クラシック 名盤探訪

クラシックの名盤紹介・おすすめ散策コース等、趣味の発信の場です。

初夏の北海道 サロベツ原野・利尻・礼文の旅 その3(花の島、礼文島を巡る)

2009年09月26日 | 歴史・旅(国内)
コース順路:コース満足度★★★★★ 6月23日~27日
礼文島・香深港→観光バス「夢の浮島礼文めぐり」→桃岩登山口→(桃岩遊歩道)→元地灯台→知床→香深

夕方、礼文島香深の港にじっと立つ。
そこから眺める利尻富士の姿は何とも幻想的で、海の上に浮かんでいるその姿は蜃気楼の中にかすむ幻影のようでもあり、防波堤の間を行く漁船や港に入るフェリーを眺めていると、ひとしお旅の情緒が心の中に染み入ってくる。
 

翌朝の午前中は、「夢の浮島礼文めぐり」のうたい文句につられて、観光バスで礼文島の見どころを巡ることにする。
まず訪れた澄海岬の美しい入江の美しさに感心、海岸線の断崖絶壁と奇岩は結構見ごたえがある。
道端に咲いているセンダイハギの黄色い花が美しい。
 

礼文島の北端にあるスコトン岬を訪れた時は、空模様がだんだん悪くなってきて、期待していたサハリンが全く見えない。
代わりに、群生しているヨツバシオガマ(レブンシオガマ)の美しい色合いをしばし鑑賞する。
 

観光バスの運転手さんに頼み込んで、楽しみにしていた「桃岩散策コース」の出発点、桃岩登山口でバスを降りる。
桃岩展望台は、残念なことに霧で全く見えない。
まずは、沢山の高山植物との出会いに胸をふくらませスタート!
チシマフウロの可憐な紫色の花びらが、道を通る人の目を楽しませる。
そばにたくさん咲いているイブキトラノオ、白く長い花穂が虎の尾のように見えることからこの名前が付いている。
  

確かにフラワーロードと呼ばれるだけあって、次々と美しい色合いを見せてくれる花々が、訪れる人々を暖かく迎えてくれる。
大柄で真黄色な花、そしてつやのある葉が素晴らしいレブンキンバイは本当に奇麗で、言葉では表しきれない。
星の妖精のような憧れの貴女と呼びかける人がいるほど、端正な白い色合いを見せるレブンウスユキソウも見る者の目を惹き付ける。
この二つの花は、6月の礼文島を代表する魅力的な花だと思う。
  

礼文島から稚内へ向かうフェリーのデッキに立つ。
礼文島に別れを告げる旅人を惜しむように、利尻富士を背景に沢山のカモメが寄り添ってくる。
実は観光客が手にするポテトチップスが大の好物らしい。
美しい花の思い出が胸いっぱいの礼文島の旅であった。
 

初夏の北海道 サロベツ原野・利尻・礼文の旅 その2(利尻島を巡る)
初夏の北海道 サロベツ原野・利尻・礼文の旅 その1(サロベツ原野と稚内を巡る)
夏の北海道 その4(札幌郊外の原始林を散策、増毛でおいしい手作り料理を満喫)
夏の北海道 その3(富良野、北の国から、ラベンダー)
夏の北海道 その2(網走、知床、釧路)
夏の北海道 その1(札幌)

この曲この一枚 その4 ドビュッシー:「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ」

2009年09月17日 | この曲この一枚
  
フランス音楽、しかも室内楽曲となると、私の音楽の棚の中を見ても本当にその数が少ない。
よく見ると、フランクのヴァイオリン・ソナタが居心地悪そうに納まっているぐらい。
私が耳にするクラシックの曲の中でも、最も遠いジャンルにあるのかもしれない。
バッハ、ベートーヴェン、そしてブラームスと一連の重厚なドイツ音楽を聴いてばかりいると、たまには微妙な音の綾を楽しみたいと、ラヴェルとかドビュッシーの盤に手が伸びる。
例外的によく手にするのがこの盤で、解説書を見ると、「...晩年のドビュッシーは、癌の病に侵された中、フランスの流儀によるソナタとして、ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタに引き続き、名作中の名作とされるこの曲を書き上げた。
この作品、互いに音色の異なる三つの楽器を絶妙に組み合わせて、真の”フランスのエスプリ”を見事に表現している...」とある。
確かにこれほど洗練された作品はそうあるものではない。
ウィーン&ベルリン・フィルのトップ奏者らが集まり、83年に結成した室内楽アンサンブルの手になるこの盤、この曲この一枚としてどうしても外せない。
・アンサンブル・ウィーン=ベルリン <Grammophon>

初夏の北海道 サロベツ原野・利尻・礼文の旅 その2(利尻島を巡る)

2009年09月10日 | 歴史・旅(国内)
コース順路:コース満足度★★★★ 6月23日~27日
稚内港→利尻島・鴛泊港→利尻山神社→甘露泉水→姫沼→利尻島郷土資料館→オタドマリ沼→南原湿原→仙法志御崎公園→沓形岬公園→沓形港

サロベツ原野を歩いた時とは打って変わって、翌日の利尻島は風もなく、晴天に恵まれた快適な旅となった。
利尻島は海面から立ち上がる火山島で、フェリーが島に近づくにつれ、だんだんと大きくなる利尻山(標高1721m)の美しい姿がなんとも印象的。
鴛泊港につくと嬉しいことに、レンタカーの係りの人が迎えに来てくれている。
まずは利尻島の守り神とされる利尻山神社へ車を走らせ、旅の安全を祈る。
 

おいしい天然ミネラルウォーターで元気をつけようと、甘露泉水と呼ばれる地下水が湧き出る場所をめざす。
利尻山鴛泊登山道を少し上った所にあるのだが、道端に咲き乱れる美しい野の花を眺めながら、やっと目的地にたどり着く。
次に訪れた姫沼は多くのツアー観光客が押し寄せる所らしく、湖畔を一周できる遊歩道が多くの人であふれている。
 

利尻島の歴史を知ろうと、鬼脇という所にある利尻島郷土資料館に立ち寄る。
旧鬼脇村役場の建物を改築したものだという洋風建築の建物の中へ入ると、写真や模型などで利尻島の歴史が分かりやすく展示されているのに感心。
ペリー来航の約50年前に、250名ほどの会津藩士が北方警備のため利尻島に来ていたとは知らなかった。
海難事故や病で命を落とした藩士の墓碑が島内に残されている事など、初めて知る貴重な資料が多く展示されているのに感心。
次に訪れたオタドマリ沼では、周囲約1.5kmの遊歩道をゆっくりと散策、道端の美しい野の花を見ながらのさわやかな水辺の歩きだった。
 

すぐ近くの南浜湿原は利尻島最大の湿原で、観察用の木道も整備されている。
背景にそびえる利尻山の頂上に少し雲がかかってしまったが、ここでも相変わらずその美しい姿を見せてくれている。
湿原の木道を歩くと、しきりに挨拶をしているかのように無数のワタスゲが風に揺られている。
 

利尻島の南端にある仙法志御崎公園の名前が気になり、地元の人に意味を聞こうと思っていたのだが、雄大な眺めに見とれているうちについ忘れてしまった。
沓形港にあるフェリー乗り場近くに、ドアを開け鍵を付けたままレンタカーを乗り捨てる。
レンタカー屋さんの指示に従ったのだが、島では車を盗む人などいないから問題ないらしい。
礼文島へ行くフェリーの上から眺める沓形港と利尻山が印象的で、惜別の念に満ちた別れとなった。
 

初夏の北海道 サロベツ原野・利尻・礼文の旅 その1(サロベツ原野と稚内を巡る)
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夏の北海道 その2(網走、知床、釧路)
夏の北海道 その1(札幌)

この曲この一枚 その3 ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」

2009年09月06日 | この曲この一枚
 
かなり昔の話になるが、クナの「指輪」全曲盤が発売になり話題を呼んだことがある。
1957年のバイロイトの演奏ということで、期待に胸をふくらませて大枚をはたいて購入したのを覚えている。
残念なことに、演奏がどうこうと言う前に録音があまりにも貧しく、そのふやけた音に失望せざるを得なかった。
今回のこの盤、同じ1957年の演奏とは思えないほどの音の素晴らしさにまず驚いた。
もちろん、ライヴだしモノラルなのだが、スタジオ録音と言ってもおかしくない程、音に腰が座っていて生々しいのに感心。
次々と貴重なオペラのライヴ演奏を発売するウォルホール・レーベル、この録音の50年という著作権が切れるのを待って、満を持して出したものに違いない。
その期待を裏切らない演奏の素晴らしさに、喜びの念を禁じえない。
ジークリンデを歌うニルソンの声が、何とも若々しく魅惑的で素晴らしい。
私の好きな「Der Manner Sippe sass hier im Saal...」で始まる第一幕の場面など、その絶妙な歌いぶりは言葉で伝えきれるものではなく、何としても一度は耳にして欲しいと思うのみ。
クナの指揮ぶりも奥行きが深くて立派なもので、音が良いからそれを十分に感じ取れるのだろう。
それ以上に嬉しいのは、貴重なオペラのライヴを良い音でしかも廉価で提供してくれるウォルホール・レーベルの存在。
とにかく感謝、感謝としか言いようがない。
・ハンス・クナッパーツブッシュ指揮、バイロイト祝祭管弦楽団、ビルギット・ニルソン<S>、ラモン・ヴィナイ<T>、アストリッド・ヴァルナイ<S>、ハンス・ホッター<Bs>、(バイロイト演奏、1957年) <WALHALL>