現代の人々にとって、ケンプ(1895~1991)はだんだんと忘れ去られた存在になってしまった。
今手元にある彼が残してくれたベートーヴェンのピアノソナタ全32曲の全集、どの曲からでもよいのだが、どれか一枚をプレーヤーにかけた瞬間から、とても魅惑的で新鮮ともいえる音楽の泉がこんこんと湧き出てきて、私の周りを温かく包んでくれる。
「音楽ってこんなものだよ!」というような囁きを真摯に与えてくれる演奏、ケンプを忘れてはいけない、あらめてそんな気持ちにさせてくれる演奏だと思う。
「アラウが晩年に残してくれたソナタの数々とともに、この全集も絶対に手元に置いてほしい」、そんな思いをこのブログを見た人に伝えたいと思っている。
ヴィルヘルム・ケンプ<P> Ludwig van Beethoven: Die Klaviersonaten <Grammophon>
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