教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

現代のメディア・消費・人間関係・思想の問題がコンパクトにわかる

2010-02-23 09:12:39 | 
キャラ化する/される子どもたち―排除型社会における新たな人間像 (岩波ブックレット)
土井 隆義
岩波書店

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☆東浩紀さんや宮台真司さんの問題意識をめぐる多くの論者のものの見方や考え方、感じ方などのいま・ここでがコンパクトにまとめられている。

☆内なる普遍的価値のものさしを喪失あるいは必要としない現代の子どもたち。実は、子どもだけではなく、大人もそうだ。

☆そういう人間社会では、他者の評価が大いに気なる。他者の反応に合わせたり、回避したりするキャラを自ら作りだし、サバイバルしなければならないが、それが高じると人間関係の強迫観念が生まれる。

☆こうして内閉的あるいは同質的な人間同士の社会ができあがってしまう。もはやこの社会では、他者がつくった外部データベースの組み合わせによって生まれ出る商品を生産することが、消費することが、移動することが、同質的な人間同士の安心安全ネットワークの中に居続けることができるのだ。確固たる自信や勇気は、もはや内にはない。他者や外部の評価や反応に揺れ動く。

☆その中で固有の内なるキャラクターを貫き通すと、生きにくいのであると。

☆では、どうするか。他者の中に異質の価値観をもつ人間を受け入れろと、それによって、内閉的な状況を脱し、内なる自信が生まれる・・・。

☆でもそもそも異質の他者は排除しているわけだから、それはできないし、内なる普遍的価値は不要だから、異質か同質かは、もともと差別化できないのではないか。評価や反応が違うデータの1つにすぎない・・・。

☆キャラクターとキャラの二元論から脱しなければならないということか。