クラシック 名盤探訪

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とっておきの名盤 その142 ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61

2009年01月07日 | とっておきの名盤「協奏曲」
  
ボベスコは”クラシック不滅の巨匠達”という様な本には絶対に載ってこないヴァイオリニストではあるが、チャーミングの極みとか、魂をひきつけるとかの視点からみると、私にとっては絶対にはずせない人の一人。
ベートーヴェンの作品の中でも最も優雅で気品あるメロディーにあふれるこの曲の第一楽章、それを彼女は古き良き時代を匂わせる極端といってもよいくらいの遅いテンポで、何ともあでやかに弾き抜ける。
浮世ばなれした陶酔感、時間も停止したようなこの音の流れは、あわただしい今の世の中ではめったに味わえない貴重なひと時にも思える。
これはもう好き嫌いの問題になってしまうが、私などはまだ小学生の頃だったけれども、昭和30年代のゆったりとした生活空間というか、しっとりとした時間の流れを思い起こさせる彼女の演奏に、ただただ惹かれてしまう。
この一枚、単純な選択だけれども、感覚的に好きなんだという中で選ぶとっておきの一枚としてまずは挙げたい。
もちろんとっておきの名盤の棚の中にきちんと並んでいる。
一緒に入っている小品、ロマンス第ニ番の極めて愛らしい旋律も、彼女は何とエレガンスに弾いていることか。
この曲のベストファイヴは、
・チョン・キョン=ファ<Vn>、クラウス・テンシュテット指揮、ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団 <EMI>
・ローラ・ボベスコ<Vn>、エドガール・ドヌー指揮、ベルギー国立放送新交響楽団 <PHILIPS>
・アイザック・スターン<Vn>、レナード・バーンステイン指揮、ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団 <CBS>
・ヘンリック・シェリング<Vn>、シュミット=イッセルシュテット指揮、ロンドン交響楽団 <PHILIPS>
・ダヴィット・オイストラフ<Vn>、アンドレ・クリュイタンス指揮、フランス国立放送局管弦楽団 <EMI>
チョン・キョン=ファ盤は、これぞ魂のこもった演奏の極め付きという一枚であり、これも是非聴いて欲しい。

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1 コメント

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Unknown (ビギナー)
2009-01-11 09:18:24
『チョン・キョン=ファ』がお好きであれば、シゲティの魅力も理解できると思われます。
シゲティが、ドラティという3流の指揮者と録音したベートーヴェン・ヴァイオリン協奏曲は、実に素晴らしい演奏ですよ。
試しに、じっくりと聴いてみてほしいものです。
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