思春期をめぐる冒険―心理療法と村上春樹の世界 (新潮文庫)岩宮 恵子新潮社このアイテムの詳細を見る |
☆思春期を迎えた子どもと家族のケースを村上春樹さんの作品と重ねて
☆解き明かしていく仕掛けになっている。
☆しかし、あまりに思春期の公式をあてはめて
☆村上春樹さんの作品を読み解いているからか、
☆村上さんの読みが果たしてこれでよいのかという
☆疑問を読者は抱くのではないだろうか。
☆村上さんは解は設定していないはず。
☆ところが心理療法的には解を導きたい・・・。
☆このGAPが、思春期のとらえ方が岩宮さんやそのお師匠さんである
☆河合隼雄さんの枠組みが窮屈であることを示唆しているのではないか。
☆向こう側とこちら側という異界と日常の分け方は、よいが、異界に
☆思春期の性を死想として設定するのは、いささか疑問だ。
☆性はむしろ自然の象徴であり、死想ではなく詩想である。
☆思春期は自己としての人間の精神と社会的適応の葛藤に性としての自然が割り込んで
☆精神と社会と自然のつながりを果たそうとする詩想の瞬間なのである。
☆その詩想が思想を生むか死想を生むかは、まさに人間関係や社会的な環境
☆によるのだが。