クラシック 名盤探訪

クラシックの名盤紹介・おすすめ散策コース等、趣味の発信の場です。

とっておきの名盤 その69 J.S.バッハ マタイ受難曲 BWV244

2006年12月31日 | とっておきの名盤「声楽曲」
 
年を締めくくるにあたり、このブログに載せるとっておきの名盤は、音楽の父バッハの「マタイ受難曲」でありたい。
指揮するのは、この曲が作曲されたバッハゆかりの地ライプツィッヒで学びバッハを得意とするマウエルスベルガー、そして当地の管弦楽団と東ドイツのソリスト達がまさに手中の曲としてこの傑作をいとおしむように演奏してくれているのが嬉しい。
ドレスデン聖十字架合唱団を中心とする合唱団がとりわけ素晴らしく、この地に延々と続いている協会の伝統というものを手に取るように聴く者に伝えてくれる。
第1曲目「来たれ娘たち」の壮麗な響き、コラール「おお頭は血にまみれし」での魂を込めた痛切な叫びなど、バッハが訴えたかった心情を何と見事に表現していることか。
シュライヤーのエヴァンゲリストの傑出した歌いぶりは、あらゆるマタイの盤の中で特出ものであることも記しておきたい。
信者でもなんでもないが、静かな大晦日、じっくりこの受難曲に浸り一年間の罪滅ぼしをするのも悪くは無い。
この名曲の双璧と言っていいとっておきの名盤は次の2点、
・R.マウエルスベルガー指揮、ライプツィッヒゲバントハウス管弦楽団、ドレスデン聖十字架合唱団、ぺーター・シュライヤー<T>、テオ・アダム<Br>、アデーレ・ストルテ<S>、アンネリーゼ・ブルマイスター<A> <BerlinClassic>
・K.ミュンヒンガー指揮、シュトットガルト室内管弦楽団・合唱団、ピーター・ピアーズ<T>、ヘルマン・プライ<Br>、エリー・アメリング<S>、マルガ・へフゲン<A> <DECCA>

「イン・コンサート」 マックス・ローチ & クリフォード・ブラウン

2006年12月29日 | ジャズ&ヴォーカル
クリフォード・ブラウンは1956年6月、交通事故により25歳という若さで突然の死を迎えた。
天才トランペッターの早すぎる死は、本当に悔やんでも悔やみきれない。
今年は50回忌だったのに、あまり騒がれなかったというか記事にならかったのはとても残念。
彼のトランペットは、その一音を聴くだけでこれがブラウニーの音色とすぐ判る独特の魅力があり、まさにまろやかなこくのきいた極上ウィスキーの味わいのよう。
一曲目の「ジョードゥ」はブラウニーのソロに終始し、その胸のすくような輝くばかりのアドリヴは聴き手をとにかく魅了する。
彼お好みのバラッド・プレイ「テンダリー」での、その哀愁に満ちたメロディーを奏でるトランペットは、まるで彼自身の無念の死を惜しむ挽歌のように聴こえてならない。
この盤で競演する天才ドラマー、マックス・ローチも素晴らしい。
全曲に亘って絶妙なドラム・ソロを展開するが、特に3曲目「君にこそ心ときめく」でのドラミングの迫力というか,その熱気は聴き手の胸にずきっと突き刺さる。
この盤はブラウン・ローチクインテットの唯一のコンサート・レコーディングだからとにかく貴重。
これほどジャズの熱さ、楽しさというものを芯から味合わせてくれる盤はそうあるものではない。
・1~4曲:クリフォード・ブラウン<Tp>、ハロルド・ランド<TS>、リッチー・パウエル<P>、ジョージ・モロウ<B>、マックス・ローチ<D>
・5~8曲:クリフォード・ブラウン<Tp>、テデイ・エドワーズ<TS>、カール・パーキンス<P>、ジョージ・ブレッドソー<B>、マックス・ローチ<D> <GNP Crescendo>

とっておきの名盤 その68 ウテ・レンパー Sings クルト・ワイル

2006年12月27日 | とっておきの名盤「声楽曲」
この盤のライナーノートに、「このウテ・レンパーの歌うクルト・ワイルのソングを聴いて、きっと彼の音楽を好きになる人がたくさんいるに違いない」という一文があったが、かくいう私もその一人で一時期この盤を夢中になって聴いたことをよく思い出す。
ヒトラーの足音が響く時代、その暗い政治背景を逃れアメリカに移住したワイル、暗いイメージで歌われてきたのがそれまでのワイルの歌だった。
だがウテ・レンパーの歌は違っていた。
聴く歌の一つ一つが新鮮、取立ての果物を噛み締めるかのような味わいがする。
彼女のはりのあるつややかな声と詞に対する鋭さは尋常なものではない。
この盤の最後にある魅力的な曲「スピーク・ロウ」を聴くとそのことが良くわかる。
聴くほどに味わいが深まる不思議な曲、いや彼女のしたたかとも言っていい歌いぶりに驚かされる。
これまでのワイルの暗いイメージを一新させてくれたとっておきの一枚。
・ウテ・レンパー、ジョン・モーゼリ指揮、RIASベルリン室内アンサンブル <LONDON>

とっておきの名盤 その67 プッチーニ 歌劇「蝶々夫人」

2006年12月23日 | とっておきの名盤「オペラ」
近くの家庭雑貨ディスカウント・ストアーをぶらぶら歩いていると、歌謡曲やポップスのCDを並べている棚の中にクアドロマニアという何やら見慣れない文字が目に入った。
手にとってよく見ると、曲はプッチーニの「マノン・レスコー」と「蝶々夫人」全曲、4枚組で980円となっている。
好きなプッチーニなのと余りの値段の安さとで演奏や録音内容など確認もせずに早速購入し、「蝶々夫人」に耳を傾ける。
聴こえてくる音が何ともみずみずしい、びっくりしてジャケットに目を通すと不思議にも1949年録音となっている、そして演奏者の欄を見ると大好きな歌手スティーバーの文字があるではないか、彼女の録音は少ないだけに目にした嬉しさたるや大変なものだった。
調べてみるとルドルフ指揮のこの盤は、LPで最初のこの曲の全曲盤となっている、全くの掘出物に再びびっくり。
第一幕の蝶々夫人の幻想的で華やかな出だしの歌と宵闇の中に次第に高まっていく愛の二重唱、そして第二幕すぐの余りにも有名な「ある晴れた日に」と悲劇的な結末を向かえるフィナーレ。
それを愛すべき歌手スティーバーが何と見事に歌いきっていることか、そのつややかな声、自然な声の伸び、優しさに満ちた声、聴いているといつの間にか心底から心が柔らいでいる自分に気がつく、賞賛しても仕切れないほどの歌いぶりに感謝、感謝。
前にこのブログでも紹介した「ローエングリン」のエルザと並ぶ絶唱だ。
彼女の録音は少ないと思うが、そのディスコグラフィーを知っている方、御一報をお待ちしてます。
とにかく掘出物だし、それこそとっておきの名盤、是非手に入れて聴いて欲しい。
この盤は別格の愛聴盤だが、とりあえずベストファイヴを挙げると、
・マックス・ルドルフ指揮、メトロポリタン歌劇場管弦楽団、エリノア・スティーバー<S>、リチャード・タッカー<T> <membran>
・トゥリオ・セラフィン指揮、ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団、レナータ・テバルディ<S>、カルロ・ベルゴンツィ<T> <DECCA>
・アンジェロ・クヴェスタ指揮、トリノ・イタリア放送管弦楽団、クララ・ペトレルラ<S>、フエルッチョ・タリアヴィーニ<T> <CETRA>
・ロリン・マゼール指揮、フィルハーモニア管弦楽団、レナータ・スコット<S>、プラシード・ドミンゴ<T> <CBSSONY>
・ベリスラフ・クロブチャール指揮、ベルリン交響楽団、ピラール・ローレンガー<S>、フリッツ・ヴンダーリッヒ<T> <EMI>
ドイツ語録音のクロブチャール盤、ローレンガーの歌がとても魅力的、これも是非聴いて欲しい一枚。

とっておきの名盤 その66 シューベルト ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調 D.960

2006年12月21日 | とっておきの名盤「器楽曲」
この曲はシューベルト死の年、1828年に一気に書き上げられた3曲のピアノ・ソナタの最後を飾る傑作。
その深遠な出だしの旋律を聴くと、いつもシューベルトの早すぎた死がひしひしと感じられ、さぞかし無念の思いだったろうという気持ちで一杯になる。
第1楽章はゆったりとした歌で始まる、といっても声ではなくとにかくピアノがひたすら歌う、何かその歌は念仏をじっと唱えているようにも聴こえる。
死の足音を感じたシューベルトは、その彼岸の想いを歌詞には表しきれず、ひそかにピアノの響きに託したとしか思えてならない。
もっと生きていれば、どんなに素晴らしい曲を書き続けてくれただろうと思うと残念でならない、この気持ちは私だけではないと思う。
ピリスのピアノ、そのシューベルトの憂いというか死に対する悟りの気持ちにぴったりと寄り添って歌うに歌ってくれている、彼の死に際の願いが乗り移ったかのように。
前にこのブログでも紹介したが、しばらく退いていた演奏生活から復帰後に録音したショパンの「ワルツ集」の華麗とも言っていい素敵な表現、続いて録音したこの盤の中身の濃い深みある演奏、「さなぎから蝶へ」、復帰前に比べおどろくべき変身ぶりというしかない。
この盤に一緒に録音されている2曲の即興曲(作品90の3と4)が、さらに輪をかけて詩情に溢れているのも嬉しい。
録音も好ましく、シューベルトの情緒を大切にしたしっとりとした音がスピーカーを振るわせる。
あえてこの曲のベストスリーを挙げると、
・マリア・ジョアオ・ピリス <ERART>
・スヴャトスラフ・リヒテル <Victor>
・ワルター・クリーン <VOX>

とっておきの名盤 その65 ブラームス 弦楽六重奏曲第1番変ロ長調 作品18

2006年12月19日 | とっておきの名盤「室内楽曲」
ブラームスの青春時代、27歳頃の作品。
曲全体を通し、のどかな田園の情緒を思わせる明るさの中にやるせない感傷性も秘めていて、ブラームス好きにはたまらない。
結成以来40年に亘って顔ぶれが変わることなく活躍を続けるアマデウス四重奏団、歌にあふれた第2楽章の表現などひとしを耳に染み入る。
録音も優秀、ふくよかな弦の響き、深みのある音色が19世紀ロマン情緒をかもし出す。
この曲のベストスリーは、
・アマデウス弦楽四重奏団、セシル・アロノヴィッツ<2ndVa>、ウイリアム・プリース<2ndVc> <Grammophon>
・ウィーンコンツェルトハウス四重奏団、フェルディナント・シュタングラー<2ndVa>、ギュンター・ヴァイス<2ndVc> <Westminnster>
・なし
ウィーン情緒がひとしおのコンツェルトハウス盤も懐かしさがひとしお。

とっておきの名盤 その64 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番ハ長調、第2番変ロ長調

2006年12月17日 | とっておきの名盤「協奏曲」
この盤はアルゲリッチ43歳、シノーポリ39歳、若さと覇気に満ちていた1985年の録音。
アルゲリッチのピアノの音の柔らかさ、微妙に変化する音色が何ともいえない魅力を醸し出す、絶妙のバランスで彼女のピアノを支えるオーケストラ、この組み合わせは素晴らしい。
聴いた後の精神的満足感、これ程の充実した思いはなかなか味わえるものではない。
シノーポリ、指揮者としてはこれから円熟を迎えるはずだったが、2001年55歳の突然の死、その訃報には本当に驚かされた。
愛するブルックナーでも立派な指揮をしていたし、一層の活躍を期待していただけに、今でも本当に残念な気持ちで一杯。
その後のアルゲリッチは、アンサンブル曲の録音が多いのが残念、ベートーヴェンの後期ピアノソナタの録音など夢のまた夢か。
この曲のベスト・ファイヴを挙げると、
・マルタ・アルゲリッチ、ジュゼッペ・シノーポリ指揮、フィルハーモニア管弦楽団 <Grammophon>
・ウィルヘルム・バックハウス、ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 <LONDON>
・フリードリッヒ・グルダ、ホルスト・シュタイン指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 <LONDON>
・クラウディオ・アラウ、コーリン・ディヴィス指揮、ドレスデン・シュターツカペレ <PHILIPS>
・なし

とっておきの名盤 その63 ワーグナー 管弦楽曲集Ⅰ・Ⅱ

2006年12月14日 | とっておきの名盤「管弦楽曲」
  
これは昔から定盤中の定盤とされる演奏、新鮮味がないアルバムと言われそうだが、「とっておきの名盤、愛聴盤」を厳選して紹介するブログだけにこの盤を落とすわけにはいかない。
最も敬愛する指揮者の一人、クナッパーツブッシュによる1962年、74歳の時の録音。
別格といってよい風格のある演奏で、これぞワーグナーの理想的境地と多くのファンは絶賛、かく云う私もその一人でとにかくその文句のつけようの無い演奏の前にはただ頭をたれるのみ。
一曲目の「ニュルンベルクの名歌手」前奏曲、聴き始めるや古武士を思わせる悠然としたテンポと骨格のしっかりした巨大なスケールの音の響きに圧倒される。
ワーグナーの音はかくあるべきで、伝統の重みは口では語りつくせないし、とにかく聴いてみて実感して欲しい。
オーケストラは私の大好きなミュンヘンフィル、特にフルートを先頭に管楽器の音色はいつもながら何ともいえず魅力的だ。
続く曲も、ワーグナーの代表的な作品の序曲、前奏曲等が網羅されている。
あえてこの曲集のベスト・ファイヴを挙げると、
・ハンス・クナッパーツブッシュ指揮、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 <Westminster>
・フリッツ・ライナー指揮、シカゴ交響楽団 <RCA>
・オットー・クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団 <EMI>
・カール・シューリヒト指揮、バイエルン放送交響楽団 <DENON>
・ジュゼッペ・シノーポリ指揮、ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団 <Grammophon>

”あかねさす” 額田王

2006年12月12日 | 和歌(いにしえの歌人)
古代史の旅をすると、万葉集の歌に思わぬところでめぐり合う。
この歌に旅先で出会ったわけではないが、詩のリズムがとても音楽的なせいか好きな歌。
詠み人は天武天皇の妃、額田王、日本の代表的な女流万葉歌人。

あかねさす
紫野行き
標野(しめの)行き
野守は見ずや
君が袖振る

「もうひとつの万葉集」李寧煕

とっておきの名盤 その62 チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調 作品64

2006年12月10日 | とっておきの名盤「交響曲」
第5番はチャイコフスキーが意欲的にペンを走らせた曲、独創的な発想が面白い。
クラリネット奏する「運命」の主題が弱音で始まるがこの暗さは作曲者独特のもの、この動機は全編に亘って各所で顔を覗かせる。
私の最も好きな第2楽章、ホルンの独奏する主旋律が何ともやるせない雰囲気をかもし出す。
そのメロディーの甘美なこと、哀愁と憧れを伴って面々と歌われていく。
続く楽章はチャイコ得意のワルツ、そのはかなさというか柔らかな旋律に引き込まれる。
フィナーレに向かって「運命」の動機が表に現れ、そして爆発する。
チャイコフスキーはR・シュトラウスと並んでカラヤンが最も得意とした作曲家。
たしかこの盤はこの曲の6回目の録音のはず、ベルリンフィルと大喧嘩した後ウィーンフィルに接近、晩年の思いをタクトに載せている。
この曲のベストファイヴは、
・ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 <Grammophon>
・エフゲニ・ムラヴィンスキー指揮、レニングラードフィルハーモニー管弦楽団 <Grammophon>
・ピエール・モントゥー指揮、ボストン交響楽団 <RCA>
・レナード・バーンスタイン指揮、ニューヨークフィルハーモニック管弦楽団 <Grammophon>
・レオポルド・ストコフスキー指揮、ニューフィルハーモニア管弦楽団 <DECCA>

斑鳩・飛鳥・奈良・京都の旅 その2 「古代史」編

2006年12月08日 | 歴史・旅(国内)
大神神社・山の辺の道 → 法隆寺・飛鳥の遺跡 → 東大寺・春日大社・興福寺
コース満足度 ★★★★★

「古代史と紅葉の旅」三泊四日を敢行、歴史と自然、実に思い出深い旅となった。

今回は「古代史」編、まず奈良県三輪にある大国主を祀っている大神神社を訪れる。
この神社は拝殿があるだけで本殿が無い、裏にある三輪山という姿の美しい山全体が本殿であり御神体となっている。
敬虔な気持ちで拝殿にお祈りをする。


北上すると石上神社まで通ずる山の辺の道を歩く。
大神神社から続く古の道に沿って崇神天皇や景行天皇陵がある。
穏やかな美しい風景が続き、伝説上の天皇達の都が偲ばれる。


7世紀初頭、推古天皇と聖徳太子が創建した法隆寺(別名、斑鳩寺)は余りにも有名、雨にもかかわらず大勢の人々が訪れている。


中門から眺める廻廊はエンタシスの柱と連子窓の対比が美しい。
現存する最古の五重塔のバランスが取れた姿形は見事。
中にある釈迦の入滅を嘆き悲しむ弟子達の表情、いわゆる「泣き仏」は暗くて全く見えず残念。
  

飛鳥時代の権力者、蘇我馬子の墓といわれる石舞台。
築造は7世紀初め頃と推定されている、石室の中に入り巨大な石の大きさを実感。


飛鳥寺(別名、法興寺)は蘇我馬子が発願し創建された日本最初の寺。
本尊飛鳥大仏をじっと観ていると、いつの間にか古の時代に想いを馳せている自分に気づく。


中臣鎌足と中大兄皇子が曽我入鹿の暗殺を語らったとされる多武峰、後に創建された談山神社に鎌足の像が祭られている。
パンフレットには大化の改新発祥地とか勝運のお宮とうたっていて、正義は我の方にありといわんばかり。


飛鳥寺のすぐ裏にある蘇我入鹿の首塚、逆心とされているせいか、造りがまことに淋しい。
背景の緑濃い所は入鹿の大邸宅があった甘樫丘、首塚から入鹿はどんな気持ちで眺めているのか。


大土木工事を好んだとされる斉明天皇、その時代を彷彿とさせるのが酒船石遺跡とパンフレットにうたっている。
導水施設らしく、何らかの祭祀が催されたと思われる。


なぞの石造物とされる亀石、表情が面白い、所領地の境を示す道標であったとする説が有力。


天武・持統天皇陵を眺める。
壬申の乱を起こした大海人皇子は後の天武天皇、皇后である鸕野讚良(うののさらら)皇女が後の持統天皇。
大海人皇子の兄、中大兄皇子(後の天智天皇)の娘が鸕野讚良姫女だから系図が何ともややこしい。
この陵を眺めると、持統天皇の歌「春過ぎて 夏来るらし 白たへの 衣干したり 天の香具山」を思い起こす。


旅は奈良に場所を移す。
南大門の仁王像を後にし多くの観光客の中、東大寺金堂(大仏殿)をめざす。


聖武天皇の発願による本尊の盧舎那仏、とにかく大きくて圧倒される。


奈良時代の創建、平安時代へと栄華を極めた藤原氏を氏神とする春日大社、ここも多くの観光客で一杯。


興福寺、阿修羅像の憂いにあふれた眼差しに心を惹かれる。
すぐ裏の猿沢池から夕暮れの五重塔を眺める、情緒豊かな風情あふれる光景に感動。
  

この旅で訪れた先々での心洗われる想い、懐かしき古の風情に感謝の気持ちで一杯、また訪れよう!
斑鳩・飛鳥・奈良・京都の旅 その1 「紅葉」編

とっておきの名盤 その61 フンパーディンク 歌劇「ヘンゼルとグレーテル」

2006年12月06日 | とっておきの名盤「オペラ」
クリスマス・シーズンにはかかせないオペラ、全編に亘って親しみやすいメロディーがちりばめられている。
初演は1893年12月23日だから、作曲者フンパーディンクは家族皆で楽しめるクリスマス・プレゼントのつもりで一気にペンを走らせたのかもしれない。
題材は童話だが、音楽はワーグナーの後継者による力作だけに立派なもの、魅惑的な歌と豊かなオーケストレーションが聴き手をメルヘンの世界に深く誘ってくれる。
指揮者フリッツ・レーマンは往年の名ソプラノ、ロッテ・レーマンの弟。
ドイツ気質というか、素朴で重厚な演奏が、このオペラの作風にはぴったりと合っていて最高の演奏となっている。
主役二人の歌も素朴で可愛らしく、このオペラの題材にふさわしい自然な歌いぶりは文句のつけようが無い。
内容が家族向きだし、随所に出てくる宗教的な「祈りの主題」がとても印象的で、このシーズンには是非聴いて欲しい曲。
この盤は廃盤になっていて入手困難なのがとても残念、ぜひ再発売を期待する。
聴いていると自然と心が暖かくなるとっておきの名盤、なんとか多くの人に聴いて欲しい。
お勧めの盤が入手困難なので、次点としてアイヒホルン盤を挙げる。
・フリッツ・レーマン指揮、ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団、ギゼラ・リッツ<S>、リタ・シュトライヒ<S>、ホルスト・ギュンター<Br>、マリアンネ・シエッヒ<S> <Grammophon>
・クルト・アイヒホルン指揮、ミュンヘン放送管弦楽団、アンナ・モッフォ<S>、ヘレン・ドナート<S>、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ<Br>、シャルロッテ・ベルトホルド<S> <RCA>

ショック、多村選手の放出!

2006年12月05日 | 横浜ベイスターズ
ベイスターズ多村選手がホークス寺原選手と一対一のトレード!
今日、突然のこのニュースには本当にビックリ。
大矢監督の就任は、それほど驚かなかったしある程度の予測は出来た。
好きな多村選手がトレードとは、全くの想定外!
生え抜きの横浜の顔だったしWBCでも活躍、寺原選手には申し訳ないがこのトレードはバランスがとれていないと思う。
来シーズン、寺原投手が想定外の活躍をし、横浜がAクラス以上でないとファン離れしてしまいそう。

斑鳩・飛鳥・奈良・京都の旅 その1 「紅葉」編

2006年12月03日 | 歴史・旅(国内)
談山神社 → 岡寺 → 長谷寺 → 春日大社 → 高山寺 → 神護寺 → 東福寺
コース満足度 ★★★★★

「古代史と紅葉の旅」三泊四日を敢行、歴史と自然、実に思い出深い旅となった。

今回は「紅葉」編、まず大和多武峰にある談山神社を訪れる。
この神社は藤原鎌足公を御神像に祭っており、多武峰の山中で中大兄皇子と藤原鎌足が、蘇我入鹿の暗殺を語らったことが由緒になっている。


神廟前のけまりの庭から見上げると、十三重塔が鮮やかな紅葉の中に聳え立つ。


拝殿の中から眺める紅葉は、幻想的な美を醸し出す。


大和王朝の中心地、飛鳥の岡寺は日本最初のやくよけ霊場。
庭の造りに何ともいえない風情がある。
「 けさみれば 露岡寺の 庭のこけ さながら瑠璃の 光なりけり 」
  

紅葉の中に垣間見る三重宝塔。


長谷寺は花の寺、ぼたん、桜も有名だが紅葉の美しさも引けをとらない。


登廊に沿ってぼたん造りの庭が続く。


紅葉と五重塔、飛鳥時代から続く繊細で華麗な風景。


奈良の名物、たくさんの鹿を横目に見ながら春日大社をめざす。


鮮やかな黄色がまぶしい銀杏の木に思わず見とれる。


急な階段を延々と上り、高尾山神護寺をめざす。
素晴らしい紅葉を思い描き多くの人が訪れているが、肝心の紅葉が盛りを過ぎていて残念至極。


紅葉の寺、東福寺を訪れる。
デジカメのメモリーが満杯となり、鮮やかな紅葉のショットが撮れずじまいで掲載できないのが残念。
もう一度、機会があれば再度訪れたい紅葉の寺、東福寺を後ろ髪が引かれる思いで後にする。

今度ほど思う存分紅葉を満喫出来た旅は始めてであった。
感謝!感謝!
斑鳩・飛鳥・奈良・京都の旅 その2 「古代史」編

とっておきの名盤 その60 ヘンデル オラトリオ「メサイア」

2006年12月01日 | とっておきの名盤「声楽曲」
あちらこちらでイルミネーションの飾り付けが目立つようになってきたこの頃。
信者ではないが、クリスマスのシーズンになると何故か「メサイア」が聴きたくなる。
手にするのは、リヒター指揮のこの盤。
リヒターはドイツ語による盤を録音していたが、これは英国の独唱者、合唱団、そして管弦楽団によるニ度目のもの。
英国風というか、おおらかで晴れやかな演奏が一番の魅力といっていい。
この曲は、合唱がしっかり聴かせなくては聴き栄えが極端に落ちてしまう。
その点、要の合唱での引き締まったリヒターの指揮ぶりは、信者でもない私の気持ちを清め高めてくれる。
「メサイア」の盤としては、まず第一に薦めたい演奏。
対抗盤として、感銘度は落ちるがクレンペラー指揮のものを挙げる。
・カール・リヒター指揮、ロンドンフィルハーモニック管弦楽団、ヘレン・ドナート<S>、アンナ・レイノルズ<A>、スチュアート・バロウズ<T>、ドナルド・マッキンタイヤー<B> <Grammophon>
・オットー・クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団、エリザベート・シュワルツコップ<S>、グレース・ホフマン<A>、ニコライ・ゲッダ<T>、ジェローム・ハインズ<B> <EMI>