クラシック 名盤探訪

クラシックの名盤紹介・おすすめ散策コース等、趣味の発信の場です。

Just In Time 「ジャスト・イン・タイム」 ニーナ・シモン

2008年02月27日 | ジャズ&ヴォーカル
ニーナ・シモン、この人の名を知る人は少なくなってしまったが、何にもましてソウルフルな歌を聴かせてくれた数少ない歌手の一人だった。
ライヴアルバム「Nina at the Village gate」の一曲目を飾るこの歌、聴き手に心底からその事を納得させてくれる。
彼女の魂がこもったピアノの弾き語りの素晴らしさはどう表現したら良いのだろう。
これを聴いて何も感じない人は、音楽に感動することに無縁と言われてもしょうがない。
たまには、クラシックを離れて彼女の魂溢れる声に浸るのも良い意味での気分転換になる。

武蔵国分寺近辺を歩く

2008年02月22日 | ウォーキング
コース順路:コース満足度★★★★
JR国分寺駅→殿ケ谷戸庭園→お鷹の道→真姿弁才天→武蔵国分寺跡→国分寺・万葉植物園→国分寺薬師堂→武蔵国分尼寺跡→旧鎌倉街道→JR西国分寺駅

奈良時代の中頃、天平13年(741)に出された聖武天皇の詔により、全国(68ケ所)に国分寺の造営が始められたが、武蔵国にも約20年の歳月をかけて全国一といわれる壮大な伽藍が完成した。
残念にも、元弘3年(1333)の新田義貞と北条泰家との分倍河原の戦いで、さしもの国分寺の伽藍も焼失したという。
天候にも恵まれた中、武蔵国分寺近辺の歴史の跡を訪ね、はるかな古代の国府の面影にふれる事の出来た意義ある散策となった。

JR国分寺駅を降りたら、すぐ先にある「殿ケ谷戸庭園」をまずは訪れる。
元は満鉄副総裁だった江口定條氏別邸の庭を、昭和4年に旧三菱財閥の岩崎彦弥太氏が再整備したもので、その回遊式の立派な庭の造りは素晴らしい。
花の時期にはまだ早かったため、見事な竹林の景観と福寿草を見ただけだったが、季節にはとても見事な花々が咲き乱れるとのこと。
 

江戸時代、将軍が鷹狩の際に通ったことから名づけられたという「お鷹の道」をゆっくりと歩く。
真姿の池の島に祀られている弁才天には、次のような伝説がまことしめやかに語られている。
「玉造の小町という美女が顔の病気にかかり国分寺の薬師如来にお参りし、夢のお告げに従いこの池の水で顔を洗ったところ、見まがうばかりの美貌がよみがえったという」。
 

武蔵国分寺跡に到着、僧寺の金堂を中心に東西1.5km、南北1kmに及ぶ広大な敷地が広がっている。
七重塔だけは何とか残って、その壮大な姿を見せて欲しかったと思う。
近くにある最勝院国分寺の境内には、万葉集に登場する植物を集めて栽培、 植物名と万葉歌を記した札が立てられていて、訪れる人の気持ちを和やかにさせている。
 

文化財保存館に入ると、立派な武蔵国分寺推定復元模型が展示されており、東大寺に似た伽藍配置の様子が良くわかる様になっている。
仁王門を潜り抜け中へ進むと、新田義貞の寄進により建立されたと伝えられる国分寺薬師堂がひっそりとした佇まいを見せている。
ただし現在の薬師堂は宝暦年間に再建されたもの。
  

武蔵国部尼寺の正式名称は法華滅罪之寺(法華寺)といい、10人の尼が置かれ、法華経による女性や個人の救済を願いとしたという。
僧寺と並んで国ごとに置かれたのは光明皇后の力によるところが大きかったらしい。
文化財資料展示室には、発掘された遺物や武蔵僧・尼寺の全体像のパネルなどがあり、国分寺の内容を理解する良い手助けになる。
 

JR西国分寺駅へ向かう道は、鬱蒼とした緑が残る切通しの道で、14世紀に新田義貞が鎌倉に攻め上がった「旧鎌倉街道」でもある。


とっておきの名盤 その117 鮫島有美子 イギリス民謡集「庭の千草」

2008年02月12日 | とっておきの名盤「声楽曲」
前にこのブログの中でも書いたが、鮫島有美子の初アルバム「日本のうた」での、今までの”日本のうた”には無かった実に自然な声、情感溢れる歌い方には本当に目からうろこが落ちる思いがした事をはっきりと覚えている。
それから、彼女の出したアルバムを沢山聴いてきたが、この盤はデビュー盤と並んで特に愛着の強いもの。
沢山ある世界の民謡の中でも、イギリス民謡、特にアイルランド地方の歌が持つ憂いのある淋しげな叙情的なメロディーは、日本の懐かしい故郷そのものの雰囲気があり、私の心の奥底にあるいにしえの想いみたいな物をひどくかきたててくれる。
ロンドンデリーの歌(ダニー・ボーイ)、庭の千草などはその極地を行くメロディーに思える。
出来れば原語で歌って欲しかったけれど、それは贅沢な事としよう。
沢山のCDを出しているけれど、この盤は愛着ある曲が一杯詰っている事もあり、「日本のうた」と並んで”とっておきの名盤”用の棚の中に置かれている。
録音も素晴らしく、オーディオの音質チエックにも度々利用している。
・鮫島有美子<Sp>、田中良和指揮、合唱団OMP <DENON>

とっておきの名盤 その116 ショパン ワルツ全曲(14曲)

2008年02月05日 | とっておきの名盤「器楽曲」
前項のヌヴーと同様、若くして白血病のため夭折した不滅の天才ディヌ・リパッテイ、録音した盤の数は少ないがどれも真の芸術が放つ輝きに満ちた光芒が私の心を捉えて止まない。
1917年、ルーマニアのブカレストの生まれで、父はヴァイオリニスト、ピアニストだった母に4歳の時からピアノの手ほどきを受けたというから、これも多くの著名な芸術家がなした血筋と教育の例に漏れない。
この盤、リパッテイのすがすがしい新鮮さとみずみずしい感性、そして澄み切った詩情と憧れに満ちた感性が織り成すピアノの響きに満ち溢れている。
高貴さという言葉が、身にしみて感じられる演奏はリパッテイだけがなしえたもので、最高のショパン演奏家と賞賛された当時の評判が、今でも生き続けて欲しいという気持ちは私だけの願いではないはず。
この盤はショパンのワルツ全集の定番として、必ず名盤の案内書などに取り上げられるものだが、私にとっても外せない一枚で、別の意味でとっておきの名盤としているピリス盤と共に特別の棚に置かれている。
この曲のベスト・スリーを挙げておくと、
・マリア・ジョアオ・ピリス、1984年演奏 <ERATO>
・ディヌ・リパッテイ、1947年演奏 <EMI>
・クラウディオ・アラウ、1979年演奏 <PHILIPS>