているので、「社会学や思想、政治、文化」論的なフィールドに情報技術・発想論的広がりが出ている。
☆リチャード・フロリダやローレンス・レッシングを、日本の思想界でデビューさせているのが画期的。ジェネレーションという概念を、「世代」から「生成」という概念にシフトさせているのも重要である。
☆ガタリ的な発想やルソー的な発想が渾然一体となっているのもおもしろい。まさにニコニコ動画的というかタグクラウド的になってきたではないか。ボトムアップという化学反応によってナノ物質が生成される世界が社会を捉えるメタファーになってきたわけだ。
☆教育の話は直接は話題になっていない。若き思想家にとって、教育の93%は、ツリー構造という疑似物語の世界で、現実は崩壊している方向性を禁忌として結界をはっている領域だからだ。
☆しかし、その呪縛の解放特区がある。それが私立中高一貫校の世界だ。もちろん、私学自身そのことにまだまだ気づいていない。しかし、ガタリ的リゾーム横断知を教科連動型とか連携型とかいう言葉を使って、プログラム化しているし、そのプログラムもコンテンツよりもリサーチ→ディスカッション→プレゼンとコミュニケーションベースなのだ。
☆自ら呪縛に固執する≪官学の系譜≫以外に7%という解放特区に≪私学の系譜≫があるわけで、まさに本書「思想地図」は、「教育の思想地図」と重なる。おもしろい。