教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

動物化するポストモダン

2008-06-09 08:27:47 | 
動物化するポストモダン―オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)
東 浩紀
講談社

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☆東浩紀さんは、「中央公論」2003年10月号の中で、こう述べている。

来るべき社会では、各人がばらばらの考えをもち、自分のまわりの局所的な利害にしか関心を向けていなくても、情報の集積がネットワークを介して全体の秩序を生み出していく。そこには抑圧も強制もない。人々は、高度な情報環境の支援を受けてたがいに緊密に協力している。あるいはさせられているが、そのことには気がついていない。それは確かにユートピアのように響く。しかし、筆者は、その状態こそが、巧みな「管理された環境」だと考える。そこで賞揚されている創発的な秩序の原理は、民主主義の蓄積よりも、むしろ統計学やゲーム理論にもとづいている。

☆「中央公論」というメディアでは、東さんの言説は戦略的に一般化されすぎているが、この部分を読んでそうだと思ったら、ぜひ「動物化するポストモダン」を読んでみるとおもしろい。

☆おそらく世に社会批評を発信している論者のほとんどは、リアルスペースの精緻な分析はしているが、サイバースペースの分析は憶測の域だろう。東さんのみ、両方のスペースを把握していると思う。

☆そのうえで、「中央公論」で論じているので、実は他の社会批評家とはまったくものの見方が違う。本書の理解なくして、新しい社会批評はありえないだろう。

☆ところで、本書では読者にあとは考えてくださいで終わっているが、「中央公論」では、計算できない正義と寛容と自由が、「環境管理社会」に変革をもたらすという予感をさりげなく書いている。

☆「環境管理社会」は学習指導要領の中で再生産されている。このことは国際教育研究家岡部憲治さんの考え方をベースにすると証明できる。計算できない正義と自由と寛容を養う授業プログラムは明大明治の松田孝志先生が創出できる。

3者のコラボは、重要だと前に述べたが、本書を読み直してみるとますますその思いが募る。

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