クラシック 名盤探訪

クラシックの名盤紹介・おすすめ散策コース等、趣味の発信の場です。

とっておきの名盤 その139 ブルックナー 交響曲第9番ニ短調

2008年10月28日 | とっておきの名盤「交響曲」
  
復元した最終楽章が付いているという珍しさから、この盤を取り上げているわけではない。
その理由は、ただただアイヒホルン指揮するブルックナーの音楽の奥深い悠揚迫らざる表現の素晴らしさに尽きる。
テンポは少しゆっくりしているが、その音楽は非常に自然で、ブルックナーが晩年に思いを寄せた一つ一つの旋律が聴くものに温かく伝わってくる。
第一楽章の息の長いコーダの盛り上がりなど、ため息が思わず出るほど素晴らしいものがあるし、第3楽章などはすこぶる瞑想的な音楽が続くが、聴いていて少しも飽きが来ない。
アイヒホルンの、ブルックナーの音楽に寄せる強い愛情のなせる業かもしれない。
この演奏を聴いていると、アイヒホルンが、リンツ・ブルックナー管弦楽団の桂冠指揮者に任ぜられたのも当然と思える。
ブルックナー・ファンなら是非聴いて欲しいとっておきの一枚。
この曲のべスト・ファイヴをあげると、
・ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 1966年録音 <Grammophon>
・クルト・アイヒホルン指揮、リンツ・ブルックナー管弦楽団 <Camerata>
・カール・シューリヒト指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 <EMI>
・ヨーゼフ・カイルベルト指揮、ハンブルグ国立管弦楽団 <TELDEC>
・ラファエル・クーベリック指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 <不明>
カラヤンとアイヒホルン盤の2枚は同列としたい。
番外として、知る人ぞ知る名ブルックナー指揮者であるホーレンシュタイン盤をあげておく。
・ヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮、ウィーン交響楽団 <VOX>

とっておきの名盤 その138 J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ

2008年10月22日 | とっておきの名盤「器楽曲」
  
クレーメルが当代きってのヴァイオリニストであり、良い意味での斬新的な演奏を常に提示してくれることは知っていたが、これだけ素晴らしいバッハを録音してくれるとは!
25年ぶりとなる3度目の録音、演奏については専門家の文章をそのまま借りると、「計算されたヴィブラートやイネガル的なリズム、変化に富んだディナーミクや多様な色彩、ポリフォニックな横の流れ、ダンスの愉悦等ピリオド奏法の発想を柔軟に取り入れた上で、まったくクレーメルにしかなしえないオリジナリティに富んだ演奏が展開される。」と、やたら横文字が並ぶ難解な表現になる。
私などは文章で上手い表現が出来ないので態度で示すと、「最初の一音を聴くや否やぐっと身が引き締まる思いがし、その後はただひたすらバッハの音楽の深い森の中に入り込んでしまう。」となる。
クレーメルのこの盤、とにかく歴史的名盤と言っても良いくらいの名演奏で、あまたある盤を凌ぎ真っ先に挙げるのはこの一枚しかない。
厳格なバッハの音楽と合わない表現かもしれないが、わかりやすく楽しく聴かせてくれるのが、グリュミオーの盤、これを次点としてぜひあげておきたい。
・ギドン・クレーメル<Vn> <ECM>
・アルチュール・グリュミオー<Vn> <PHILIPS>

秋桜(コスモス)の季節

2008年10月17日 | 
今の時期、コスモスが満開で素晴らしく綺麗な花を咲かせている。

左は10月5日に撮った目久尻川沿いのコスモス、まだ6分咲きぐらいだったが、結構目を楽しませてくれた。
右は10月9日の「久里浜花の国」のコスモス、満開を期待して行ってみたが、まだ4分咲き位の状態で少々がっかり、海に近いと風も強く成長が遅いのかもしれない。
 

一週間後の16日に相模原公園に行って見たが、コスモス園は無く、春にポピーを咲かせていた場所に、沢山のキバナコスモスが咲いているのみだった。
帰りにもしかしたらと思って、地元JR海老名駅近くにある田んぼ一区画ほどのコスモス園に寄ってみる。
何と、コスモスが一斉に咲き誇っていて、その花々の様々な色合いが何とも美しい。
広さも充分だし、近くでこんなに素晴らしいコスモスの花々が満喫でき、嬉しい思いで一杯になる。
管理している有鹿幼稚園の皆さん、きれいな花を咲かせてくれて本当にありがとう!
 

 

平塚の「光と風の花づつみ」のコスモスも満開とのこと。
ちょっと遠いが、立川の昭和記念公園のコスモスも素晴らしいとの事なので、時間があればぜひ行ってみたい。

日向薬師と彼岸花

2008年10月10日 | 
9月23日のことなので、ブログに載せるのが少々遅くなってしまった。
彼岸花が一番満開とされる日(お彼岸の中日)に、関東でも有数の見所と言われている伊勢原の彼岸花自生地(日向薬師の麓)を訪れる。

彼岸花は中国が原産地、田んぼの畦で咲いているのは、水を張った田の畦を野ネズミやモグラに穴を空けられると水稲を育てる障害になるので、毒のある彼岸花を畦に植えて畦を守ったことによる。
大飢饉の時には逆に水にさらし毒性を取り除いてから、澱粉にして非常食にしたと言う。
 

彼岸花は毎年、秋のお彼岸頃になると咲く花で、別の名を曼受沙華と呼ぶ。
仏教の梵語から来たもので、天界の美しい花を意味する。
のどかな田園風景の中に真っ赤に華を咲かせる曼受沙華、何とも強烈な印象を見る人に与える独特の美しさがある。
 

正面の参道を登り、元正天皇の時代(西暦716年)に行基菩薩が開いたと伝えられる由緒あるお寺、日向薬師を訪れる。
お彼岸のせいか、多くの参拝者が訪れ熱心にお参りしている。
 

お彼岸の中日の真っ赤な彼岸花を眺め、そして日向薬師への参拝となかなか意味深い充実した一日であった。

とっておきの名盤 その137 ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調「運命」 作品67

2008年10月04日 | とっておきの名盤「交響曲」
  
ベートヴェンの「運命」、超がつくほどの有名曲だけにCDの数も多い。
この盤、オーソドックスな名演奏を聴きたいという人にはお薦めの一枚。
クレンペラーの3度目になる1959年録音のものだが、ちまたに数ある「運命」の盤の中でも、遅めのテンポで堂々とフィナーレの高まりに向かってひた走る正統的なその演奏は群を抜いている。
クレンペラーはどちらかと言うと理性的な音の展開をする指揮者なので、古典派の範疇に入るモーツアルトやベートーヴェンの演奏には適している。
ファンが多いフルトヴェングラーのベートーヴェン、私などは最終楽章のフィナーレで猛烈なアッチェレランドをかけるやり方などには余りついていけない。
好みの問題なので、あまり押し付けがましいことは言えないのだけれども。
このブログで紹介してきたとっておきの名盤、残り少ない数になってしまったが、是非聴いてほしい一枚ではある。
この曲のベストファイヴの演奏を挙げる。
上位3枚は同列としたい。
・カルロス・クライバー指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 <Grammophon>
・オットー・クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団 <EMI>
・宇野功芳指揮、アンサンブルSakura <FONTEC>
・ハンス・クナッパーツブッシュ指揮、ヘッセン放送交響楽団、1962年 <TAHRA>
・ウイルヘルム・フルトヴェングラー指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団、1947年 <Grammophon>