クラシック 名盤探訪

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日光街道一番宿、千住宿を歩く

2012年01月25日 | ウォーキング
コース順路:コース満足度★★★
JR南千住駅 → 回向院・首切り地蔵 → 素盞雄神社 → 荒川ふるさと文化館 → 千住大橋・大橋公園 → 勝専寺 → 横山家 → 名倉病院 → 荒川 → JR北千住駅

日光街道の一番宿として千住が定められたのが寛永2年(1625)、そんな当時の面影を訪ねてみようと小塚原から北へと千住宿を歩く。
小塚原の刑場で、明治の初年までに処刑された人の数は約20万人だという。
そんな人たちの魂も鎮めている回向院は、寛文7年(1667)に本所回向院の住職だった弟誉義観によって開山されている。
安政の大獄で処刑された橋本左内や吉田松陰もその寺に葬られているが、行ってみるとそのお墓はひっそりと目立たない状態で置かれている。
回向院には、昭和8年(1771)に刑死者の腑分けに参加したことがきっかけとなって「解体新書」を作ったという杉田玄白の碑も建てられている。
刑死者のために建立された首切り地蔵だが、この間の大震災で倒れてしまい、それこそ手足バラバラの状態で台座の横に無造作に置かれているのがとても気になる。
  

地元では通称「お天王さま」と呼ばれている素盞雄神社を訪れる。
千住は松尾芭蕉が「奥の細道」の旅へ出発した地点として知られていて、境内には芭蕉が詠んだ「行く春や鳥啼き魚の目は泪」の矢立初めの句碑が置かれている。
この神社の説明板には、「役小角の弟子・黒珍が東方にある小高い塚を霊場と崇めて日夜礼拝していたところ、延暦14年(795)の夜に、石が微妙な光を放ち翁の姿をした二神(素盞雄命・事代主命)が現れて神託をつげた。そのため、その石は瑞光石と呼ばれ、出現した二神を祭神として祀っている」という興味ある話が書かれている。
 

千住大橋を渡りすぐ横の大橋公園に行くと、「奥の細道」へと旅立つ芭蕉の気持ちを表した名文、「千じゅと云所にて船をあがれば前途三千里のおもひ胸にふさがりて幻のちまたに離別の泪をそゝぐ」が壁に大きく記されている。
宿場町の名残を今に伝える横山家は江戸後期に建てられた商家で、中には入れなかったが、広い土間や商家の書院造と言われる帳場2階の大きな格子窓などが特徴とされている。
 

朱塗りの山門が色鮮やかで、赤門寺とも呼ばれていう勝専寺、左側にある閻魔堂の中に大きな閻魔大王が安置されていて、ご開帳となる「おえんまさまの縁日(1月と7月の15・16日)」には多くの人々が訪れ、万病、特に御利益があるという喉の病気の回復を願うのだという。
 

骨つぎと言えば名倉と言われるほど、関東一円にその名を知られていた名倉医院、入口の長屋門が江戸時代の名残を留めている。
1770年頃から柔術や剣道を教えるかたわらで骨つぎを手がけ、門前の広場には、遠くから治療に訪れた患者の駕篭や大八車がひしめいていたと言う。
昔ながらの建物を眺めながら進むと、荒川の土手に突き当たる。
急に視界が広々と開けて、緩やかに流れる荒川と澄み渡った青空を眺めていると、自然と爽やかな気持ちになってくる。
 

この曲この一枚 その27  モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」 K492 

2012年01月11日 | この曲この一枚
 
ベーム指揮の「フィガロの結婚」というと、まず第一に挙げられるのがドイツ・グラモフォン盤だが、私としては一層惹かれるのがこの1955年録音の旧盤。
曲全体に漂うほのかなウィーンの香りが最大の魅力なのだが、粒ぞろいのキャストにも惹かれるところが大。
スザンナを歌うシュトライヒの天来の美声と相まった確実な技巧と完璧な発声は、一世を風靡した名歌手マリア・イヴォーギン、エルナ・ベルガーを師としたところから来ているのか、その情緒あふれる表現には聴き惚れるばかり。
ベームに認められて、1955年にウィーン国立歌劇場に迎えられたというルートヴィッヒの若々しいケルビーノの歌声も魅力大。
フィガロを歌うワルター・ベリーはレポレロ、パパゲーノなども得意としていて、モーツアルトのスペシャリストとして広い人気を得ているし、襟を正したくなるような気品あふれる伯爵夫人のユリナッチも素晴らしい。
とにかくこの盤を聴き出すと、モノラル録音ということなど不満のかけらにもならないのが不思議で、褒め言葉ばかりが出て来てしまう。
モーツアルト・ファンならぜひ聴いて欲しい”この曲この一枚”として、この盤をあげないわけにはいかない。
・カール・ベーム指揮、ウィーン交響楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団、パウル・シェフラー<Br>、セーナ・ユリナッチ<S> 、ワルター・ベリー<Br>、リタ・シュトライヒ<S>、クリスタ・ルートヴィッヒ<S> <Guild>
とっておきの名盤 その50 モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」K492