クラシック 名盤探訪

クラシックの名盤紹介・おすすめ散策コース等、趣味の発信の場です。

WE THREE「ウィ・スリー」 ロイ・ヘインズ

2008年11月11日 | ジャズ&ヴォーカル
この盤、ロイ・ヘインズのドラムがとにかく素晴らしい。
数多くの名盤と言われるCDのなかでも、ここで聴くドラムの音はジャズを感じるという点でずば抜けている。
「アフター・アワーズ」という曲ををじっと聴いていると、良い意味での金縛りにあったような感覚でドラムの音に浸っている自分にふと気が付く。
不審な大男がゆっくりと足を運ばせる、そんな不吉なベースの音に寄り添う、ヘインズの余韻ただようシンバルの音が何とも印象的。
曲全体の落ち着いたテンポと陰影ある音造りが、この曲のイメージを素晴らしいものにしている。
「アウト・オブ・ザ・アフタヌーン」という盤がロイ・ヘインズの代表作とされているが、私は「ウィ・スリー」に断然魅力を感じる。
寒さがだいぶ強まってきて、秋の夜長が身にしみるこの頃だが、そんな時にオン・ザ・ロックを片手にジャズの雰囲気をじっと味わう。
それに一番ふさわしい盤と言えるのがこの盤、是非聴いて欲しい一枚。
・ロイ・ヘインズ<Dr>、フィニアス ニューボーン<P>、ポール・チェンバース<B> <PRESTIGE>

「 ライヴ・アット・30th・ストリート」 キャロル・スローン

2008年11月04日 | ジャズ&ヴォーカル
キャロル・スローンは1937年の生まれで、このライヴ盤は1962年の録音だから、彼女が25歳の時の吹込みだったことになる。
若々しい声が印象的だが、それ以上にジャズそのものを感じさせる歌い振りが素敵だ。
ライヴと言っても、ニューヨーク・マンハッタン30丁目207番地のCBS録音スタジオに客を招待してのものだった。
スタジオ・ライヴ形式というのだそうだが、客にアルコール類のサービスをした雰囲気の中での録音で、彼女はリラックスした感じで余裕を持って歌えたのか、とにかく素晴らしいアルバムの仕上がりになっている。
中でもシカゴ、イン・ア・センチメンタル・ムード、アラバマに星落ちて、イット・ネバー・エンタード・マイ・マインドなどが、聴いていて胸に迫ってくるものがある。
ジャズ・ヴォーカルの魅力をたっぷり味あわせてくれるという意味で、彼女の盤の中でも真っ先に求めたい一枚。

「イン・コンサート」 キャロル・キング

2008年03月07日 | ジャズ&ヴォーカル
 
キャロル・キングも1942年生まれだから、かなり昔の人になってしまった。
でも、その歌はビートルズ同様今でも超新鮮だ。
声も素敵だが、女性シンガー・ソングライターの草分だけあって、メロディーひとつとっても魅力的なことこの上ない。
このライヴCD、好きな曲を並べると、「Up On The Roof」、「So Far Away」、「Natural Woman」、「Hold Out For Love」、「It's Too Late」、「You've Got A Friend」、「Locomotion」と次々に素敵な曲が並ぶ。
一世を風靡した超ロングセラー・アルバム”Tapestry「つづれ織り」”を、生で再現してくれてるとも言える。
これからもずっと聴き続けて行きたいと心から言える歌手、それがキャロル・キングだ。

Just In Time 「ジャスト・イン・タイム」 ニーナ・シモン

2008年02月27日 | ジャズ&ヴォーカル
ニーナ・シモン、この人の名を知る人は少なくなってしまったが、何にもましてソウルフルな歌を聴かせてくれた数少ない歌手の一人だった。
ライヴアルバム「Nina at the Village gate」の一曲目を飾るこの歌、聴き手に心底からその事を納得させてくれる。
彼女の魂がこもったピアノの弾き語りの素晴らしさはどう表現したら良いのだろう。
これを聴いて何も感じない人は、音楽に感動することに無縁と言われてもしょうがない。
たまには、クラシックを離れて彼女の魂溢れる声に浸るのも良い意味での気分転換になる。

「ベヴァリー・ケリー・シングス」 ベヴァリー・ケリー

2007年03月02日 | ジャズ&ヴォーカル
ジャズ・ヴォーカル・ファンの方なら、前に紹介したクリス・コナーの一枚と並んで是非聴いて欲しいのがこの盤。
録音が少なかったベヴァリー・ケリーの本格的なジャズ・スイングが聴けるのがとにかく嬉しい。
特に気に入ってるのは一曲目の「恋人よ我に帰れ」、速いテンポで見事な歌唱を繰り広げる彼女と最高にスイングするバックのパット・モラン・トリオが、ジャズ・ヴォーカルの真髄というものを聴き手に心底から味合わせてくれる。
天才ベーシスト、スコット・ラファロの絶妙なフィーチャリングが楽しめる数少ないアルバムでもある。
このアルバムの中では、「君こそ心ときめく」「いつか幸せに」「貴方と夜と音楽と」などの曲も唄、バックとも魅力充分だ。
・ベヴァリー・ケリー<vo>、パット・モラン<p>、スコット・ラファロ<b>、ジョニー・ホワイテッド<ds> <Audio Fidelity>

「ポートレイト・イン・ジャズ」 ビル・エヴァンス

2007年02月08日 | ジャズ&ヴォーカル
これはビル・エヴァンスの代表的傑作で、ジャズファンなら誰でも持っているだろうし、もし持っていないのなら今すぐレコード店へ足を運ばなければならない。
私もジャズが好きになって、一番最初に買ったのがこの盤。
リバーサイド時代の盤はどれもとにかく素晴らしい。
夭折したベーシストの天才スコット・ラファロに刺激されたせいか、エヴァンスのピアノは官能的というか幻想的というか、とにかく繊細なタッチで絶妙なプレイを繰り広げている。
この盤の「ブルー・イン・グリーン」で見せる二人のインタープレイの傑出ぶりを何といって表現したら良いのだろう。
この盤を聴いた後、ビル・エヴァンスに魅せられてどれだけ彼のCDを買わされたことか。
でも購入して後悔させられた盤が一枚も無かったのが、彼の凄いところ。
なかんずく、ピアノ・トリオが好きな人でこの盤を持っていないと、エセ・ジャズファンと言われても仕方が無い。
ビル・エヴァンス<P>、スコット・ラファロ<b>、ポール・モチアン<ds> <Riverside>

Lullabys of Birdland 「バートランドの子守唄」

2007年01月15日 | ジャズ&ヴォーカル
ジャズ・ヴォーカル・ファンを自称する人なら必ず持っているはずの一枚。
これからジャズ・ヴォーカルを聴こうというという人なら、まず最初に手にするアルバムのひとつ。
この盤を聴き始めると、すぐ耳に入るクリス・コナーの声そのものにまず惹かれる。
とにかく声そのものがジャズをイメージさせてくれる。
少しハスキーがかった甘みのある声で表面的にはクールに、しかし随所のフレージングに見せるほのかな暖かさで歌う微妙な声のバランスが、何ともいえない雰囲気を醸し出す。
ライブハウスにトリップして、オンザロックを飲みながら、彼女の歌声に聴き入っている雰囲気とでもいえようか。
このアルバムには、「バードランドの子守唄」のセンスある軽妙な語り口、「ホワット・イズ・ゼア・トゥ・セイ」数あるバラード曲の中でも最も好きな曲のひとつ、「星影のステラ」の気概溢れるアップテンポの歌いまわし、など魅力的なナンバーが並んでいる。
クリス・コナー<Vo>、サイ・オリヴァー他 <BETHLEHEM>

「イン・コンサート」 マックス・ローチ & クリフォード・ブラウン

2006年12月29日 | ジャズ&ヴォーカル
クリフォード・ブラウンは1956年6月、交通事故により25歳という若さで突然の死を迎えた。
天才トランペッターの早すぎる死は、本当に悔やんでも悔やみきれない。
今年は50回忌だったのに、あまり騒がれなかったというか記事にならかったのはとても残念。
彼のトランペットは、その一音を聴くだけでこれがブラウニーの音色とすぐ判る独特の魅力があり、まさにまろやかなこくのきいた極上ウィスキーの味わいのよう。
一曲目の「ジョードゥ」はブラウニーのソロに終始し、その胸のすくような輝くばかりのアドリヴは聴き手をとにかく魅了する。
彼お好みのバラッド・プレイ「テンダリー」での、その哀愁に満ちたメロディーを奏でるトランペットは、まるで彼自身の無念の死を惜しむ挽歌のように聴こえてならない。
この盤で競演する天才ドラマー、マックス・ローチも素晴らしい。
全曲に亘って絶妙なドラム・ソロを展開するが、特に3曲目「君にこそ心ときめく」でのドラミングの迫力というか,その熱気は聴き手の胸にずきっと突き刺さる。
この盤はブラウン・ローチクインテットの唯一のコンサート・レコーディングだからとにかく貴重。
これほどジャズの熱さ、楽しさというものを芯から味合わせてくれる盤はそうあるものではない。
・1~4曲:クリフォード・ブラウン<Tp>、ハロルド・ランド<TS>、リッチー・パウエル<P>、ジョージ・モロウ<B>、マックス・ローチ<D>
・5~8曲:クリフォード・ブラウン<Tp>、テデイ・エドワーズ<TS>、カール・パーキンス<P>、ジョージ・ブレッドソー<B>、マックス・ローチ<D> <GNP Crescendo>

バド・パウエル ”イン・パリ”

2006年11月30日 | ジャズ&ヴォーカル
とにかくピアノがスイングする。
そんな表現が使いたくなるほどパウエルのピアノは歌う。
しかもそれがジャズそのものを心底から感じさせるのだから恐れ入る。
とにかく、まずは「ディア・オールド・ストックホルム」を聴いてくれと言いたい。
こんなにくつろいだ不雰囲気を味合わせてくれる一曲もそうあるものではない。
エヴァンスが静だとすれば、パウエルは動、どちらもジャズの真髄を聴かせてくれる。
今日は動のひと時を過ごしたい気持ちでいる。
「ボデイ・アンド・ソウル」、「サテン・ドール」の素晴らしさもとっておきのもの。
・バド・パウエル<Pf>、ギルバート・ロバー<b>、カール・ドンネル<ds> <Prestage>

WALTZ FOR DEBBY 「ワルツ・フォー・デビー」

2006年11月20日 | ジャズ&ヴォーカル
この盤はまずジャケットのセンスの良さに惹かれる。
そしてセッテルンドとビルエヴァンスの組み合わせも魅力的ということで、ジャズヴォーカル・ファンならきっと購入する一枚。
彼女が自国のスエーデン語で歌っている曲もあるせいか、聴いているとヨーロピアン・ジャズと言っていいような雰囲気に浸りきっている自分に気づく。
エヴァンスのピアノのしっとりとした音と若々しいセットルンドの歌がぴったりとマッチしていて、すがすがしい雰囲気を作り出しているのが何ともいえない。
特に好きなのは、スタンダード・ナンバーで「サム・アザー・タイム」、「カム・レイン・オア・カム・シャイン」、「ワンス・アポン・ア・サマータイム」など。
落ち着いた雰囲気の大人向けの一枚。
・モニカ・セッテルンド<Vo>、ビルエヴァンス<P>、チャック・イスラエル<b>、ラリー・バンカー<ds> <PHILIPS>

’FOUR’&MORE 「フォア・アンド・モア」

2006年11月09日 | ジャズ&ヴォーカル
この盤は「ジャズとはこういうものなんだ!」ということを、有無を言わせず聴き手に教えてくれる一枚。
ジャズの真髄とは何か、ということを深く体感させてくれる一枚。
マイルスを中心とするクインテットの最高に熱の入ったライヴの傑作で、一曲目の熱い「SO WHAT]を聴くや否や、定盤とされる”Kind of Blue "の同曲のふやけた演奏は何だったんだと思うはず。
最後の曲など、マイルスが聴衆に訴えたかった熱いメッセージがそのままタイトルになっている、「There is No Greater Love ~ Go Go」(Theme and Announcement)。
とにかく、聴き始めるとあっというまに最後の曲まで聴きとおしてしまう、最高にテンションの高い一枚だ。
1964年2月、ニューヨークフィルハーモニック・ホールでのライヴ録音。
・マイルス・デイビス<tp>、ジョージ・コールマン<ts>、ハービー・ハンコック<p>、ロン・カーター<b>、トニー・ウイリアムス<ds> <CBSSONY>

COOL STRUTTIN’ 「クール・ストラッティン」

2006年10月27日 | ジャズ&ヴォーカル
ジャケットの魅力に惹かれて真っ先に手にするのが、まずこの盤だろう。
”ニューヨークのビジネス街、朝の通勤に急ぐ足取り”、そんな日常のシーンの一こまが絵になるのが面白い。
次のステップに移ろうとする淑女の伸びやかな脚が、これ程見る人を惹きつけるとは思いもよらなかった。
そのイメージを彷彿とさせるタイトル曲「クール・ストラッティン」がやはり魅力十分。
ジャズ入門曲としてあまりにも有名な曲、いまさら説明不要と叱責を受けそうなので、話はこの辺で終わりにしてこの曲を早速スタート!
朝のコーヒーを飲みながら、朝刊に目を通そう。
・アート・ファーマー<trumpet>、ジャッキー・マクリーン<altosax>、ソニー・クラーク<piano>、ポール・チエンバース<bass>、フィリー=ジョー・ジョーンズ<drums> <BLUE NOTE>

JUDY AT CARNEGIE HALL 「ジュディ・アット・カーネギーホール」

2006年10月06日 | ジャズ&ヴォーカル
1961年、カーネギーホールでのライヴ録音。
その年、グラミー賞の「アルバム・オブ・ジ・イヤー賞」に輝くと同時に、彼女も最優秀女性歌唱賞を受賞。
ダイナショアの項でも述べたが、彼女の歌の上手さは図抜けていて特別のもの。
オープニング・ナンバー「君微笑めば」から始まり、”ミス・ビジネス・ショー”と呼ばれた通りの熱い歌を次々と展開する。
フィナーレに近づき、魂を絞って歌う「虹の彼方に」は、涙なしには聴けない。
その後、「スワニー」「君去りし後」と素晴らしい歌が続き、最後の「シカゴ」の歌唱は圧巻。
このアルバムは、ヴォーカル好きにはバイブル的な存在と言って良い。
彼女は1969年に睡眠薬の飲みすぎで、残念なことに亡くなってしまった。
47歳だった、その葬儀には約2万人のファンが参集したという。
・ジュディ・ガーランド、モート・リンゼイ指揮&オーケストラ <Capitol>

Dinah sings Previn plays 「ダイナ・シングズ・プレヴィン・プレイズ」

2006年09月30日 | ジャズ&ヴォーカル
とにかくダイナ・ショアの歌のうまさには驚かされる。
ジュディ・ガーランドと並んで飛びぬけた存在だったと思う。
アルバムの中の歌はスタンダード・ナンバーが並んでいて、とにかく楽しめる。
中でもガーシュインの名作「ザ・マン・アイ・ラヴ」は最高だ。
この曲をこれだけ素晴らしく歌った例を他に全く知らないし、ポピュラー歌手であったダイナ・ショアがまさにジャズそのものを歌っている。
のちにクラシックの指揮者に転進したジャズ・ピアニスト、アンドレ・プレヴィン率いるトリオの共演もすごくスイングしているし、絶対に楽しい一枚。
・ダイナ・ショア、アンドレ・プレヴィンのトリオ <Capitol>