クラシック 名盤探訪

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中国・北京の旅、延々と続く万里の長城に感動!

2007年10月29日 | 歴史・旅(海外)
コース順路:コース満足度★★★
明の十三稜→八達嶺国家森林公園→万里の長城→頤和園→胡同→天安門広場→故宮→景山公園→天壇公園

オリンピックに向かって近代化が進む街、そして旧い歴史遺産が沢山ある街、いつかは訪れたいと思っていた中国・北京に到着、ツアーのうたい文句「充実の旅」の中身に期待の胸を弾ませる。
特に一度は見たいと思っていた万里の長城、北方の匈奴から身を守る為とはいえ、その遠大な構想とあくなき執念をもって建設を進めた歴代皇帝には敬意の念さえ覚える

まずは北京の北、明代13人の皇帝とその皇后が眠る「明の十三稜」へ向かう。
訪れたのは定稜と呼ばれる第14代神宗万歴帝の稜墓、入り口は大勢の観光客が溢れかえっている。
墓は御神体の山を背景に、一直線にあたるところに造るのが皇帝の稜のしきたりとなっている。
  

皇帝と皇后・側室の肖像を横目に、二年分以上の国家予算と六年の歳月をかけて造ったという巨大な地下宮殿。
これが農民の反感を買い、明の滅亡に繋がって行ったという。
  

地下室には、巨大な石の玉座が鎮座ましましている。
中国皇帝の強大な権力をまざまざと見せつける地下宮殿、とにかく巨大さにビックリすることの連続だ。
バスに引き返し、ツアー旅行につきもののショッピング店へ、まずは七宝焼きの店に連れて行かれ、工房での模様付けを見学。
  

紅葉が美しいという八達嶺国家森林公園に登る。
紅葉は期待したほどではなかったが、ここから見渡す万里の長城の眺めが素晴らしい。
  

期待に胸を弾ませ万里の長城へと到着、見張り台へ足を進める多くの観光客で一杯だ。
長城の砦の城壁には、敵の侵入を窺い、多くの兵士が覗いたであろう窓が整然と並んでいる。
長城から兵士が挙げる狼煙(のろし)、何故狼の煙と書くのか?
ガイドさんの説明によると、狼の糞を燃やすと一直線に煙が上がるからなのだそうだ。
  

見晴台から、あえぎあえぎ登ってきた急階段を見下ろす。
この急階段では、足の裏がバンバンになるのもしょうがない。
翌朝、バスの中から見る朝もやの中に浮かぶ長城、その幻想的な風景に感動することしきり。
  

西太后が愛した避暑地だったことで有名な広大な庭園、北京市の郊外にある皇帝の離宮「頤和園(いわえん)」を訪れる。
入り口の広場は、ここも多くの観光客で一杯だ。
「頤和園」の額を見上げながら、中へ入る。
   

清王朝を打ち立てた満州族の後裔であった西太后は、漢の書(文字)を学びこの額にそれを残したとのこと。
龍は皇帝、孔雀は皇后の象徴だが、権力に奢れる西太后は配列のしきたりを破り、孔雀を中央に置くように指示している。
  

西太后が毎日歩いただろう広大な池を見渡せる回廊の長大なのに驚く。
人工の池とのことだが、向こう岸が遥か遠くに見えるその広さはどうだろう、中国の遺産は国の広さに比例してどれもとにかく大きい。
  

近代化が進む北京市街だが、昔の家並みが残っている胡同と呼ばれる地区を人力車(輪タク)で走る。
昔の家の門構えだが説明によると、敷居が高いほど位が高く、手前の置石は丸は軍人、四角は文人、獅子は貴族を表すとのこと。
河の名前は忘れてしまったが、悠然とした河の流れは格別の眺めで、見れば見るほど心が和らいでくる。
  

いよいよ北京市の中心、天安門広場へ足を進める。
人民大会堂の屋上には、並べられた国旗が風に棚引いている。
広場に掲げられている国旗は、毎日上げ下ろしされ、その間二時間ごとに交代する兵士は、真っ直ぐ前を見詰めたまま直立不動の姿勢で立っている。
  

故宮を背景にして、天安門広場の出口の門には、大きな毛沢東の写真が飾られている。
世界一広い建物、故宮の中心をなす本殿は北京オリンピックに向け改修中で中を覗くことは出来ず残念。
  

建物の入り口に続く階段の中央には、立派な彫刻を施した一枚岩の大理石が敷かれている。
これを運ぶには、冬に土の上に水を撒いて凍らせ、その上を滑らせて運んだらしい。
約600年前に建てられたこの宮殿に造られた部屋の数は9999、一万は神の数とされ使うことは許されなかったのでこの数になったという。
広い宮殿の中は、どこも観光客で一杯だ。
  

ガイドさんの案内で、中国で高名な書家が希望者の望みの文字を書いてくれるとのことで、故宮の一角にある建物に案内される。
飾ってあった「福」の字は中国人が最も好む文字で、”ネ”は着物、一口は家、田は田んぼを意味していて、この三つがあれば最高の幸せなのだそうだ。
この間に飾ってあった書画骨董は高価なものばかりで、鑑賞するだけにとどめる。
  

故宮の裏手にある景山公園、明の永楽帝が故宮の外堀を掘った土で造り、故宮(紫禁城)の鎮守の役割を持っていた言われている。
頂上から眺める故宮の景観は、つとに壮大。
  

最後の訪問場所の天壇公園、天帝に五穀豊穣と国の繁栄を祈願した祭壇がある。
梁と釘を一本も使わない円形の祈念殿に多くの観光客が出入りしている。
北京滞在の最後となる晩に京劇を観る。
どうもツアー用の小劇場だったらしく、舞台は背景の飾りや照明効果が無く期待はずれ。
  

この中国・北京の旅で、月から見える唯一の建設物という長城を見、そして足がパンパンになるほど歩くことが出来たのが最大の収穫。
四国と同じという北京の広さや、遺跡の規模の大きさにも驚くことしきりの旅であった

とっておきの名盤 その105 バッハ小品集

2007年10月23日 | とっておきの名盤「器楽曲」
ケンプが生まれたのは1895年で、1991年に96才の長寿を全うした。
まさに20世紀に君臨したドイツ最高のピアニストの一人だった。
この盤は、アンコールや公開講座の最後には彼自身の編曲によるバッハの作品を演奏したという、バッハへの畏敬の念がぎっしりと詰め込まれた貴重なもの。
オルガン演奏にも優れた才能を見せただけあって、一つ一つの曲がバッハの奥深さを聴く者に強く訴えかける素晴らしい編曲、そして演奏になっている。
この盤に収められた総ての曲を聴いていて、これだけ心が安らぐ演奏を他には求めることができない。
最近、「求めない」と言う本が売れているそうだが、これだけは是非求めて欲しい。
二枚組みの廉価盤でお買い得だし、中身の濃さがとにかく飛び抜けている。
とっておきの名盤として、常に手元に置いていたいもの。
・ヴィルヘルム・ケンプ<P> <Grammophon>

とっておきの名盤 その104 ベートヴェン 交響曲第3番変ホ長調 作品55 「英雄」

2007年10月12日 | とっておきの名盤「交響曲」
これは、ウラニア盤の「英雄」として、往年のフルトヴェングラー・ファンから必携の幻の名盤として特に騒がれていたもの。
演奏については、私が今更どうこう言っても始まらないが、スタジオ録音とは異なり彼独特のライヴの激しさが前面に出た凄絶な演奏とだけは言っておきたい。
放送録音がソースだったので、音も鑑賞には充分堪え得る。
とっておきの名盤として外せない一枚で、このブログから落とすわけにはいかない。
ワルター指揮のものとこの一枚は同列として扱いたいが、あえてこの曲のベストファイヴをあげると、
・ブルーノ・ワルター指揮、コロンビア交響楽団(マックルーア・リミックス盤)<CBSSONY>
・ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 1944年録音(ユニコーン原盤)<EMI>
・セルジュ・チエリビダッケ指揮、ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団 <EMI>
・オットー・クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団 <EMI>
・ルドルフ・ケンペ指揮、ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団 <EMI>


とっておきの名盤 その103 ブラームス ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 作品83

2007年10月06日 | とっておきの名盤「協奏曲」
この盤は、ポリーニとアバドによるライヴ録音で、その冒頭からの熱気溢れる演奏は素晴らしいの一言に尽きる。
もう10年も経つ(1997年録音)と言うのに、この盤を聴いた時の風格の極みともいえるポリーニの力量の大きな演奏を、今でも鮮やかに私の脳裏に思い出すことが出来るほどだ。
この曲はブラームスの円熟期の作品だけあって、その音楽の自然な流れと、作曲者の感情の微妙な動きを滲み込ませた曲想は彼だけが表し得たものに違いない。
第3楽章の初め、チエロ独奏の後、侘びと寂にみちた秋の夕暮れを思わせる雰囲気の中、ポリーニのピアノが絶妙なタッチでブラームスの憂いを訴えかける。
そしてアバドの、ベルリンフィルを手中のものにした精妙なオケコントロールで、バックアップするタクトの間合いが何ともいえない効果を引き出している。
とにかくとっておきの名盤として絶対に外せない一枚で、何度聴いても飽きの来ない演奏には、敬意を表すのみ。
この曲のベストファイヴをあげると(但し、上位3枚は同列としたい)。
・ウィルヘルム・バックハウス<P>、カ-ル・ベーム指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 <LONDON>
・マウリツィオ・ポリーニ<P>、クラウディオ・アバド指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 <Grammophon>
・ウラディミール・アシュケナージ<P>、ベルナルト・ハイテインク指揮・ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 <LONDON>
・スヴャトスラフ・リヒテル<P>、エーリッヒ・ラインスドルフ指揮、シカゴ交響楽団 <RCA>
・ハンス・リヒター=ハーザー<P>、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 <Disky>