クラシック 名盤探訪

クラシックの名盤紹介・おすすめ散策コース等、趣味の発信の場です。

とっておきの名盤 その143 ベートーヴェン ピアノソナタ第31番イ長調 作品110

2009年01月29日 | とっておきの名盤「器楽曲」
  
ベートヴェンの晩年の作品群は、仏教で言う解脱の境地というか、精神的に一歩進んだ高みの境地があって、とても素晴らしいものを私の心に伝えてくれる。
交響曲では第9番、弦楽四重奏曲では第14番以降の3作品、声楽曲では荘厳ミサ曲、そしてピアノソナタではこの作品を含む30番からの3作品がとくに素晴らしい。
何度聴いても飽きないし、聴くたびに新しい何かを啓示してくれる。
仏教では、菩薩というのは悟りを求めて修行し、一方では衆生を教化する身であるという。
如来というのは悟りを開いた覚者を指している。
晩年の作品の高みは、それこそ菩薩の身からやっとたどり着いた如来の境地と言えるのかもしれない。
その境地を、真に伝えてくれる少ないピアニストの一人が晩年のアラウで、この31番のソナタの第一楽章や第3楽章など、作曲家が伝えたかったメッセージを何とも深い形で聴くものの心に伝えてくれる。
私などは、しょっちゅう煩悩に追われて落ち着かない日々を送っているが、時々このとっておきの名盤を引っ張り出しては、精神的な落ち着きを取り戻そうとプレーヤーにこの盤を載せている。
晩年の3作品のベストスリーの盤は以下のピアニストのものを推奨する、
・クラウディオ・アラウ <PHILIPS>
・ルドルフ・ゼルキン <Grammophon>
・エミール・ギレリス <Grammophon>

韓国歴史ドラマ、気になる話 その2

2009年01月24日 | 歴史・気になる話
韓国歴史ドラマは面白い。
時代考証がしっかりしているし、使われる衣装や道具などもきちっと揃っているのが良い。
ドラマの中の背景となる自然が美しいのと、出てくる俳優もみんな揃って演技が上手なのにも感心する。
韓国では、大学の演劇部を出ていないと俳優になるのは難しいらしい。
物好きにもこれまでに作られた歴史ドラマで、DVDや放送等で見ることが出来るものを調べてみると40作品ほどある。
ドラマの制作年度順に何回かに分けて、このブログで紹介してみたい。

1.「キム尚宮」:朝鮮王朝中期の頃、中国は明の時代 <監督:キム・ジェヒョン> <主要キャスト:イ・ヨンエ、イ・ボヒ、キム・ギチョル> 1995年52話 <私的評価:★★★★>
韓国歴史ドラマ、気になる話 その1

2.「龍の涙」:朝鮮王朝建国の頃 <監督:キム・ジェヒョン> <主要キャスト:キム・ムセン、ユ・ドングン、キム・フンギ、チェ・ミョンギル> 1996~8年全159話 <私的評価:★★★★>
イ・ソンゲによる朝鮮王朝建国から、ハングル発明で知られる第4代王世宗(セジョン)までの話が壮大なスケールで描かれている。


3.「王と妃」:朝鮮王朝初期の頃 <監督:キム・ジェヒョン> <主要キャスト:チェ・シラ、アン・ジェモ、イム・ドンジン> 1999年全186話 <私的評価:未見>
王位継承問題に揺れる朝鮮王朝時代初期、国を動かした女傑・仁(インス)大妃の波乱万丈の生涯を描いている。
ヒロインを演ずるチェ・シラの演技が見ものらしい。
 

4.「許浚(ホ・ジュン)」:朝鮮王朝中期の頃 <監督:イ・ビョンフン> <主要キャスト:チョン・グァンリョル、キム・ビョンセ、ホン・チュンミン、ファン・スジョン> 1999年全64話 <私的評価:★★★★★>
韓国歴史ドラマ、気になる話 その1

5.「太祖王建」:高麗建国の頃 <監督:キム・ジョンソン> <主要キャスト:チェ・スジョン、キム・ヨンチョル、キム・ヘリ> 2000年全200話 <私的評価:★★★>
高麗を建国した太祖王建(ワンゴン)を演ずるのは、好きな俳優であるチェ・スジョン、これだけでも見るに値する。
当初150話の予定だったが、回が進むにつれチェ・スジョン演じる王建の魅力に引き込まれ、ファンの要望もあって結局全200話まで延長されたという。
 

6.「洪國榮(ホン・グギョン)」:朝鮮王朝後期の頃 <監督:イ・ジェガプ> <主要キャスト:キム・サンギョン、チョン・ウンイン、イ・テラン、チョン・ソヨン> 2001年全40話 <私的評価:★★★>
王位継承問題で荒れる朝廷内で、継承候補者のイサン(後の正祖大王)に仕え、あらゆる策略からイサンを守り抜いていくホン・グギョンのドラマティックな人生を描いている。
   

7.「商道(サンド)」:朝鮮王朝後期の頃、中国は清の時代 <監督:イ・ビョンフン> <主要キャスト:イ・ジェリョン、チョン・ボソク、キム・ヒョンジュ、キム・ユミ> 2001~2年全50話 <私的評価: ★★★★★>
韓国歴史ドラマ、気になる話 その1

8.「明成皇后」:朝鮮王朝最後の頃 <監督:ユン・チャンボム&シン・チャンシク> <主要キャスト:イ・ミヨン、ムン・グニョン、チェ・ミョンギル> 2001~2年全124話 <私的評価:未見>
朝鮮王朝第26代国王高宗の妃、明成皇后の波乱の人生を描いている。
1895年の日本軍による閔妃暗殺事件、これがどのように描かれているのだろうか。
 

9.「女人天下」:朝鮮王朝前期の頃 <監督:キム・ジェヒョン> <主要キャスト:カン・スヨン、チョン・イナ、イ・ドックァ、パク・チュミ、パク・サンミン> 2001~2年全150話 <私的評価:★★★★>
野望が渦巻く宮中、朝鮮三大悪女のひとりとされる主人公チョン・ナンジュンの権謀術策は、とどまるところを知らない。
ストーリーの先の展開が常に気になる作品ではある。
 

10.「暗行御史(アメンオサ)」:朝鮮王朝後期の頃 <監督:チョン・イン> <主要キャスト:ユ・ジュンサン、チョ・ミンギ、ハン・ヘジン> 2002年全15話 <私的評価:未見>
「暗行御史」とは、身分を隠しながら地方の民生を監視し、不正を働く役人を罰して苦しむ人々を救う特殊官史で、約300年前の朝鮮王朝に実在したという。
日本でいうと、水戸黄門というところか。
 


韓国歴史ドラマ、気になる話 その6
韓国歴史ドラマ、気になる話 その5
韓国歴史ドラマ、気になる話 その4
韓国歴史ドラマ、気になる話 その3
韓国歴史ドラマ、気になる話 その1

龍峰寺の千手観音菩薩像

2009年01月13日 | 歴史・気になる話
海老名市にある龍峰寺は、四季を通じて折々の美しい花を咲かせる風情豊かな寺で、一度は訪れてみて欲しいお寺。
本尊の千手観音菩薩像は、海老名市に二つしかない国指定の重要文化財のうちの一つで、正月元旦と大祭の3月17日の年二回、一般公開されている。
この千手観音菩薩像の姿形は平安時代の特徴が見られるが、眼に水晶をはめ込む技法などから、鎌倉時代末期の作と見られている。
左右脇手のうちから各一手を頭上に高く組み、掌の上に阿弥陀如来の化物一体を安置している像の形は、秘仏とされている京都清水寺の本尊と同じもので、清水形千手観音と呼ばれている。
写真は今年の元旦に拝観した時のもので、悩み事がゼロというわけでもないので、何らかのご利益があるのではと密かに期待している。

とっておきの名盤 その142 ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61

2009年01月07日 | とっておきの名盤「協奏曲」
  
ボベスコは”クラシック不滅の巨匠達”という様な本には絶対に載ってこないヴァイオリニストではあるが、チャーミングの極みとか、魂をひきつけるとかの視点からみると、私にとっては絶対にはずせない人の一人。
ベートーヴェンの作品の中でも最も優雅で気品あるメロディーにあふれるこの曲の第一楽章、それを彼女は古き良き時代を匂わせる極端といってもよいくらいの遅いテンポで、何ともあでやかに弾き抜ける。
浮世ばなれした陶酔感、時間も停止したようなこの音の流れは、あわただしい今の世の中ではめったに味わえない貴重なひと時にも思える。
これはもう好き嫌いの問題になってしまうが、私などはまだ小学生の頃だったけれども、昭和30年代のゆったりとした生活空間というか、しっとりとした時間の流れを思い起こさせる彼女の演奏に、ただただ惹かれてしまう。
この一枚、単純な選択だけれども、感覚的に好きなんだという中で選ぶとっておきの一枚としてまずは挙げたい。
もちろんとっておきの名盤の棚の中にきちんと並んでいる。
一緒に入っている小品、ロマンス第ニ番の極めて愛らしい旋律も、彼女は何とエレガンスに弾いていることか。
この曲のベストファイヴは、
・チョン・キョン=ファ<Vn>、クラウス・テンシュテット指揮、ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団 <EMI>
・ローラ・ボベスコ<Vn>、エドガール・ドヌー指揮、ベルギー国立放送新交響楽団 <PHILIPS>
・アイザック・スターン<Vn>、レナード・バーンステイン指揮、ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団 <CBS>
・ヘンリック・シェリング<Vn>、シュミット=イッセルシュテット指揮、ロンドン交響楽団 <PHILIPS>
・ダヴィット・オイストラフ<Vn>、アンドレ・クリュイタンス指揮、フランス国立放送局管弦楽団 <EMI>
チョン・キョン=ファ盤は、これぞ魂のこもった演奏の極め付きという一枚であり、これも是非聴いて欲しい。