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三井物産と東京海上AMがメガソーラー設置、続々と増える再生エネ投資 - メガソーラーは曲がり角へ

2012-08-09 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
メガソーラーが早くも転換期を迎えつつある。
固定価格買取制度の初年度で、夏の日中の電力不足懸念もあり
メガソーラーの優遇には確かに仕方のない面もある。

しかし太陽光発電の本格的なコスト低下にはあと数年はかかる。
市場の健全な育成のため、来年はメガソーラー発電の買取費用は引き下げるべきだ。
変換効率の高い国産パネルが有利になり国内経済への波及効果も高まる。

我が国はドイツより遥かに日照に恵まれているものの
利己的で先見性の乏しい消費者も多く費用負担にうるさい。
(彼らは直下型地震の直撃を受ける等の冷厳な事実を前にするまで目の覚めない連中だ)

やるべきことは不毛で愚かしい水掛け論ではない。
太陽光発電のコスト低下予想シナリオを3種ほど想定して
年間のシェア拡大とコスト増をシミュレーションすべきである。

日本総研など複数の民間シンクタンクに委託すれば良かろう。

利権勢力のプロパガンダに騙される原発再稼働派は勿論のこと論外であるが、
太陽光発電の普及は原理主義的な反対派が言うほど負担が重くはなく、
楽観的な推進派が言うほど容易でもない。
長短の両側面を見て事実の検証をもとに議論すべきである。

また、当ウェブログで何度も主張しているように、
送電線への投資がほぼ不要で電力供給の安定を損なわない
自家発電・自家消費を有利にすることも忘れてはならない。

▽ ドイツは送電網の安定のため2009年から自家発電・自家消費を優遇

『国民のためのエネルギー原論』(植田和弘/梶山恵司,日本経済新聞出版社)


上の著書にあるように、IEA(国際エネルギー機関)は
風力発電と太陽光発電の世界的な普及拡大を予想している。

先進国や新興国、途上国のエネルギー問題の解決のため、
日本のテクノロジーを活用することができる。
固定価格買取制度によるイノベーション促進はその一里塚である。


 ↓ 参考

JA全農が20万kW規模の太陽光発電事業に参入、三菱商事との提携 - 土地取得なしでも国内最大級
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/ac94f2c06558ec66bf67b6b440f584e7

年間3000万円の売電収入、大和ハウス工業が太陽光発電に本格参入-楽天も太陽電池を大幅値下げで攻勢に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8c620a01100f935c6b2a9d60de375996


▽ 夏の電力消費ピークにはコスト高の揚水発電より太陽光の方が合理的

『原発がなくても電力は足りる!』(飯田哲也/大島堅一/河野太郎)



メガソーラー、20カ所で 三井物産など ファンド組み資金(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO44728060Z00C12A8TJ1000/
”三井物産と東京海上アセットマネジメント投信は国内20カ所に大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設する協議を始めた。総発電能力は6万キロワットとなり2013年度中に全て稼働させる計画だ。企業年金など機関投資家の出資を募って組成する合計200億円規模のインフラファンドの資金を活用。三井物産は多様な資金調達で再生エネルギー事業を拡大する。〔以下略〕”

「再生可能エネルギー分野・新電力分野において頼りになるのは商社である」
と当ウェブログで予見した通りの展開である。

但し、メガソーラーであっても工場や公共施設の屋根を利用した
合理的な自家発電・自家消費へ政策誘導する必要がある。


みずほ系リース、太陽光発電参入 京セラと提携 投資額200億円、3年で30~40カ所設置へ(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC0800H_Z00C12A8EB2000/
”みずほフィナンシャルグループ(FG)のリース大手、東京センチュリーリースは京セラとの共同出資で太陽光による売電を始める。東センリースの資金調達力と京セラの技術力を生かして3年間で約200億円を投資。全国30~40カ所に総発電能力で6万~7万キロワットの発電所を設ける。再生可能エネルギーで作る電気の全量買い取り開始を受け、投資競争が激化してきた。〔以下略〕”

こちらも丁度、上の案件と同程度の資金規模である。
政策誘導は今ならば間に合う。
自家消費ではなくコスト的に劣悪なメガソーラーは買取価格を下げるべきだ。


再生エネ買い取りに早くも疑問の声 電気料金高騰 価格下げルール必要(SankeiBiz)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120730/bsc1207300503008-n1.htm
”7月から太陽光や風力発電など再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートしたが、早くも制度維持について疑問の声が出始めた。
〔中略〕
 固定価格買い取り制度は太陽光や地熱、風力、中小規模水力、バイオマス(生物資源)によって発電した電力を電力会社が買い取る制度。1キロワット時当たりの買い取り価格と期間は、太陽光が42円で20年間、20キロワット以上の風力が23.1円で20年間、1万5000キロワット以上の地熱が27.3円で15年間-など。経済産業省は今年度中に原発2基分にあたる250万キロワットの再生エネ施設の認定を目指している。
 ただ、買い取り費用は電気料金に上乗せされ、上乗せ額は今年度で1キロワット時0.22円と設定された。現行の太陽光発電余剰買い取り制度の負担金も加算すると、標準家庭(月使用量300キロワット時、電気料金7000円)の今年度の負担増は月平均87円だ
〔中略〕
 半面、再生エネへの投資が進めば進むほど電気料金に跳ね返る仕組みになっているため、制度自体の持続可能性を疑問視する見方も強まっている。ドイツでは再生エネの電源構成比は01年の6.7%から10年には約20%に拡大したものの、一般家庭への電気料金上乗せ額は11年で月1200円程度まで増加。これが国民の反発を招き、今年に入って買い取り価格を20~30%も引き下げ、日本の半分程度となった。しかも、全量買い取りの廃止も決めるなど制度変更を余儀なくされている
 大和総研の神田慶司エコノミストは日本の買い取り価格制度について、「価格を決めたが、導入ペースをコントロールするルールがない」ことを問題点に挙げる。投資が過熱しバブルが発生しかねないことも懸念される。実際、スペインでは買い取り価格の引き下げでバブルが崩壊。太陽光発電と投資意欲が急速にしぼんだ
 このため、神田氏は「早い段階から買い取り価格を引き下げるルールを明確にしたり、事前に設備導入量の目標値を設けて周知させるなどのシステムが必要」と指摘する。大和総研は制度開始から10年後に再生エネの発電比率を20%に引き上げた場合の電気料金を試算し、10年目の家庭向け電気料金が月約600円上昇するとしているが、バブルが発生すればこれを上回る可能性もある。
 政府が検討を進めている2030年の電源構成の選択肢では、原発の比率について「0%」「15%」「20~25%」の3つのシナリオが示されたが、再生エネの比率は20~35%まで高めることを前提としている。しかし、再生エネの買い取り制度が破綻すれば、いずれのシナリオも実現しない。今後、技術革新による発電量増加や設置コストの低下なども見込まれる。そうなれば普及度合いに加速することも予想される。再生エネの普及は二酸化炭素(CO2)排出削減など環境対策ともなるが、欧州の反省を踏まえ、コスト低下などを買い取り価格に反映させるなど、早い段階から持続可能な仕組みに見直す必要がある。”

フジサンケイが詳しい記事をアップしているが、ミスリードが多い。
ドイツのフィードインタリフは最初から買取価格を引き下げる制度設計であり、
今後は洋上風力と太陽熱利用にシフトすることになっている。
再生可能エネルギーの普及拡大の計画も既に決まっている。

スペインの失敗の理由も異なる。買取価格の引き下げが遅かったからである。
「コストの安い風力を重視すべき」などもう少しましな分析が欲しい。
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